マガジンのカバー画像

「猫」のお話

4
隣人の猫にまつわるお話。 猫嫌いな僕が猫騒動に巻き込まれて、 ちょっとだけ猫好きになっていくお話です。
運営しているクリエイター

#ガールフレンド

「距離」

朝、洗濯を干している時や 玄関先を掃いている時に視線を感じていた。 でも僕がそっちの方を向くと誰もいない。 小さい鈴の音だけが残っていた。 何度か、そういう事があって、 やっと視線の先に、その人を見つけた。 お隣の雌猫だった。 何が面白いのかがわからないが、 その雌猫は、次の日も僕が洗濯を干すのをじっと見ていた。 僕は相手にせずに放っておいた。 月が綺麗な夜に、散歩に出た。 しばらく歩いていると、小さい鈴音が僕の後から付いてくる。 自分の安心できる一定の距離を保ちながら