静寂のあるまち

 このまちに来たかったから来たかと言われると、父の死後の私の人生にそんな自由はなかった。決定権のない大学受験、3択ぐらいの中から選んだ。ただ一人暮らしがしたかった。あと、半年でこのまちから確実に去るだろうということを考える。田舎に大学がぽつんとある。この大学に通うために全国から学生が引っ越して、卒業すると去っていく、そんなまち。部活に入って、仲間であり、深い友達ができた。きっと、普通の青春に近いものだった。大学生って中途半端な立場で、色んなしがらみがあって、パンクしてしまった。それから、私は静寂を求めるようになった。息抜きにカフェに行く。疲れた特別な日に行く外食。一人で生きやすいまちで、そういう暮らし好きだなって思う。

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