「ゼロの使い魔 on the radio~トリステイン魔法学院へようこそ」第12回 ミコノス島の謎

例えば、『ゼロの使い魔』から連想ゲームをするとして、ミコノス島につなげるのは意識すれば難しいことではありません。

ゼロの使い魔→ルイズ(主人公)→釘宮理恵(担当声優)→ナギ(釘宮さんが演じているキャラ)→ハヤテのごとく→ミコノス島(作中で割と重要な場所)

現時点から見るとそれぞれつながりがあるけれど、当時はどうだったのか。これはゼロラジを聞いていた時に、ゾクッとした一通のお便りの話です。

アニメ「ゼロの使い魔」のWebラジオには「貴族と平民」というコーナーがあります。そもそも『ゼロの使い魔』は、平賀才人という平凡な男の子が、異世界の貴族で魔法使いのルイズ・ルブラン・ド・ラ・ヴァリエールに使い魔として召喚されるところから始まる、ファンタジーラブコメです。(ちなみに才人の声優は今をときめく煉獄さん役の日野ちゃまですよ!!)

「貴族と平民」は、その才人とルイズになぞらえて、貴族と平民の違いを答える大喜利コーナーです。第12回の「貴族と平民」のコーナーでは「旅行でハワイに行くのが平民、ミコノス島に行くのが貴族」というおたよりが読まれます。このお便り、面白くないのにどうして採用されたんでしょうね……。でも見方を変えると重要なお便りなんです。

ここで注目すべきなのは「ミコノス島」という場所です。なぜかというと、ルイズ役の釘宮理恵は『ハヤテのごとく』の三千院ナギ役も務めていますが、「ハヤテ」の中でミコノス島に行く話があるからです。しかもそれは物語上重要な場面でもある。

しかし、ここで二つ疑問が浮かびます。一点目は、「このラジオの放送時点でナギ役が釘宮理恵だと判明していたのか」。二点目は、「このラジオの放送時点で、ハヤテのごとく本編はミコノス島編を迎えていたのか」。これについて確認します。

まず、コミックスを見ればすぐに分かる後者から確認する。ゼロラジ第12回の放送は番組内で「8月もあと1週間で終わり」と言っていることからアニメ「ゼロの使い魔」第1期が放送中の2006年8月下旬だということが分かる。

一方で、「ハヤテ」本編でミコノス島編が始まるのは単行本20巻から。この巻は2009年7月17日に刊行されている。週刊連載中のマンガで3年前の話が単行本に収録されることはまずないでしょう。後者の疑問への答えは「このラジオ時点でミコノス島編は始まっていなかった」となります。

これによって、もしひとつめの疑問、「2006年8月下旬に釘宮理恵がナギ役を務めることが決まっていたのか」の答えが「イエス」であったとしても、「ハヤテ」本編でまだミコノス島に行ってはいなかったため、「ミコノス島」という言葉がでてくるのは奇妙だ、ということになる。

ただ、「ハヤテ」本編でミコノス島が登場するのは実はもっと前で、単行本4巻(2005年11月18日)が初めてです。それならば、やはり「貴族→ルイズ→釘宮理恵→ナギ→ミコノス島」という連想の流れだと考えられる。

だがなんと、ここで大どんでん返しがある。アニメ「ハヤテのごとく」第一期の製作が発表されたのは2006年12月なのだ!

いうまでもなく、これはゼロラジ第12回放送より後のことである。アニメ化前にドラマCDが発売されているわけでもないため、釘宮理恵と「ハヤテ」の間に関係はまだ何も公表されていない。

ここで考えられるのはふたつ。ひとつはおたよりを送った人が「ツンデレ」や「貴族」というワードでルイズとナギを結びつけたということ(ナギは財閥の娘で大豪邸に住んでいる)。つまり「貴族→ナギ→ミコノス島」の流れ。もうひとつは、発表される前に釘宮理恵がナギ役だと知っていた関係者がおたよりを送った、ということだ。(これはまずないだろうけど。)

単にリスナーが「ハヤテ」を好きでそのまま送っただけかもしれない。しかしそれがのちに結びつくことになるとはまだ誰も知らなかった、のかな。

◆時系列まとめ
2005年11月18日 「ハヤテのごとく」4巻が刊行。作中でミコノス島が初めて登場する。
2006年8月下旬 「ゼロの使い魔 on the radio」第12回放送。ミコノス島のおたよりが読まれる。
2006年12月 「ハヤテのごとく」アニメ化発表。これ以前、ナギにcvは付いていない。

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