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イベントレポートDISK-Over Session vol.11 『聴くタモリ~春のタモリフェスティバル』(4月21日(金)開催)

少し間が空きましたが、4月のDISK-Over Session『聴くタモリ~春のタモリフェスティバル』(タモフェス)にお越しくださった皆様、ありがとうございました。

「初期のタモリの才気あふれるパンクなレコードを楽しむ」というDISK-Over Session史上最もマニアックなテーマだったため、「お客様はいらっしゃるかしら・・・」と一抹の、いや、大きな不安を抱え、舞台袖で開演を待っておりました。ところが本番が始まり、客席にたくさんのお客様が見えた瞬間、得も言われぬワクワクした気持ちになり「今日はビールを飲みながら楽しく進行しよう!」と心に決めたのでした。

当日のプログラムは、アルバム「タモリ1」「タモリ2」の中から数曲聴き、そしてスージーさんが美爆音で聴きたくてたまらなかった「タモリ3」をコンプリートするという構成。会場スクリーンに投影するためにスージーさんは90ページにも及ぶパワーポイントを用意されていたのですから、本当に“どうかしてる”!

ではセットリストの中から、特に印象的だった作品を紹介していきます。

第一回テーブル・ゲーム選手権大会 於 青森

「タモリ1」より

これは、あの「四ヵ国語麻雀」でお馴染みの作品です。何十年か振りにこのネタを聴いて気付いたのは、タモリの耳の良さ、素晴らしい音感、そして再現力の高さです。昔私が習っていたフルートの先生が「ミュージシャンに語学力が高い人が多いのは、音感とリズム感がいいからかな」と話していましたが、タモリがまさにその一例かもしれません。

特に私が気になったのはタモリの英語(もどき)。まるで1950年代~1960年代のハリウッド俳優やアメリカのニュースキャスターのようです。(「タモリ2」の「FEN (ニュース~スリラーアワー~コミックショー)」も同様)恐らくタモリの英語は往年のハリウッド映画や、ひょっとするとFENなどから影響を受けているのではないかなと思いました。
イントネーション、発声(≠発音)、リズムの再現性には本当に驚きました。

タモリ3

日本コミックレコード史上最大の問題作「タモリ3」。ほぼ全曲が「有名な歌謡曲のメロディと歌詞を少しだけ変えたもの」で構成されています。タモフェスで、この「タモリ3」をA面、B面全てコンプリート!

単なるネタ集かと思いきや、実際に聴いてみるとバンドの演奏が素晴らしいのです。時にはストリングスまで入っており、アレンジも凝っていて手間ひまがかかっていることが想像できます。タモリの音楽に対する拘りが伝わってきますし、音楽的にしっかりしているからこそネタが活きてくるのではないでしょうか。

アフリカ民族音楽 “ソバヤ” 

「タモリ1」より

アフリカンなパーカッションをバックにタモリが「アフリカの言葉」っぽく民族音楽のようなものを歌っている作品。これをBAROOMの高品質サウンドシステムで聴いたのですから、ある意味贅沢でした(笑)。曲中、“風呂屋の2階で”というフレーズが出てきますから、「ソバヤ=蕎麦屋」かと思っていましたが、実はそうでもなさそう・・・?

私はDISK-Over Sessionのエンディング曲の選曲を担当しておりまして、この日のエンディングに、ブラジルポップス界の大御所、Djavanの『So Bashiya Ba Hlala Ekhaya』という曲を選びました。注目すべきはこの曲のタイトル。「“ソバヤ”を聴くタモフェスのエンディングって、一体何の曲がいいんやろう」と考えあぐねていたのですが、ある時大好きなDjavanの曲を聴いていて偶然この曲のタイトルを見つけた時「これしかない!」と思ったのです。

単にタイトルのキャッチーさと曲調(アフリカン)で選んだつもりが、少ない情報の中から調べていくうちに、この曲はズールー語である事が分かり、どんどん深みにはまっていきました。「ひょっとして、タモリの“ソバヤ”もズールー語なのでは?」と思い、“ソバヤ”をズールー語→英語でGoogle翻訳してみると、“we are afraid”と結果表示されたのです。
ひょっとすると、『ソバヤ』のアフリカ風の歌詞はズールー語由来なのかも・・・?という新たな発見がありました。

気が付けば、ほぼタモリと外国語について語ってしまいました。
それにしても、外国語を単なるモノマネを超えた領域まで持っていってネタに昇華させたタモリ。でもこれらの作品は本当の外国語ではなく「なんちゃって〇〇語」だったからこそ名作になったのではないでしょうか。

最後に、「DISK-Over Session」シリーズ、第12回(5月30日(火))は『EPICソニーの80年代を信じる心いつまでもナイト』。佐野元春、大沢誉志幸、岡村靖幸、大江千里、渡辺美里……。都会的で、ポップで、ロックで、バブル前夜の東京をキラキラと輝かせたあのサウンドを南青山BAROOMの最高級サウンドシステムで。「1980年代のEPICソニー」 の世界にタイムトリップ!



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