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初めてバイオリンを弾いた日のこと

20年ほど前、私の30歳の誕生日に母が「何か好きなものを買ってお祝いして」と10万円振り込んでくれた。誕生日のお祝いにお金を振り込んでもらったことはその一度きりだけど、30歳という記念に何か特別なことに使ってという思いなのかなと素直にありがとうと受け取った。        何を買うかはすぐには思いつかなかった。やっぱりずっと手元に置いておけるモノ、記念に残るもの。腕時計とか、ブランドのバッグとかも頭に浮かんだ気がする。そこでなぜバイオリンにしたのか? 

実はあまり覚えていないけど、続けられる趣味に使おうと何となく思っていた。そのころ一緒に住んでいた彼(現夫)ともうすぐ結婚するかも、と気持ちが安定していた時期で、子どものころ習っていたピアノは彼と一緒に2DKのアパートに移った時に自分で電子ピアノを買って時々弾いていたし、それなら前から少し興味のあったバイオリンかな、と。

バイオリンに的を絞った私は、仕事の帰りに通えるバイオリン教室を探した。いつも夕方は新宿辺りを通って帰宅していたからその近辺で、全くの初心者なので初めはバイオリンをレンタルできる教室を探した。せっかくの母からのお祝いのお金、使ってしまってからやっぱりバイオリンやーめたとなったら悲しいから。
レッスンは確実に行ける夜7時とか7時半から30分、月2回の隔週で自分よりも若い女性の先生にお願いすることになった。しずかちゃんほどギーコギーコではなかったけど最初は音をちゃんと出すのにも汗かいてたなぁ。  

2~3ヶ月ぐらいレンタルで借りてから新宿のバイオリン専門店で自分のバイオリンを買った。ケースや弓も一式セットになってて13万ほどだったと思う。アパート住まいなので家での練習は消音器を必ず付けていた。
レッスンは3畳ほどのピアノも置いてある小さな防音室だったので、先生の前で消音器無しで弾くとものすごく音が響いてそれだけでドキドキした。

少し経ってから両親や妹にバイオリンを習い始めたこと、自分のバイオリンを買ったことを話したら、「子どものころお父さんが知り合いからバイオリンを借りてきたことあったよね」と妹。
そう言えばあったかも小学生のころ。完全に忘れていたし、確か数回ギーギーと弾いてみてあまり興味ないかもと返した気がする。
当時はピアノ習っていたし。
子供のうちにいろんな経験をさせておこうと思ったのかな。

狙い通りになったねお父さん、子どものころの記憶がどこかに眠っていたのかも。