短歌にイラストを1-24

安福望さんにイラストを描いていただいた短歌のうち、前のブログに載せていたものをこちらにまとめておきます。

いつも本当にありがとうございます。

1.山でシャボン玉

しゃぼん玉見えない場所から吹き出して気付いてくれた人に決めます

2.猿vs植物

電柱がすべすべであればあるほど燃え上がる猿の心でした

3.雨乞い女子

教室に打ちつける雨　給食のバナナを女子は決して食べない

4.最後のこたつ

かつてじんるいをめつぼうのふちにおいこむげんいんとなったこたつ

5.ポスト巡礼

初詣代わりにポスト　四角くて赤くて何も言わないポスト

6.ドーナツ化現象

煙突のけむりが直角に流れる　手を放したらあっという間に

7.聞こえないふり

マスクして話すあなたが震わせるゴムのかかった耳つめたくて

8.もしもし、誕生日の人ですか？

ろうそくを吹き消すように電話で言われて受話器を吹いても一人

9.ほこりひつじ

地面に落ちたあめ玉みたいぼくたちの言葉はすべてほこりだらけで

10.からまるサンダー

グレー地にイエローラインのスニーカー履いて空から呼ぶねサンダー

11.泥棒しろくま

夏休みお昼ごはんに次々と姿を変えて迫り来る麺

12.卵と音楽

ゆっくりとピアノ連弾似ていない二人がやがてそっくりになる

13.on the 48

お見舞いに二十四人で繰り出した　四十八色のバラを手に

14.ヒソヒソとプクプク

世界一小声の上手い人めざし秘密のおはなし選手権へ

15.本と流れ星

神様の編んだセーター襟首のほつれ無慈悲に拡がってゆく

16.深夜、クマと手袋と

手袋をつけるかどうか手袋とじゃんけんをして負けたらつける

17.普段着の神様

いいかげん神様引退しようかな　思い通りもつまらないから

18.宇宙こたつ

かつてじんるいをめつぼうのふちにおいこむげんいんとなったこたつ

19.しぼりたての雲

海岸でかもめがキュウと鳴いたから入道雲の送風開始

20.麺の旅人

夏休みお昼ごはんに次々と姿を変えて迫り来る麺

21.毛むくじゃら喫茶

「コーヒーとあたたかい犬ください」と日常的に言っていること

22.この先は鳥の国

右を見て左を見たら右を見て振り返りまだ渡れない日々

23.こたつの足

かつてじんるいをめつぼうのふちにおいこむげんいんとなったこたつ

24.帰り道はみんな一人

華やかなツリー　そのあと一年は暗い倉庫に閉じ込められて