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あふれてる

光ってすごいなあとよく思う。

ずいぶん昔の話だけれどすごく悲しいことがあって、日々がもうどうしようもなくなってしまった。文字通り死んだ目をしているのが自分でもわかって、精神ってこうやって死んでいくんだなあ、もうきっと元通りにはなれないなあ、とか思いながら毎日なんとかやり過ごしていた。

精神も目も死んでいるけどお風呂は入らないといけないし、歯も磨かないといけないし、眠らないと生きていけない。
散々気持ちを擦り倒した一日の終わりに最後の気力を振り絞ってコンタクトを外してたら、鏡に映った自分の目の奥が一瞬きらっと光った。

まあ今考えれば瞳孔だから光を映すのは当たり前なんだけど、私の目は完璧に死んだと思っていたのでおお、と思ってびっくりした。
まだ生きてるじゃん! 死んだかと思ってた……! って本気で驚いた。なんかまだ大丈夫な気がする、って思った。
そういう「まだ大丈夫な気がする」をたくさん積み重ねて生きている。光があるところにはそれがあるなあと思う。

泣き腫らした翌朝窓に目をやると昇っていた朝日とか、誰にも会いたくなくて閉じこもった部屋にカーテンから差し込んだ光とか、もうぜんぶやだなあなんて帰り道で見上げた夜空に広がってた星空とか、そういう日常でふとした瞬間に出会う光にめちゃくちゃ救われて生きている。


人にもいるよね。光みたいな人。そういう人たちにめちゃくちゃに救われて生きてきた。
私は真正の根暗なので圧倒的な光にはなれないんだけど、キャンドルの揺らぎみたいな、間接照明みたいなさ。なんかそういうの。そういう手の届きそうな明るさの光でいたいなって思う。

無理に元気づけたりしないし、無理に励ましたりもしないよ。ビール飲んでえーなにそれムカつくねえ~とか言って笑って、ふかふかのふとんですやすや眠って、また明日がんばりましょう。


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