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入稿完了! そしてわかち合うのだ

近所のコンビニへ行くと、お子が母親にあと何回寝たらクリスマスなのか何度もたずねていた。「10が2回より多いのん?少ないのん?」と、2ケタある日数を理解しようとむきむきと頭を働かせ 、”その日” をこころ待ちにする姿に「その気持ちわかるで、お子」と、強く共感した。

12月7日、入稿が無事完了。お子が待ち焦がれる日の数日後の27日に見本出来。「見本出来」ってなんですか?と聞く前に、みずき書林代表で編集者でもある岡田さんから

「見本出来」とは、初版全数ではなく、最初の出来立てほやほやの本ができる日です。

との説明があった。さすが説明王子。きょうが7日だから……ざっと3週間か。どんなふうに仕上がっているだろう。出来立てほやほやの本。ああ、待ち遠しい。対面したら、まずはぎゅっと抱きしめる。

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↑思えば打ち合わせ初日から説明王子だった
岡田さんの説明ってほんとわかりやすいんです
(写真はトナカイさん撮影)

岡田さんは「わかち合う」ということばをよくつかう。

「共有」「シェア」とは言うけれど、わかち合うってそれよりも崇高……というと言いすぎだけど、うやうやしい感じがして照れくさくって、わたしはこれまでつかったことがなかった。

だけど、そんなわたしも『旅をひとさじ』の制作期間を経て、わかち合うとはこういうことかと知る。

じぶんの解釈として「共有する」となにがどう違うんだろうか。と具体的に考えみる。たぶん、物理的なことよりも、体験を通して気持ちや感情を伝え交わすことの比重のほうが高いのかなあ、と思う。

そして思った。岡田さんはわかち合いの名手だ。

入稿が済んだとデザイナーの見元くんから連絡あったので「本当におつかれさまでした。ありがとう」と返信をしたら、「いやー、疲れたー。長かった〜」と返ってきて安心した。この半年、見元くんは一度も「疲れた」と言わなかった。むかしから忙しいときほど言わないんだよな。

夏、岡田さんが打ち合わせの数日後に緊急入院したとき、わたしはとても不安だった。もちろん本のことではなく、岡田さんの容態が心配で。だけど見元くんは、

「俺らがやることは決まってるからな。それをやるだけ。岡田さんが安心して戻ってこれるよう、ちゃんと進めていこう」

と言い、一手にディレクションの役割も担ってくれたおかげで、岡田さん不在のなか、ふたりでレイアウト作業を進めることができた。そして岡田さんが予想をはるかに超えた早さで現場復帰し、再開した打ち合わせで「この頁のレイアウトはこうこうこうだったので、写真はこれに変更しました」など説明しているときに、「あ、そっか」と思った。

わたしなんかはすぐ、その瞬間・場で、ことばでどうにかしようとしてしまうのだけど、見元くんが人に与える安心感はこういうところにある。

いろんなやさしさのカタチがあって、それぞれのやさしさでカバーし合い、わかち合えた。そのことで、わたしはまだまだ未熟だと思ったし、もっともっと育ちたいと思った。そうして思う。岡田さんはこの分かち合うことのなんたるかをすでに(感覚的に)知っていて、だからこそあんなふうに復帰できたのだと。

「あんなふう」ってどんなふうか。ひとことで言うと、病気がわかる前と、わかった後の岡田さんがおんなじだった(もちろんこれは本づくりの現場に限った話です)。

本をつくる場に、岡田さんの生きる活力が充満してるように感じた。そういう場を大切にしてきた岡田さんの生き方が、今の岡田さんを支えているようにも見えて、朱夏という時代の生き方をあらためてしっかりと見つめる日々です。

本の作業は最後の最後に少々手こずり入稿が遅れたけれど、振り返ると、本当ならもっともっと遅れていたと思う。岡田さんの早々の現場復帰と、見元くんが作業を滞りなく進行してくれたおかげで、なんだったら超順調に入稿できたのではないでしょうか。ね?

『旅をひとさじ』は来年の7日にあがってきそうです。店頭に並ぶのは中旬以降。最速着はみずき書林での予約購入でございます。1000円以上のお買い物は送料無料なので、実質送料無料で特典もつくんですよ(宣伝)。

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普段なら日付が入っているファイル名が【最終】となっていて感慨深い。奥付は、年明けになるならせっかくだしと、わたしの45歳(!)のお誕生日にしてもらいました。

そういえば2019年の1月19日は馬喰町ART+EATでドリアン助川さんとシリア旅のお話してました。そして大好物のキャロットケーキでBD祝いのサプライズ!

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そりゃ泣くよね〜

ペースはトロいけど、こうして好きなことで人と関わって日本でも旅の活動ができること、ほんとうにうれしく思っています。そしていろんな人とわかち合っていきたいなと、じぶんでも信じられないくらい素直に思います。

本が出来上がるまでのあいだは、『旅をひとさじ』を手にしてくれるかたがたとも交流できる場をもちたく、出版イベントのたのしい企画も考えていきたいなあと。

引き続きお付き合い、どうぞよろしくお願いします◎

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