トイレットペーパーの買い占め in ドイツ、風刺、言論・報道の自由

3月、新型コロナ・ウィルス感染拡大と同時にドイツも剣呑な雰囲気が広がり始めました。消毒剤、小麦粉、パスタ(乾麺)がなくなり始めたのですが、最も大変だったのはトイレットペーパーです。政府が「在庫がある」といくら言っても、スーパーの棚はいつもガラガラでした。これも4月半ばには落ち着いてきました。

ドイツ語で買い占めのことを『Hamsterkäufe』(ハムスターコイフェ。名詞、ハムスター買い)とか『hamstern』(ハムスターン。動詞、ハムスターする)と言います(ハムスターに申し訳ない・・・!)ちなみに周囲のドイツ人たちからは「日本人はお行儀がいいからハムスターンしないでしょ?」と訊かれ、「いやどこも同じよ、残念ながら。マスクとトイレットペーパーがないらしい!」と答えました。

2009年に始まったドイツのテレビ番組『heute show』(ホイテ・ショー。ZDFドイツ第二チャンネル、毎週金曜日夜放送)はニュースの形態をとりながら、痛烈極まりない政治・社会風刺を行います。スタジオの聴衆は大爆笑、大喝采でとても人気があります。数々の受賞もしています。

『heute show』ではこの買い占めを「まったく・・・フランス人はワインとコンドームを買い占めるのに、ドイツ人はトイレットペーパーか・・・!」と自嘲していました。でもアメリカ人は銃と弾薬を買い占めているという報道もありました。これはまったく笑えない話です。

さて、この『heute show』のチームが5月1日、ベルリン市内でのロケ中に襲撃されました。負傷者の内、4人が病院に運ばれました。襲撃直後、男5人と女1人が逮捕されましたが、5月3日現在、その背景など詳細は不明です。

この事件は言論の自由を侵害するものとして、メディアは大きくとりあげています。連邦内務大臣ゼーホーファーは今日、「言論・報道の自由は民主主義を支える柱だ。国はいかなる時でもいかなる場所でも、この基本的権利を保障する義務がある」と話していました。

このニュースを読んだ後、ネットで日本のニュースを見たら、「朝日新聞阪神支局襲撃から33年」という見出しが目に飛び込んできました。


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