見出し画像

彼女は丑年

そう言えば丑年生まれだったな。
草を食む牛を見て思い出した。

気ままな小旅行のはずが、思うのは彼女のことばかり。


大きくため息をついたら、一頭が顔を上げた。
黒い濡れた瞳と、しばし見つめあう。


やがて牛は「もう」と低い声を残し、くるりと背を向けた。


あの日の彼女のように。

 
(2011.5.2にTwitterに #twnovelタグで投稿したものの再録 )

   ★   ★   ★

そういえぱ今年は丑年でした。

なんだか突然このついのべを思い出したので再録。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?