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西鉄貝塚線 忖度無しレビュー

なすの地方鉄道ノートへようこそおいで下さいました。
前回の 熊本電気鉄道のレビュー に引き続き、九州より西鉄貝塚線を取り上げていきます。
※辛口になる部分もありますので、苦手な方はブラウザバックをお願いします

西日本鉄道(以下:西鉄)の本線である天神大牟田線とは接せず、独立した立地となっていることで有名です。

今回は、貝塚線の全線の乗車と、貝塚、和白、西鉄新宮での3駅の下車、及び接続する地下鉄箱崎線全線の乗車を元にレビューしていきます。


高評価ポイント

私の偏見かもしれませんが、この手の大手私鉄の独立した支線は、概ね「ボロイ・汚い・臭い」といったイメージがあります。どの路線とは今回は言いませんが、いつか取り上げたいなと思っています。

今回、まず貝塚線で驚いたのは、駅のクオリティの高さでした。

同じ日に天神大牟田線にも全区間乗車しましたが、設備の充実度は全く負けていないのではないでしょうか。

2006年に西鉄千早~西鉄香椎間が高架化されている影響もあり、そもそも新しい駅なのですが、まるで大手私鉄の幹線のような佇まいで、圧倒されました。

設備面も素晴らしいものでした。一番驚いたのは西鉄香椎駅にはエスカレーターが設置されていたことです。全車両2両編成の駅とはとても思えません。

他にも、いくつかの駅でホーム上待合室が設置されていることや、西鉄新宮駅、唐の原駅、和白駅等の古い駅でも丁寧に整備されています。西鉄の気合の入れようが力強く伝わってきました。

香椎宮前駅 貝塚線単独駅でこのクオリティ(Wikipediaより)
西鉄香椎駅 構内図(西鉄HPより)
http://www.ensen24.jp/kaiduka-line/kashii.html
西鉄香椎駅ホーム デザインにも力が入っています。
(Wikipediaより)

線路と車両

よく整備されており、大変綺麗で驚きました。

線路も平滑に整備されている為か、突き上げるような揺れもなく、古い車両にも関わらず乗り心地がよかったです。

クリーム色と赤帯の車両塗装も非常に美しく、恐らく検査の直後だったのかもしれませんが、メンテナンスが行き届いていると感じました。

雨汚れや塗装剥離が目立ちやすい色合いなので結構リスキーだと思いますが、本線のライトブルー色×赤帯の車両よりも明るく華やかなので、個人的にはこちらのほうが好印象でした。

機能的には、行先表示機が見やすくよかったです。
西鉄新宮行きはブルー、貝塚行きはオレンジと、1面1線の駅でもわかりやすい工夫がされていました。

無理やり文句をつけるなら、交通量の多い踏切がある為、排障器(スカート)が欲しいなと思いました。

西鉄600系 車体に汚れが見当たりません。(なす撮影)
600系 側面(なす撮影)

正直、ここまで全体的なクオリティが高いとは想像していませんでした。大手私鉄ということもあり運賃も割安ですし、運行に関しても最高速度も65km/hとJRと比べれば圧倒的に遅いものの役割の違いにより影響はないでしょう。ネガティブな部分を探すのに苦労しました。

しかし、実際に存廃が議論されていた過去がある上、2007年には3両編成から2両編成へ減車していることから、厳しい面があることを忘れてはいけません。

低評価ポイント

立地

やはり、立地は不便だなと感じました。

多くの駅でJRや地下鉄と接しているものの、博多や天神へ直接行けないのは不便でした。

首都圏や関西圏であれば乗り換えが多くとも、交通手段が限られるのでやむを得ない部分があるかと思いますが、他の都市圏では都心へダイレクトにアクセスすることは、鉄則なのかもしれません。

たびたび地下鉄箱崎線との直通運転が議論されていますが、費用の面からなかなか上手くいかないようですね。(以下参照) 私も実際に乗車し、直通運転は大きな効果があると思いましたので、是非とも応援したいところです。

立地についてネガティブに評価しましたが、起点の貝塚駅は、地下鉄とのアクセスを十分に考えられていますし、沿線には香椎、千早といった副都心的な機能を持つ駅もありますので、決して致命的に悪いわけではないように感じました。

車内の騒音と放送

最高速度付近ではモーター音や駆動音が大きく、車内放送がよく聞こえませんでした。初めての乗車する時に次が何駅かわからないのは少し辛いなと感じました。

1960年代設計の車両なので仕方ない部分も多いのですが、スピーカーをクリアなものに変えるか、音量を大きくする、または次駅案内ができるLED表示機を設置するなど、案内面の工夫を少しされてもいいのかなと思いました。

車内(なす撮影)

企画・利用誘致

駅や線路、車両の整備性などのハード面はしっかりしている西鉄貝塚線ですが、企画に関しては西鉄から完全に見放されているといっても良いと思います。

例えば、西鉄が発行しているFUKUOKA 1DAY PASSですが、路線バスや西鉄甘木線が対象にも関わらず、貝塚線は対象外です。

立地上、独立しているため難しいのかもしれません。

その他企画切符も、貝塚線はことごとくスルーされています。
大宰府、柳川という知名度抜群の観光地が主体になるのも仕方ないかもしれませんが…. 何かできないものでしょうか。少し悔しいですね。

総合評価

☆☆☆☆★ 星4つ

素晴らしい!

まとめ

いかがでしょうか。

正直、ネガティブな印象は殆どありませんでした。
これが地方都市レベルの路線なら「星5つ」でも良いかなと思いました。素晴らしい鉄道路線でした。

しかし今回は立地上、「福岡都市圏の路線として考えると、そのポテンシャルはどうなの?」という部分が、どうしても低評価ポイントとして多く挙がりましたので、評価を一つ下げさせて頂き「星4つ」とさせて評価致しました。

地方私鉄や、ローカル線を日常的によく乗ったことがある方に、是非一度乗って欲しい路線です。価値観が変わります!

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