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一畑電車 忖度無しレビュー

なすの地方鉄道ノートへようこそおいで下さいました。
今回は一畑電車の北松江線、大社線のレビューをしていきます。
※辛口になる部分がありますので、苦手な方はブラウザバックをお願いします

一畑電車の属する一畑グループは、島根県において交通・観光・商業・不動産の核として存在感の強い会社です。また映画RAILWAYSの舞台としても有名ですね。

今回は、北松江線と大社線全線の乗車と、松江しんじ湖温泉、一畑口、雲州平田、川跡、出雲大社前、大津町、電鉄出雲市の7駅の下車、及び自動車での調査、接続する路線バスとJRの乗車を基にレビューしていきます。

今回のレビューより、「運行」「運賃・きっぷ」「駅」「車両」「その他」の5項目と、「5段階評価」を行う形でまとめていきます。


運行

毎時1本をベースとし、平日は通勤需要、休日は出雲大社への観光需要に合わせて増発しています。増発便に関しては急行や特急などの速達列車も多数運行しています。今回、出雲大社~電鉄出雲市の特急に乗車しましたが、なかなか軽快に走るので便利だなと思いました。

しかし島根県という土地柄、出雲大社への観光ユーザーの殆どが自動車や二輪車でのアクセスであり、多くの観光地に無料駐車場を充実させているので一畑電車にとって厳しい状況だと感じました。

私が訪問したのが日曜日でしたので、利用客も多く川跡では乗り換え客も併せてホームに人が溢れる状況でしたので、土休日は1時間に2本以上の運行があっても良い気がしました。ただし接続する山陰本線の本数も少ないので一丸には難しいところかもしれません。

沿線に関して言えば都市圏人口に対して中間駅周辺に宅地が少ない印象で、一畑電車がもう少し沿線開発に取り組んでいれば日常利用が多かったのになと思いました。

接続する路線バスも比較的少なく、連携性も低い印象がありました。せっかく同一グループに一畑バスがあるので鉄道とバスを連携させた一体的な交通網としても良いのではないかと感じました。

例えば愛媛県松山市を本拠とする伊予鉄道が良い例で、列車とバスの乗り換えが非常にスムーズで連動性も高いです。

運行に関しては少し残念だなと思いました。

川跡駅 時刻表(なす撮影)
出雲大社前ー電鉄出雲市の特急列車(なす撮影)
一畑口で接続するバス 少ない。(なす撮影)

運賃・きっぷ

初乗りが170円、一番高い出雲大社ー松江しんじ湖温泉で820円(37.3km)となっています。

初乗りは安価なものの、長距離が割高な印象があります。

ただ1日乗車券が1600円で販売している他、松江フォーゲルパーク等の施設とのタイアップした企画乗車券も多く発行されているので、工夫次第で周遊できるのかなと思います。

さらに定期に関しては6ヵ月の場合、通勤で56%引き、通学で76%引きと、かなり安く設定されており一畑電車の気合っぷりを感じました。
(地方鉄道では通勤40%、通学60%引き程度が一般的かなと思います。)

外貨を稼いで地元に還元という一畑電車の熱い想いなのかもしれません。素晴らしい!

企画切符や定期が充実している為か、ICカードには非対応となっています。本来であれば低評価ポイントですが、これはこれでアリかもしれないなと勉強になりました。窓口での電子決済が可能であれば尚いいですね。

自動券売機(なす撮影)

利用客の多い駅と、少ない駅の差が激しいと感じました。中間駅でも雲州平田、大津町、川跡などの駅は比較的設備も良く、雲州平田、川跡に関しては駅員配置もされています。

先述した通り中間駅周辺は宅地が少ない為、利用者がかなり少なく日常利用されているようには思えません。例えば武志、遥堪、高ノ宮などは設備も旧式のままで、点字ブロックの無い駅もあります。駐輪場の用地が確保できないためか、武志等ホーム上に駐輪スペースを設置しているケースもあり、これは安全性やバリアフリーの観点から大丈夫なのかと心配になります。

一畑電車も限られた予算の中で色々考えてのことなのかもしれませんが、観光特化型の路線としては山陰地方という立地上限界があるので、やはり日常利用を積極的に増やす試みをしてほしいなと感じました。もったいない!

乗車客数一覧(なす作成)
利用客の多い駅 電鉄出雲市(なす撮影)
利用客の少ない駅 武志駅(Wikipediaより)

車両

一畑電車は、7000系、1000系、5000系、2100系など多種多様な車両が活躍しており、鉄道ファン目線としては楽しいラインナップでした。

外装カラーとしているオレンジ色は、色落ちや雨垂れの汚れが目立ちやすい色にも関わらず、よく手入れされているなと思いました。

乗り心地は、車両によって性格が大きく変わるので一丸には言えないのですが、新型の7000系の乗り心地はとても良かった反面、比較的古いクロスシートの5000系の乗り心地は過去最悪レベルでした。特に2列の固定クロスシートのウレタン材が老朽化して伸縮してしまっているのかもしれません。これは高齢者などの腰の悪い人には厳しい乗り心地です。

細かい所を言えば、比較的高速運転する一畑電車では、安全の為に前面排障板(スカート)。それと観光シーズンはホームに人が溢れることが想定されるので車両間の転落防止幌も欲しいなと思いました。

2100系(左)と保存車のデハニ50型(右) 出雲大社前にて(なす撮影)
5000系の転換クロスシート。汚れが目立ちます。(なす撮影)
川跡駅の乗り換えシーン。転落防止幌が欲しいところ。(なす撮影)

その他

一畑電車のホームページによると、イベントが多いことが一番驚きました。国内はもちろん、台湾等へのイベント参加等を精力的に行い、一畑電車と島根県をアピールしていることがわかりました。

他にも保存車であるデハニ50型の運転体験会や、イベント列車の運転、さらに運転士に対してサングラス着用検証を行うなど、向上心に溢れる会社なんだなと感じました。

細かな部分では中小私鉄らしい欠点もあると感じますが、この精力的な活動は国内でも珍しいのではないでしょうか。

デハニ50型の体験運転中。雲州平田にて(なす撮影)

5段階評価

☆☆☆★★ 星3つ

いいところもあれば、悪いところもある!

まとめ

いかがでしょうか。

正直、乗った印象だけで言えば星4つ以上でもいいんじゃないかなと思いました。運賃面、駅、車両(5000系を除く)に関しては地方鉄道としては十分なポテンシャルですし、イベントなども精力的に行っているので素晴らしいと感じました。現地でもそれが伝わるほどで、乗っていて楽しさがありました。

しかし評価を一番下げたのが「運行本数」で、やはり少なく感じます。

島根県は全国で2番目に人口が少ない県ですが、一畑電車が走る松江市、出雲市併せて37万人を抱えています。やはり本数は毎時2本+αは運行して欲しいですし、小さな駅の利用客数のほとんどが100人以下である現状を見ると、日常的に利用されているとはとても思えませんでした。

日常利用が増加すれば、松江都市圏、出雲都市圏がもっと活性化すると思いますし、地元の方から一畑電車が愛されると思いますので、官民双方で協力して盛り上げていってほしいなと感じました。

ポジティブな面、ネガティブな面もありましたが、魅力ある沿線と、多種多様な車両が楽しい一畑電車に、是非とも乗りに来てください!

温泉や足湯が沢山ありますので着替えとバスタオルの持参をオススメします!

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