流産・死産の絶望の中で検査をすすめられるということ

 娘を死産してから、2週間が経ったときのことです。

 いろいろとお世話になった産婦人科クリニックの診察室で、主治医から専門医療機関での検査を勧められました。

 3回の初期流産と、22週での死産。

 これだけの経過があれば、検査を勧めるのは医師として当然だろうな、と思いつつも、そのときのワタシは消極的でした。

 消極的になっていた理由は2つありました。

 ひとつめの理由は、最初の妊娠で息子が順調に育ち、今も元気に過ごしていること。

 もうひとつの理由は、2回目の流産のあとに、不妊治療専門のクリニックで不育症の血液検査を受けており、問題が見つからなかったこと。

 クリニックで採血をし、専門機関で試験してもらうスタイルのもので、費用は2万円くらい。専門医院に比べれば簡易とはいえ、何か原因があれば引っかかっているのでは?と思いました。

 さらに言えば。こちらが一番の理由とも言えましたが。

 検査をしたところで、なくなった赤ちゃんは帰ってこない。

 このときのワタシの望みは、赤ちゃんに会いたい、ということだけ。

 もちろん叶わないものだと、頭で分かっていても。

 会えないのならば、今は何もしたくない・・・気持ちも体も、どこかに一歩踏み出すことができない状態でした。

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 しかし、産婦人科の医師は検査を受けることを強く勧めます。

 「原因があるか調べないと、次のときに、僕は責任を持って診察できません」と。

 背中を押したのは、この一言でした。

 死産の処置を待つ入院中、ほかの病室から聞こえてくる赤ちゃんの元気な泣き声を聞きながら、強く願っていたことがあります。

 こんなはずじゃなかったよ。わたしは、赤ちゃんを抱いて、笑顔でここから退院したかった。

 このまま、悲しい思いで終わらせたくない。もう一度、もし次の機会があるならば、そのときこそ必ず。

 娘を死産したこのクリニックは、長男を産んだクリニックです。ワタシの人生の中で、大切にしたい場所でした。

 このままでは次の診察はできない、と先生が言っている。

 ならば、もう一度。このクリニックで診てもらう日のために、検査を受けよう。

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 先生の勧めで、新横浜にある杉ウィメンズクリニックで診てもらうことに決めました。

 ちょうど電話をしたタイミングでキャンセルの出ていた枠があり、1ヶ月後に予約を取ることができたのでした。

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