大学3年生で論文式試験に合格した君へ

公認会計士試験合格おめでとう。
 
テニサーで派手に遊ぶ友人を横目に、図書館や自習室に篭り、ひたすら答練の点数を追った君の学生時代は遂に報われた。合格者の多くは、東大/早慶受験を失敗したことのリベンジとして、公認会計士試験合格を目指した者も多いと思う。公認会計士合格者である君のレベルは、間違いなく東大最下層よりも上である。胸を張って道(キャリア)を歩もう。
 
しかし、公認会計士試験に合格したことで、君の比較対象は、総合商社/金融機関/大手メーカー/GAFAに勤める同級生になるはずだ。テニサーで遊んで彼女とよろしくやっていたイケイケの同級生は、合コンでモテる勤務先、充実した福利厚生、安定した高年収を手にすることになる。彼らは総じて要領が良くコミュニケーション能力が高いので、上手く世間を渡れてしまうのである。
 
一方監査法人に入所した君は、死んだ目をしたマネージャー、飛び級制度のない年功序列の人事体制、日本経済と共に下がり続ける監査報酬を目の当たりにするだろう。サビ残が常態化している監査チームに配属され、馬車馬のように働き続けた君は数年後、繁忙期明けにふと思うだろう。
 
「転職をして、キャリアアップをしよう。バンカー/商社マンになりたい。GAFAで一発1500万円手にしたい。」
 
そして、問題に直面することになる。
 
それは、「英語力」である。
 
学生時代、公認会計士試験に全力を捧げてきた君は、帰国子女でもなく、長期留学経験者でもないだろう。君がより良い就職先に行くために必要なのは、修了考査合格ではなく、「英語力」である。
 
例えば慶應商学部卒の公認会計士合格者は、監査法人勤めに疲れ、M&Aバンカーになりたいという野望を持った。幸運にも学生時代の友人のリファーラルをもらい、外銀の面接に招待された。しかし、英語面接ができず即落ち。結局日系金融機関に転職したものの、外資と日系の年収差はアナリストで600万円、アソシエイトでは1000万円以上違う。その後ポストIBDのキャリアも含めると、生涯年収1億は違うだろう。
 
じゃあ、監査法人で5年勤務した後、海外の監査トレーニー制度使って、2年間海外のメンバーファームに行けば、苦手だった英語力も補え、市場価値も爆上がりするのではと思った方もいると思う。しかし、29歳監査経験のみの海外帰りの公認会計士は、みんなが考えているよりも市場価値は低い。監査経験をレバレッジして、外資や日系大手のバックオフィスにはリーチできるが、外銀フロントや外資戦略コンサル、商社の投資業務などの花形業務には程遠い。
 
転職市場での価値は監査法人入所後から修了考査受験前後の25-26歳が一番高い。3-4年の監査経験と高い英語力があれば、君が思い描くキャリアが実現できる可能性がある。景気がよければ外資系投資銀行のフロントに直接いける。MBBやGAFAに行きたければ、海外MBAを挟めばよい。海外MBA卒28歳と、海外監査トレーニー帰りの28歳とでは、市場価値に雲泥の差がある。
 
論文式学生合格者向けにこの文章を書いているが、結論私が言いたいことは、「学生アルバイトとして監査法人の養分になるな。ひたすら英語を勉強しろ」である。時給3,000円のバイトと引き換えに、将来広がる大きなチャンスを失うようなことをするな。学生合格するような頭の持ち主であれば、一年間英語をガチれば、TOEFL 100, IELTS 7.0レベルに行けるだろう。
 
健闘を祈る。

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