明け方の星、頬を伝って
何度目の涙だろう
と、ふと考える。
胸がくるしくなって、時間の流れがゆっくりになる。そして身体がふわっと浮いたり、ズシンと重くなったり。
ふと真夜中の遊園地に迷い込んだみたいに思えて、泣きながら、笑ってしまう。
わたしはきっとこのままなのだ。この気持ちを抱えて、ひとつひとつ、大人になる。
空が明るくなるにつれて、わたしの体からだんだん力が抜けていって。
まるで着物を着た蚊がわたしの額にとまり、左、右の順に己の羽を丁寧に畳んでから「失礼いたします」と一応声をかけて吸血するように。
夜から朝へバトンを渡して、街灯は消え、目覚めた人と、眠れなかった人に同じ朝がくる。あの人にも。
思い出すあれこれ
運動会の朝、初めての告白、飲み会帰りの始発列車。
スーパードンキーコング、突き指、リアル鬼ごっこ、おしりかじり虫、タルたいほうの谷(スーパードンキーコングのステージ)、何かの煮こごり、ソフト麺、ゴルゴ松本。
じゃがアリゴ。
龍畜の群れが薄い青の空を飛び交い、街は忙しく朝模様に変わる。
また今日も同じ朝だ。
アナゴさんのモノマネをする生主って何人いるんだろう。
ローション相撲って死ぬ前に一度やってみたいけど、絶対に一度だけでいいな。
腐女子ってすごい言葉じゃない?
まえだまえだって今何してるんだろう。
思考が巡る。
64のクッパって出川哲郎に似てない?
朝。
一日の始まり。
一日の終わり。
星は落ちて、モグラはサングラスを掛けて、ドンキーコングは赤いネクタイを締める。
近所の名物爺はゲーセン帰り、音ゲー用の手袋を肛門に当てがい、『パプリカ』のリズムで屁をひりだす。
片岡鶴太郎の起床時刻、1:00。鶴太郎にとってはもう昼である。
スーパーマリオ64を起動したまま寝落ちした少年は、画面の中に放置されたマリオと同じように眠りこけている。