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【特別企画】選手インタビュー 粂原圭太郎編|第5回ちはやふる小倉山杯

はじめに

こんにちは、ちはやふる基金の本保です。
第5回ちはやふる小倉山杯はいよいよ明日開催。

そんな本日は粂原圭太郎元名人をご紹介いたします。
一見トリッキーなかるたで界隈をざわつかせた粂原元名人。
ご本人にお話を伺うと、真にかるたを楽しみ、真摯にかるたに向き合う粂原選手が見えてきます。


❶粂原元名人にとってのちはやふる小倉山杯

—これまで連続出場されている粂原さん。ちはやふる小倉山杯にはどんな感想をお持ちですか?

第一に感謝の気持ち

まず、このような大会を開いていただけることへの、感謝の気持ちが大きいです。
他の大会と大きく違う点として、賞金が出るという点があると思います。もちろん、お金のためにかるたをやっているわけではないです。ですが、優勝して得られるものが名誉や称号だけでは、人によってはモチベーションが続かなくなることもあると思います。そういう意味でも、このような大きな賞金が出る大会を開催していただいて、参加させていただけることはとても嬉しいです。
限られた選手しか出場できない大会に、こうして毎年出させていただいていることにも、感謝しています。

―ちはやふる基金として大会に賞金を提供しているのは、あの場に立てるくらい競技かるたに向き合い研鑽を重ねてきた選手の努力に報いられるものを手渡したいという想いがあります。
粂原さんの仰る通り皆さんお金のためにかるたをやっているわけではないというのは周知のこととして、私たちがみなさんへの敬意を表す手段として賞金という形をとった、その思いが伝わっているんだなと感じてとてもうれしいです。

❷今の練習環境・練習相手は?

―次に、最近のかるたライフ、練習環境や練習相手についてお聞かせください。

今年に入ってからは、週2試合くらいですね。普段は京大の後輩が自宅に来てくれて、練習することが多いです。
田渕くん、榎田くん、榎森くん、山口くんと良くとっています。
昨年、名人クイーン戦の前には堀本さんや山添さんのお相手をさせていただきました。
今年は大会に出ていたこともあり、土日にある小倉会の練習には顔を出せていないんですが、昨年は山添さんと良く練習しましたし、荒川さんにもご指導いただきました。

―新年早々から高松宮杯で優勝されていましたよね。おめでとうございます!
名人位・クイーン位決定戦の前日にお会いした際に、「今年は大会にたくさんでます」と仰っていましたが、早速結果を出されていてさすがだなと思いました。今年、大会にたくさん出ようという心境になったきっかけなどはありますか?

昨年X(旧Twitter)のスペースなどで、いろいろな方とお話させていただいたことがきっかけで、百人一首マスターズというオンラインコミュニティを立ち上げました。
そこでは、僕のかるたに対する考えをさらけ出しているんです。
これまでは、自分のかるたに対する思考をオープンにすることに、少しためらいがありました。僕、何でもしゃべっちゃうので(笑)。特にここ数年は、対策されちゃうことを考えてあまりやってこなかったんですが、いろいろな人と話す中で、考えが変わってきたところがあるんです。今後百人一首マスターズで僕の考えを知った選手が、いろいろ対策してくると思うんですが、それに勝てたら自分はもっと強くなれるなと。

以前山添さんに「動画がたくさん出回ってるから、それ見て対策されるよね」という話をしたときに、「動画の自分は過去の自分。本番はもっと進化してるから、あまり気にならない」と言っていて、かっこいいな!と思いました。その言葉に影響されたのかもしれません。

―立ち向かってくる相手に勝ってもっと強くなっていこうというのは、少年漫画の主人公みたいですね!

いやいや(笑)ただ、自分にはまだまだ伸びしろがあるなと思っているんですよね。
だから今、かるたが楽しいです。

ここ2年くらいは準備期間というか、試行錯誤の期間だったことと、あとは仕事関係で環境が整ったというのが大きいかもしれません。
いま顧問をしているソーシャルデータバンク株式会社は、僕がかるたをやることをとても応援してくれているんですね。最初にスポンサーになってくださった、ユニテックフーズさんも、変わらず応援してくれていますし、着物の「和多屋の里」さんも、スポンサーになってくださいました。そんな風に、かるたを頑張れる環境が整ったこともあり、今年はたくさん大会に出たいなと思っています。

―かるたを続けるうえで、環境ってとても大事ですよね。
所属会である京都小倉かるた会には先ほどお話しに出た山添さんや荒川さん、上野玲さんなど強い選手が多いこともプラスに影響しているのではないでしょうか。

それはあると思いますね。
2月の各回対抗や国文祭など、団体戦で一緒に戦って勝ちにいけるというのも大きいです。それだけの強い選手がそろっていることが、モチベーションになっています。

京大の頃ももちろん楽しかったのですが、自分が年も上で引っ張る立場にいたので。
それに会の方が優しくて、大会で勝ったらおめでとうと声をかけていただくことが増えたりと、とても良い環境にいさせていただいているなと思います。

❸ポジティブスイッチは?

かるたを楽しく続けるためには環境とともにメンタルコントロールも重要なのではないかと思うのですが、ポジティブスイッチ(ポジティブになるためにやっていること)はありますか?

そもそも、ネガティブになることがほとんどないんですよ。
常にポジティブスイッチが入っている状態。
ネガティブかポジティブかという0か1かということではなく、ポジティブな中でも度合いが0~100まであって、それを100に持って行くという意味で、やっていることはあります。
普段から音楽を聴きながら、ウォーキングとジョギングをしていますが、そうすると気持ちが整っていく感覚があります。
あと僕は漫画やアニメがとても好きなんですが、登場人物のエピソードに自分を投影して、気持ちを高めるというのもやっていますね。

―漫画お好きなんですね!好きな作品はなんですか?

「Fate/Zero」、「アカギ」、スポーツ漫画だと「ハイキュー!!」や「MAJOR」、「SLAM DUNK」などです。
あとはやっぱり「ちはやふる」。競技かるたそのものを描いていることもあって、読むといつもやる気をもらえます。詩暢ちゃんがYouTubeをやっていることとか、太一が京大に入ったことなど、自分と重なるところがあってうれしかったですし、勇気をもらっています。

❹小倉山杯、どんな戦いをしたい?

めざすは同会決勝

最後に、第5回ちはやふる小倉山杯に向けてのお話を聞かせてください。
どんなかるたをしたいとか、自分のかるたのここを見てほしいとか、この選手と対戦したいなどはありますか?

山添さんと当たりたいですね。前回は3位決定戦で対戦したのですが、これが決勝だったらよかったねと話していたんです。
男女で当たるのは3位決定戦と決勝になるので、今回は決勝戦で、京都小倉会対決をお見せ出来たらうれしいです。

あとは…恵令さんとはあたりたくないですね(笑)過去2回の小倉山杯ではリスペクトの気持ちが強すぎて、思うように自分のかるたができなかったというか、自分のかるたをしても通用しないのでは?と思う事もありましたから。ただ、もしまた対戦する機会をいただけたら、あたったとしたら、もっと強い気持ちで戦いたいと思っています。

―それでは、最後に大会への意気込みをお聞かせください。

原点に返ってかるたを楽しみたいと思います!

―楽しんでかるたを取る粂原さんを見られるのを私も楽しみにしています!
今日はありがとうございました。

おわりに

粂原さんは、お話を伺うたびに新しい面を見せてくれる方で、それはかるたに関しても一緒だなぁと感じました。
しっかりとした芯がありながら経験や環境の変化に柔軟に対応し、もっと強く、もっと楽しく…と進んでいく姿に、次はどんなお話がきけるのかな、どんな試合を見せてくれるんだろうとわくわくさせてくれる存在です。

明日の粂原さんはきっとインタビューを受けていただいた時からさらに進化しているかもしれませんね。とても楽しみです。

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