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おばさんと一緒にいただく、ブルゴーニュの家庭料理

今週はパリから南東にTGVで1時間の、モンバルMontbardというところで、ホームステイをしている。上の階におばさんが住んでいて、毎日アペリティフから始まりデザートとカフェに終わる豪華な昼食を、用意してくれる。

すべて伝統的なフランス料理で、食べながらフランス文化について、いろいろな話をしてくれる。もちろん単に会話していることも多いが。

モンバルはブルゴーニュ地方にあるので、フランスだけでなく、ブルゴーニュの食べ物の話などもあり、実際に出してくれる。何度かブルゴーニュをブルターニュと言ってしまい、にらまれた。ブルゴーニュはフランス中央東側。ブルターニュは北西部、つまり名前の通り、イギリスよりだ。

朝食にカフェオレを飲むようになったのは、コーヒーが高く、フランスでは牛乳が豊富なので、かさ増しするためだったのだそう。ところがコーヒーと牛乳を一緒に飲むと、消化に良くない、というデータが出て、今はフランス人は朝食にカフェオレは飲まないのだ、と彼女はいう。

消化に良くないというデータは知らなかったが、実際そうであることは、体験している。彼女はお茶、わたしは豆乳とデカフェのカフェオレにしてもらっている。たまたま彼女が買ってあった豆乳は、はちみつと生姜入りのものだった。朝のパンにも、バターとはちみつやお手製のコンフィチュールをつけて食べる。

アペリティフは買ったものもあるようだが、自作のものもよく出る。日本で梅酒を作るようなものかもしれない。最初の日は、クレム・ド・カシスにアリゴテaligotéというブルゴーニュ産のワインを合わせた、キールkirというアペリティフが出た。アリゴテは白しかなく、ブルゴーニュの土地でしかその真価を発揮しないのだそう。

これにグジュールGougèreというパティスリーと、ジャンボン・ペルシエle jambon persilléというハムのゼリー寄せパセリ風味を合わせるのが、定番だそうで、初日にその通りに出してくれた。パティスリーといっても甘いケーキではなく、シュークリームのクリームの代わりにグリュイエールチーズがのっているもので、塩味である。


庭で取ってきたという青物野菜とジャガイモのスープののち、鴨の煮込みと、ムール・マリニエール、つまりムール貝の白ワイン蒸しが、メインででた。ムール・マリニエールはじつはまさに、ブルゴーニュではなくてブルターニュ地方の、料理なのだが。

森へ行って摘んできた野生のアスパラのスープというのも、でた。野生のアスパラを食べるのは、初めてかもしれない。これは庭で取ってきたの、とか、森で摘んできたの、というのがしょっちゅうあって、環境そのものが、シェフやグルメには夢のようなところだ。

カバー写真は別の日の、シェーブル(ヤギのチーズ)とポワロー(ポロネギ)のタルト。焼いたシェーブルというのは、当然ながら生とはまた味がちがう。ポワローのタルトといい感じに調和していて、かなりおいしい。半分残ったのは、おみやげにくれるそう。

食べにきているのではなく、午前中にフランス語のレッスンがあるのだが、この、食前酒とつまみ、サラダと前菜、メインにチーズにデザートにカフェという食事が毎日家庭の食卓に出るというのが、うれしい。もっとも量が多すぎるので、チーズは好きだけれどパスすることが多い。

アーカイブのカンティーンでも、同じように全部出る。レストランに行くからではなく、毎日こういうのが家庭料理として食べられるというのに(作ってくれる人がいるからですが)、やみつきになっている。

#フランス #ブルゴーニュ #フランスの家庭料理 #モンバル #Montbard #カフェオレ #田中ちはる








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