その辺の社会人女性による薄毛日記

自己紹介

 はじめまして。ご覧いただきありがとうございます。10代から薄毛に悩みつつ、現在は会社員をしている女性です。

 薄毛対策として色々試したものの満足な効果は得られず、普段はウィッグで生活しています。せっかくなのでこれまでに試した経験を記録として書いておこうと思います。

※この記事は女性で薄毛な自身の薄毛に関するただの日記です。薄毛に関する正しい知識や具体的な数字は書いていません。治療などをお考えの際は専門の医療機関に相談してください。トラブル等の責任は負いかねます。 

薄毛の気付き

 高校二年生の頃だったか。湿度が高いと毛が妙にうねるようになった。そして抜け毛が増えた。教室の自分の席の周りにはいつも毛が落ちていた。長い毛も、成長途中のような短い毛も。高校三年生に上がる頃には、頭頂部の地肌が見えるようになっていた。

 それからも毛量はじわじわと減っていき、大学在学中には何度か他人から薄毛を指摘された。指摘をした友人は「何かあった?」と心配してくれている様子だった。当時の写真を見返すと、同年代の中自分だけがやけに老け込んで貧相に写っている。

試した順番

  1. リアップ

  2. 増毛スプレー

  3. ノンシリコンシャンプー

  4. ヘアピースウィッグ(人毛)

  5. ふりかけ

  6. ミノキシジル服用

  7. 増毛エクステ

  8. フルウィッグ

  9. ヘアピースウィッグ(人口毛)

↓以下 書きなぐり使用感の感想日記

・リアップ

結:頭皮が荒れて使用を断念

購入

 薬局のヘアケア用品の一角に、髪のお悩み製品コーナーを発見。想像していたよりも色々な商品があって、目当てのリアップのついでに増毛スプレーもここで見付けて購入した。

 リアップはミノキシジル配合の医薬品。頭皮の気になる部分に液体を毎日トントンして、長い年月をかけて様子を見る。ものの試しに女性用のリアップリジェンヌを購入した。購入した、と言っても購入は精神的に容易ではなかった。この時21歳。お洒落盛りの女子大生が。周りはみんな服を、アクセサリーを、コスメを買って、美容室に行って、時に市販の染薬で派手髪にしてはしゃいだりして。そんな中5000円出して自分の容姿を“人並み”に近付けるためにリアップを買う。気落ちした。

 また、リアップリジェンヌはレジに持っていけば購入できるものではなく、第一類医薬品なので一度薬剤師に相談してからの購入となる。「この人髪で悩んでるんだ。」そう思われるのが辛くて、薬剤師のカウンターまで商品を持っていくのに無駄に時間が掛かった。結局わざわざ普段使わない薬局まで出向き、現金で購入した。薬剤師から使い方などの説明を受ける。2度買ったが、1度目は人目を配慮してくれて隅の方で説明してくれた。もう1度目は他の客がいる前で説明を受けた。堂々としていようと思いつつ、私は自信なさげに俯いていた。

使用

 次の日に支障が出ない休日の前夜。寝る前に液体を頭頂部にトントンした。アルコールのスーッとする清涼感。頭皮に吸収されている感じはなく(付けすぎ?)だらりと液体が頭皮を伝って落ちてきた。朝、頭皮は真っ赤にかぶれていた。吹き出物ができ、リアップでない液が頭頂部から流れ出す。こりゃあイカンとすぐにシャワーで洗い流した。数日使用を控えたら幸い頭皮が元通りになったので、もう一度リアップリジェンヌを使用。朝になったらやっぱりかぶれていたので、私には合わないと判断した。諦めきれずその後も数回試したが、結果は同じだったのでリアップリジェンヌの使用は断念。

 自分の髪と肌は信用していないし、そんな星の元に生まれてきた、などとメンタルが既に諦めの境地だったので、発毛の選択肢が一つ失われてしまった事に対しては少し嘆いて終わりにした。

 リアップには発毛促進剤が使われているので、副作用が出なければ人によっては有効に使えると思います。

※使用には注意し、正しくお使いください。

※副作用は皮膚のかぶれ以外にも、血圧・その他臓器に異常が出る場合があります。後述しますが、私がミノキシジルを服用をしていた時は医師に相談し検査なども行いながら服用を続けました。

・増毛スプレー

結:明るい場所でバレバレだった

 リアップリジェンヌと同時に購入した増毛スプレー。商品名は忘れてしまったが1500円くらいで、女性をターゲットにしたようなピンク色のパッケージデザインの商品だった。使い方は簡単。気になる生え際にスプレーすれば、その部分に黒か茶色の色が付き、地肌が目立たなくなるというもの。

 シュッとすればあら不思議、私、ハゲてない。頭皮に絵の具を塗ったかのような嫌なベタつきと、強力なスタイリング剤を使った時のようなカチカチな髪の固まり具合。付け心地は最悪だった。だが、私、ハゲてない。希望の光が見える。

 しかしすぐに使わなくなった。

 イケると思った私は早速スプレーを使い、外出した。あろうことか友人とディズニーランドへ行った。カピカピの感触になった頭皮と髪を出来るだけ気にしないようにしながら楽しんだ。その日は晴天だった。太陽光の下、鏡に映った自分の姿に驚愕した。光っていたのだ。スプレーした部分だけ、あまりにも不自然に、白く反射していた。他の客は可愛いキャラクター達に夢中だったが、偶に私の頭頂部を二度見する人がいたりした。「カリブの海賊に乗りたい。」私はそう言って夜を待った。自分の薄暗い部屋で試しただけでは気が付かなかった。

評価

 電車などの白系の明るい蛍光灯、明るい外だとバレる可能性大。

 生え際の白髪だと思われるかも。

 暗い場所限定なら使えるかもしれない。

 付け心地は悪かった。毛穴を塞ぐので発毛の邪魔になる。

・ノンシリコンシャンプー

結:効果とか分からないけど不自由ないので現在も使用

 それまでどこでも手に入るシリコンシャンプーとコンディショナーを使っていたが、ノンシリコンシャンプーの存在を知り試してみる事に。

 リアップリジェンヌのシャンプー・コンディショナー、スカルプD、ジョンマスターオーガニック、nano suppliを使用した。とりあえず、ノンシリコンシャンプー共通で言えるのは、泡立ちにくい事だ。市販のシリコンシャンプーと比べると泡立ちやすさの違いにはすぐに気付くだろう。そしてものによってはキシキシときしむ感触があったりパサパサな仕上がりになったり。人によってはそれがストレスになりそうだ。

 泡立たないからと沢山出して洗うより、すぐに泡立つシリコンシャンプーでササっと洗った方が楽で髪にも良さそうだと個人的には感じてしまった。

 しかし、これは大体10年くらい前の事。私がノンシリコンシャンプーを探し始めてしばらくすると、ノンシリコンシャンプーのプチブームが起こった。(体感) テレビ、雑誌などでも“ノンシリコン”の文字を目にする機会が増え、学校の友人との間でも一度話題に上がった。

 「普通のシャンプー使ってるとハゲるらしいよ。」

 綺麗な髪の友人が言う。こちらから見れば羨ましいばかりの髪だが、綺麗な髪の人は綺麗な髪を維持するのに努力をするのだろう。髪の話題を避けたい私は「へ~……」などと適当に流し、そればかりか(髪生えてるヤツはこっちの世界に来るな!)とノンシリコンで更に髪を気遣おうとする人に対し心の中で暴言を吐いた。

 今は探せばもっと沢山の種類があって、使い心地もいい商品が多く出ていそうである。私はかれこれ5年以上ノンシリコンシャンプーのnano suppliを使用している。価格が安いからだ。コスパの良さが気に入った。ノンシリコンだけど泡立ちも気にならないし、低刺激で特に文句が無いので、今後も使おうと思っている。

 あとはスカルプD BEAUTE。しっとりして頭頂部がふんわり仕上がる気がする。理屈は分からんが、弱々しい自毛がコシが出ると言うか、若干強くなる。気がする。価格がやや高いので友人の結婚式など、イベントがある時限定で1週間くらい使う。

 スカルプD BEAUTE+スーパーミリオンヘアーで出掛ける日は過ごした。

 ちなみに髪を洗う時は、まずシャワーで頭皮を洗ってからシャンプーを使うようにしている。お湯で頭皮の脂を多少落としておけばシャンプーも少ない量で済む。

 色々書いたが自分の薄毛は頭皮環境が理由ではないと思うので、シャンプーは好きなものを使って過ごすと思う。

・ヘアピースウィッグ(人毛)

結:バレなかった。頭が暑いのがストレス。家族などがいれば打ち明ける必要がありそう。

 当時、春休み。4月から新社会人になろうとしていた私は、社会人デビューをすべくウィッグを探し始めた。大学時代は発毛の成果が出ないまま後ろの髪を無理矢理前髪にして凌いでいたが、もう足りない。どうやっても頭頂部の地肌は隠せないし、知らない人に「ハゲてね?」と指をさされて揶揄われた。結局お洒落は出来ないまま、容姿コンプレックスを少しも解消できないまま、学生時代は終わりを迎えた。

 暇さえあれば薄毛情報を検索し、医療用ウィッグのホームページを頻繁に眺めるようになった。この時間をもっと勉強に使いたかった。高校二年生から誰にも相談せず一人で髪について悩んでいた時間を、もっと他の事に使いたかった。

購入

 ネットの口コミを読み漁り、勇気を出して予約を取り、電車に乗って医療用人毛ウィッグを取り扱う店に向かった。利用したのはあっちパパさん。完全予約制で客は私一人で、対応はホームページで見た女性オーナーが全てやってくれた。案内された席に座り、「薄毛を気にしているのでウィッグください。」と素直に言った。初めてなのでよくワカリマセンという顔をしていると、オーナーは私に合いそうなものを持ってきてくれた。

「アンタの毛量じゃ多くてフルウィッグは無理よ。」

 フルを被る気満々の私にオーナーは言うと、頭頂部だけを隠すトップピースを案内してくれた。4月の入社に備えた真っ黒の髪に合う、黒髪のトップピースをかぽりと被せられ、そのままハサミでスタイリングしていく。人毛のトップピースは徐々に私と一体化していった。

 ……頭がデカイな。ウィッグを被る際に危惧していた事だ。元々顔が大きい。薄毛、乾燥肌、顔デカ、絶壁、一重(この3年後に埋没で二重にした)。コンプレックスは果てしない。ウィッグは人工皮膚の上に髪を植え、それをクリップで自分の髪に留めて使うワケなので、若干頭が縦に伸びる。顔面の圧が上がってしまったが、それでも薄毛素頭の自分と比べると、ウィッグで髪があった方が見た目はマシだと思った。約4~5万円で購入し、家に帰った。2時間くらいで終了。

 自分だけだとカットもままならず、また、いきなりフルウィッグを購入した事だろう。合いそうなものを選んでくれて、カットで馴染ませてくれたのでお店に行ってよかった。

家族

 ずっと実家で暮らしていた。職場も通える範囲。自立はしたいが貯金も必要で、まだ実家の世話になろうとしていた。

 家族の仲は悪くなかったが、薄毛の事は一度も相談した事がなかった。母は人の容姿の悪口を言うタイプだった。「チビ(笑)」「デブ(笑)」「何あの服(笑)」一緒に道を歩けば振り返ってまで誰かを笑う。当たり前だが「ハゲ(笑)」は一番はじめに出る。昔から容姿コンプレックスを持っていた私が悪口に同調する事はできなかった。

 コンプレックスを誰かに打ち明けるのは難しい。「勉強が分からない教えてくれ。」はすぐに言えるのに、「自分の見た目が受け入れられなくて毎日泣いています。」は言えない。たぶん、言った所で解決法がないからかもしれない。「言うほどブスじゃないよ。そのままで平気だよ。」と言われても自分はそう思えないので仕方がない。「受け入れて相応に暮らしていくしかない。」と言われても毎日楽しくない人生に意味を見出せないし、「周りを気にするのはやめよう。」と言われても、20歳そこそこの若者にはまだ難しかった。どんな答えでも納得する事はなかったと思うので、誰にも言わなかった。

 ウィッグは隠しながら帰った。夜中に自室でひっそりと付けてみたりしていたが、数日後、諦めて何食わぬ顔でウィッグを被って外出の支度をした。「……何それ」と訝しげに母に聞かれ、「ヅラ」と一言返事をした。腫物を触るように、母はそれ以上何も聞かなかった。「薄毛だな。」とはずっと思われていただろうが、「薄毛を気にしていたんだな。」とは、この時初めて思われただろう。

 後日、母とリビングでテレビを見ていると、母はテレビに映る誰かを指さして「この人ハゲじゃん!無理~!」と盛大に笑った。私が「ハゲでごめんね(笑)」と答えると、リビングの空気が凍った。

友人

 社会人1年目。余裕がなくてあまり友人と遊ばなかったので機会自体が少なかったのだが、会った友人にはバレた事はない。

使用感

 人毛トップピースは一年間ほぼ毎日使用した。結果として一度もバレる事は無かった。クリップなどの不具合もない。自毛を伸ばして仕事中はまとめて一つに結んでいた。髪を下ろすと頭頂部がもっこりして縦に伸びるのが嫌で、遊びに行く時も一つ結びをした。ヘアアレンジなど得意でなかったので、一年間一つ結びの同じ髪型で過ごした。

 一つ結びが出来る事に感動した。自毛だけだと量が少なくてたかが一つ結びもままならなかったのだが、ウィッグの毛と一緒にまとめる事で毛量は増え、憧れだったシュシュ、バナナクリップなどのヘアアクセサリーの使用が実現した。

 内側に金属のクリップが付いていたので、健康診断でレントゲンを撮る時にヒヤヒヤした。胸だけのレントゲンの場合はそのままつけていて大丈夫だったが、CTやMRIを撮る際は外す必要があるのかな。

痛い

 3カ所、前髪の両脇とつむじの後ろくらいでクリップを止めるタイプだった。ズレないようにきつく留めると自毛が引っ張られて痛いし、クリップの部分から抜けていきそう。頭皮は暑くて蒸れる。

染めた

 購入して2か月経過したある日、茶髪にしたかったので美容室で自毛と共にトップピースを染めてもらった。当然の事ながら、傷んだウィッグは元に戻らないのでオススメしない。

 美容室何件かに電話を掛けた。「ウィッグもお願いできますか?」「やってません。」割と冷淡な感じで断られる。2021年現在、ウィッグはごく当たり前のファッションとなったので、受け入れサロンは大分増えたと誰かが言っていた。この時は5件目くらいで「どのような形のものですか?」と聞かれ、受け入れてもらえる事となった。

 美容室へ行って、トップピースを渡して、自分もカットとカラーをしてもらった。美容室はいつも行くのが苦痛だったが、薄毛でウィッグですと打ち明けてしまえば諦めもつく。どうにでもなれという気持ちで他の客もいる中やってもらった。受け入れて、周りを気にせず生きていく、結局これしかない。

 カラーのトーンレベルは確か7辺りで染めた。だから暗めでほんのりだけど、トップピースはちゃんと染まった。真っ黒よりは茶色の方が軽やかな印象になって、使いやすくなった。髪を下ろしても黒髪の時より重たくない。大学時代の知り合いに「綺麗になった?」と言われ、心の中ではしゃいだ。

傷み

 ウィッグの寿命を調べると人毛で精々半年程だと分かる。1年間、ほぼ毎日、スペアも買わず同じウィッグで生活した者は自分が調べた限り、見付からなかった。

「ちょっと髪、明るすぎるかな。」

 4月の入社から毎日ウィッグを活用し、上司からこう注意されたのが12月末。実は美容師の反対を押し切り、私はウィッグをもう1段階明るく染めていた。結果、もう使えないレベルに傷んだ。経年劣化と染色による傷み。明るく染めたウィッグはみるみる白く、更に明るく退色していき、蛍光灯の光に照らされてテカテカに光っている。キューティクルとか、そんな美しいものではない。友人にも「髪の色すげー明るいな、会社大丈夫なん?」と聞かれたので、相当ひどい色をしていたのだろう。

決別

 「転職しよう。」職場は好きだったけど、髪に人生を左右される私の思考回路は時に滅茶苦茶である。ヘアピースウィッグの寿命と、ウィッグを外した時のぺちゃんこになった髪の悲壮感、締め付けによる頭痛。頭が蒸れる。ズレたり外れたりしないかと常にストレス。クリップが痛くてストレス。クリップのせいで更に抜けそう。自分の髪と、ウィッグ両方の手入れをしなくてはならないストレス。これ以上ウィッグで生活するのは限界だ。転職して、新しい場所で新しい髪とやり直せないか。そう考えた。

現在

 再びヘアピースウィッグに戻ろうと考えている。

 自然だし使いやすい。新たに人工毛・人工皮膚無しの低価格のヘアピースウィッグを購入したが、軽くていい。対して人毛・人工皮膚付きは重かったけど、出来がとても自然だった。髪を染めなければ1年以上使用できたかもしれない。

 とりあえず一番嬉しいのは、ヘアアクセサリーが使える事。

ヘアピース中のイベント

 真夏。同性の友人と遅くまで飲んでいて終電を逃し、ノリで二人でラブホテルに泊まってみるというイベントが発生した。打ち明けていない友人との予期せぬ泊りイベントだった。

 友人なのでシャワー浴びて寝るだけなのだが、浴室が全面ガラス張りで部屋のどこにいても覗けるというラブホ初心者には思いもよらぬ設計になっていた。覗くなよ~とか言い合いながら交代でシャワーを浴びる。友人が特にこちらを覗く様子はなかったが、全面ガラス張りの中流石にウィッグを外す勇気はなく、ウィッグを付けたままシャンプーもした事がなかったし、シャンプーすると人毛が妙にフワフワになって不自然になるのでその日髪は洗わなかった。真夏。べた付く頭にストレスを感じながら、初めてウィッグのままベッドで寝た。薄毛になると泊りイベントが嫌いになる。

使うものは髪の量による

 人工皮膚付き人毛ヘアピースウィッグは自然で大変満足した。あっちパパさんでカットも含めてやってもらえるので行ったらそのままつけて帰れる。付け方もフルウィッグより簡単。

 分け目が気になる系の薄毛の方は、まずはミリオンヘアーなどの“ふりかけ”を試してほしい。

・ふりかけ(スーパーミリオンヘアー)

結:悩み始めにオススメしたい

 ヘアピースウィッグを付けて過ごした社会人1年目。ヘアピースのストレスと決別すべく転職し、次の4月から新しい職場へ入社が決まっていた。

 現在、当時を振り返ってみると周りの同年代女子達と比べれば毛量は少ないが、頭頂部の分け目が寂しく毛質はボサボサだが、まだ自毛でどうにか生活できそうなレベルの薄毛で、より薄くなった今当時の写真を見ると最早フサフサに見える。いやそれはない。とにかく、当時の私もそれに気が付き、自毛を守るため自毛で生活する事を決めた。

 ミリオンヘアー。これはもっと早く出会いたかった。大学生活の中でこれがあれば地肌が見えるという悩みがどれだけ減った事か。写真ももっと残せていただろう。プリクラで全部の写真の頭頂部にかわいいスタンプを押す事もなかっただろう。ミリオンヘアー。言い換えると“ふりかけ”である。気になる部分にトントンすれば、黒い細かい粉が髪を纏い、薄毛を目立たなくさせてくれる。

 30gを頭頂部分け目に使って2か月に1回くらいだったかな購入は。うろ覚えですみません。

 以前購入した増毛スプレーよりもはるかに自然だ。太陽の光も蛍光灯も怖くない。ヘアピースは1年だったが、ミリオンヘアーはこれから5年以上使用する事になる。

使用

 朝起きてミリオンヘアーをトントンし、粉を固めるためにケープを上からスプレーする。本当は同じくルアン社が出している粉を固める専用のスプレーがあるが、ケチって薬局で仕入れたケープを代わりに使用した。そして新たな職場へ出勤。一切怪しまれる事はなく、ヘアピースウィッグよりも涼しくて断然快適だった。

 ただ、頭に触れると指に黒い粉が付いている。前髪の方までわさわさ掛けるので、おでこにも眉毛にも、また鼻をかめば黒い粉がティッシュに付着していた。私は主に頭頂部だけの使用だったが、範囲が広がれば肩に黒い粉が……な事態も想定できる。

 毎回朝の支度はミリオンヘアーを掛けヘアセットしてから、それを落とすように顔を洗うようになった。動きを最小限にしても、洗面台や周辺の床に粉が飛び散って汚れてしまった。掃除が大変、黒い粉が散る洗面台を見られて使用がバレると思い、ベランダで粉を振った事があるが、当たり前だが風に吹かれて粉が散るだけである。

 シャワーで落とせる。上からシャワーを流すと、まず粉同士がくっついて変な塊りになる。指で頭頂部を擦ると水を真っ黒にしながら粉が落ちる。しっかりシャンプーする必要がある。

 薄毛になって嫌いになったものとして個人的に代表的なのが「夏」だった。プールや海、雨が恐ろしい。髪が濡れれば地肌が全て露わになる。学生時代はことごとくアウトドアイベントの参加を見送った。

 夏は暑い。気温が高いと外を歩いているだけで汗をかく。スポーツ趣味を持っている人は大変そうだ。おでこを拭うと生え際に付いていた黒い粉が付着していたが、粉交じりの黒い汗が垂れるといった事は経験がない。極力暑い場所は避けた事と、ミリオンヘアー使用の範囲や汗の量で個人差がありそう。個人的には思いの外問題なかった。すげー。

健康診断

 心電図やらの検査をする時、真っ白のシーツを敷いたベッドで寝かされた。首元に枕を置いて頭を浮かせるなどしてやり過ごした。布に頭を付けると、頭頂部だけの使用でも少なからず粉が落ちる。安心して横になれない。

 以前歯医者がTwitterか何かで「ふりかけが白衣に付くのでやめてください。」のような内容の呟きをしていた記憶がある。(検索しても見付からなかった。気のせいかも。)好きでかけてるワケでもないのに迷惑までかけるとは、もう泣くしかない。

美容室

 普通に予約を取り、当日席に着いた段階で「頭に粉が付いてます。」と言ってみた。「そうなんですね!気にしなくていいですよ!」と明るく返され、シャンプー台で洗い流された。その後も何度か「頭に粉が付いています。」と美容室に行くたびに宣言していたが、「言わなくても大丈夫ですよ!」とか「分かりました!」とか明るい感じで返してくれる。切る前に洗い流されるので次第に言わなくなった。はじめての美容室でも宣言しなかったが、問題が起きた事はない。流すと水が真っ黒になるのでバレているとは思うけど。

 結局宣言した方がいいのかどうかは確かめられていない。ただ、自分から宣言すれば美容師と薄毛の話がしやすくなるだろう。美容師側から「ふりかけしてるんですね。」とか「髪少ないですね。」とか、まあ当然言われない。

旅行

 シャワーを浴びれば粉は落ちる。温泉旅行などに行くと「温泉入って、それから夕食にしよう」というスケジュールになる事がままある。仕方がないので温泉に入った時に一度洗い流し、髪を乾かしふりかけし、全てが終わってから自室のシャワーや洗面台で再び洗い流す。ティッシュを濡らして分け目を拭うのも、それなりに落とせる。

さよならヘアアクセ

 職場には肩に付く髪は結ぶルールがあった。トップピースウィッグの時はウィッグの毛と合わせれば十分な毛量があったが、自毛のみに切り替えた事で量が減りヘアアクセが使用できなくなった。少量の毛をまとめる、100円で80本くらい入ってる小さな黒ゴムでどうにか一つに結んで働いた。

家族

 明らかに姿が変化するウィッグと違い、こちらはほぼ自毛なので誰かに打ち明ける必要はない。私は何食わぬ顔で世話になったヘアピースウィッグを処分すると、何食わぬ顔でミリオンヘアー生活に切り替えた。誰にも特に何も言わなかったし、何も言われなかった。

 母は相変わらず容姿で人を悪く言っていた。そんな事を言う母の容姿はどうなんだと聞かれれば、「お母さん美人だね。」とは私にとって言われ慣れた台詞で、母は美人で、本人もその自覚があった。残念ながら母と私は全く似ていなかった。写真に写るのが大好きな母。元がいいので薄化粧、ノーメイクでも問題ない母。出掛けるのが大好きな母。自分に自信のある母。容姿と性格はどうしても関係すると思った。

友人

 よく会う友人でも精々月1、暗い居酒屋で飲む程度で、ウィッグからミリオンヘアーに切り替えても一切気にする様子はなく、全く気付かれなかった。

 ヘアピースウィッグからミリオンヘアーに変えるタイミングで茶髪→黒髪にしたのでそれで見た目が変化していたのもある。

出会ってよかったミリオンヘアー

 ミリオンヘアーは頭頂部の広がった分け目を隠すのに大変役に立ってくれた。洗面台は真っ黒になるが、ウィッグのように洗って乾かす手間はない。持ち歩きも簡単だ。

 頭を触られたり、何かに触れると粉が付く。急な雨が怖いので、折り畳み傘は常に持ち歩く。

前髪がない

 個人的に一番の問題となったのは、前髪が作れない事だ。時が経つにつれ私の頭頂部はじわじわと毛量を減らし寂しくなっていった。世間では「すだれ前髪」なるものが流行っているが、私は天然のすだれ前髪だ。出来るだけ顔を隠したい私はそれを望んでいない。前髪はがっつり欲しい。ミリオンヘアーを使い始めて数年。次第に前髪が減り、耳の上の辺りの頭皮が顔を出し始めた。

 そこで前髪ウィッグを購入し、ミリオンヘアーとの合わせ技を試みた。しかし、頭頂部の毛が少ないのだ。前髪ウィッグのクリップを隠す毛がなく、つなぎ目がバレバレなので断念した。

ヘアピースウィッグかミリオンヘアーか

 個人の感想ですが、使用時の自分の写真を見て、見た目がいいのはヘアピースウィッグ。

快適さを考えると、使いやすいのはミリオンヘアー。

・ミノキシジル服用

結:髪は増えなかったが体毛は濃くなった。

 自毛生活しようと決め、ミリオンヘアーを使用し始めた私は、同時に発毛に望みをかけようと専門のクリニックに通い始めた。ネットで調べると海外サイトから独自に薬を仕入れている人もいたのだが、怖いのでまずはプロに聞いてみようと専門のクリニックに出向いた。

 都心の綺麗なクリニック。個室に呼ばれスタッフから詳しく問診を受ける。

「家族に薄毛の方はいますか」

「薄毛が気になり始めたのはいつからですか」

とか、色々聞かれる。親族見回しても薄毛率は高い。女性で薄毛は私と祖母だけだが。

 スタッフとの問診が終わると、別の個室で医師とどういった治療をしていくか話し合う。私の場合はミノキシジルを少量から服用を始める、ビタミンC、亜鉛、タンパク質のサプリもメントも同時に服用して様子を見る事となった。

 別の部屋でカメラで正面と上から分け目を写真にとられ、採血し、薬をもらう。で、3万円くらい掛かる。

使用

 人により頻度と量は異なるが、私はミノキシジル錠剤を毎日飲む事となった。月に一度クリニックに通い、数か月に一度、経過の写真を撮ったり採血したりする。とりあえず行くたびに3万円ほどかかる。大変な出費だった。

 初期脱毛ではじめは抜け毛が増えると説明を受けたが私は感じなかった。ミノキシジルの服用は、量を増やしたり頻度を減らしたりと色々調節しながら続け、4~5年ほどクリニックに通ってしまった。効果があったかどうかは、正直はっきりと分からない。毎日飲んでいても先の細い短い毛は抜けるし、もしかすると抜け毛は軽減していたかもしれないが、もとより増える事は無かった。

変化

 服用を始めてからアゴから毛が生えるようになった。

 明らかに体毛が濃くなったので、髪がないけど脱毛にも通った。

中止

 髪は増えないけど、服用を止めてしまったら途端にすべて抜け落ちてしまうのではないかという恐怖。気が付けばこれがミノキシジル服用を続ける理由となっていた。

 ミノキシジルを4~5年ほど服用したが、私の場合満足に髪は増えなかった。毛質が良くなるわけでもなかった。クリニックに行った所でもはや医師に聞きたい事もなかった。

 前髪はすだれのように薄くなり、同じく使い続けてきたミリオンヘアーもこれ以上のカバーは厳しいと感じた。「だったらもういいや」と思った。自毛はもう諦めよう。これまでよく頑張った。そしてクリニック行かなくなった。

服用を止めて数年

 特に変わらない。服用を止めたからといって抜け毛の量が増えたりはしなかった。体毛に元気がなくなったので、髪じゃなくてその他体毛には効果があったらしい。

楽しかったこと

 ヘアケアグッズなどたまに試供品をもらえる。

 頭皮や毛穴に皮脂が詰まっていないかカメラで見てもらえる。

・増毛エクステ

結:メンテナンスが大変そうなので継続しなかった。

 薄毛の進行は止まらない。ミノキシジルの服用を止め、ミリオンヘアーの使用に限界を感じ始めた私は、次の薄毛対策を考えていた。

「自毛は使い物にならない。坊主にしてフルウィッグで生活したい。」

 そう考えるようになったが、ウィッグ生活の大変さはヘアピースを経験して知っている。他に手はないか……。そして増毛エクステに出会った。

 増毛エクステと言えば、テレビCMで目にする機会が多い。「まずは1000本お試し!」のアレだ。存在は知っていたが、継続しようとしたら結構なお金が掛かるし、メンテナンスも面倒臭そう、コストパフォーマンスの割に髪が生える望みはない。そう思って興味がなかったのだが……。

「坊主になったら出来ないから、一度くらいやってみるか。」

 自毛と発毛を諦めきっていた私は、興味本位で試してみる事にした。

400本お試し

 増毛エクステ専門サロンを予約して、400本1万円くらいのコースを試してみた。どうなるか分からないし1万円出すのが限界だ、と思い予約をしたが、私の場合は400本では足りなかった。いや、400本の使い方を誤った。

「前髪と分け目が気になっているのでその辺に……。」

 と注文してやってもらった。生え際の辺りを編み編みされはじめ、確か2~3時間くらい掛かった。寝てた。

 施術後、上から撮影したビフォーアフター画像を見せてもらった。う~ん……。多少髪は盛れているが、ほんの少しなのでミリオンヘアーをすぐには手放せそうにない。400本は1部分だ。前髪400本、分け目400本、計800本付けていたら効果はあっただろう。この日は400本前髪だけやってもらえばよかったな。

メンテナンス

 増毛エクステでバレないように日常を過ごすなら、月々のメンテナンスは必須である。根元にエクステを巻き付けるので、髪が伸びると結び目の玉がどんどん押し上げられてズレていく。

仲間

 ある日コンビニのレジで並んでいると、前に並んでいたお年寄りの女性が頭頂部に結び目の玉を沢山つけていた。「お揃いだ」と勝手に親近感を湧かせながらも「バレバレじゃないか」と冷や冷やした。メンテナンスをきちんと行えば目立たないし、自分は結局バレなかったけど後ろに人がいるとハラハラするようになった。

感想

 感覚としては付け心地は軽くて気にならない。負担は確実に掛かっているだろう。

 人工毛なので、エクステがキラキラして見える。明らかに人工毛と自分の毛の光の反射具合が違っていて、もしかしたら白髪に間違えられるかもしれない。個人的には気にならない程度。

 結び目があるので、櫛や手でとかす時は注意が必要。丁寧にやらないと引っ掛けて抜ける。結び目は触れると分かる。

 抜け毛が特徴的。1本の髪に数本結ばれていて、1本抜けるとセットで束になって抜け落ちる。特徴的なので知っている人には増毛エクステだと分かるだろう。抜け毛が増えたように錯覚する。

 自分では取れない。そういえば外したい場合ってどうするんだろう。サロンのホームページには結び目の位置を変える「リペア」のコースはあるけど外す場合の事は見付けられなかった。これから増毛エクステを考えている方は確認してみてください。外したい場合抜けるのを待つか自分で切る。個人的には外したいくらい邪魔だと感じた事はなかった。

家族

 メンテナンスせず伸ばしっぱなしだったけどバレなかった。

 黒髪だったからかな。私がコンビニで見たお年寄りは白髪、黒髪混在だったので目立ったのかも。

 メンテナンスは必須だけど、一度大量に付けてしまえば毎日のウィッグセットやミリオンヘアーを使用しなくていいとなると悪くないかもと思い始めた。

・フルウィッグ

 前髪がどんどん抜けていきミリオンヘアーに限界を感じた私は、自分の頭から生えるパサパサの髪を触りながら鏡を眺める日々を送っていた。髪質が悪いので、美容室で思い切って肩より上の長さまでカットしてみてももちろん髪質は悪いまま。もう駄目だ、カツラにしようとフルウィッグの検索を始めた。

安い

 過去に4万円ほどでトップピースウィッグを購入していたので、それよりも高いんだろうな、と腹をくくっていたのだが、安い。当時の自分の検索能力が低かったのは大きいだろうが、ファッションウィッグのショップサイトがこんなにあったなんて知らなかった。人工毛フルウィッグなら2000円くらいから手に入る。

初めてのフルウィッグ

 写真が多くイメージを掴みやすかった「リネアストリア」でウィッグを購入してみる事にした。職場でも問題なく使えそうな、伸縮性に優れた「天使シリーズ」の1万円くらいのボブカットと、憧れのヘアスタイルが沢山並んでいたので、遊びに行く時にお洒落できそうな4000円代のロングスタイルの2つを公式サイトのネット通販で購入した。

 1週間かからず届き、開封、試着。

感動した。被り心地は悪くない。きつく締め付ける感じはないし、アジャスターで大きさも調節できる。人工毛はサラサラでツヤツヤ。パウダーでテカリを抑える必要はありそうだが、自然に使えそうだ。I型つむじは、特に手植えの天使シリーズはとても自然だった。そして憧れのロングスタイル。元気のない自毛でいるより、1000倍くらい可愛くなった(気がする)。ボブの方も落ち着いていて使いやすそうだ。自毛はもう必要ないな!

セルフカットで失敗

 ありがちな失敗らしいのだが、ウィッグを前のめりに被りすぎた結果前髪が長いと感じ、セルフカットでめちゃくちゃ短くしてしまった。不器用でヘアスタイリングの経験もほぼないくせに大胆に切ってしまった。2度と使えないレベルで失敗したウィッグもある。

友人に見せていく

 ヘアピースウィッグからミリオンヘアーに変えた時は髪の変化に気付かれないように転職したが、今回は自分の周りの環境を変えるつもりはなかった。ウィッグを被っている事を周りに告白して生きた方が、バレてしまう事に怯えるよりも楽だと思ったからだ。

 もういい大人だ。すれ違う人々は誰も自分の事を気にしていないと気が付いたのである。そして自分の周りには、ウィッグを被っている事を笑うような友人はいないと知っていた。

ロングウィッグ

 さて、これからフルウィッグで生活していくつもりなら、フルウィッグに慣れないといけない。ロングスタイルウィッグがすっかり気に入った私は、ちょうど友人達と食事をする約束をしていたので、どんなもんかと被って行ってみる事にした。

 事前に連絡した。「脱毛症になって髪がないのでカツラで行きま~す!」などと軽い感じで送信。「そうなんだ、了解~!」と友人達からも返事がきた。本当はずっと薄毛を悩んでそれを隠していたが、突然抜けちゃったビックリ~! と、嘘をついてしまった。

 家で出掛ける支度をした。何度も鏡で自分の姿を確認した。ミスって斜めになった前髪は許容範囲だと割り切った。頭頂部が尖っている気がしてロングの毛先を癖のように引っ張った。

 友人達には好評だった。ファッションウィッグを目にし、オシャレに作ってあるんだねと感心していた。

 友人達からは好評だったが、初めての外出だったので人目が気になった。電車の白い蛍光灯ではやはりウィッグのテカリが目立つ。付属のネットを被り、ウィッグもピン留めなどせず出掛けたので、ズレているかどうかが終始気になって、何度も鏡を確認してしまう。

ボブウィッグ

 別の機会に同窓会のような、人数が多い会食イベントに行く予定があったので、派手なロングではなく落ち着いた黒髪ボブウィッグをつけて出掛ける事にした。ロングウィッグの時とは違い、今回は特に親しくしていない人も多く、事前に打ち明ける場所もない。自分の髪の話に時間を割くのは嫌なので、出来ればバレずに自然に過ごしたかった。自毛でいるよりマシ、と思ってつけたが、ボブウィッグは私に似合っていなかったので被って出掛けるかどうか相当悩んだ。

 重い前髪。真っ黒の髪。バラエティ番組で男性の芸人さんがふざけて変装した時のようなミスマッチ具合。見本の小顔のモデルさんのようには当然ならなかった。ボブというより私が被るとオカッパだ。

 当日は雨。自毛がいつもよりもうねって汚い。直前まで迷いながらも、私はオカッパウィッグをつけて外出した。結果、上手く被れているか気になって仕方がなく、私は最低限の用だけ済ませて会食から離脱する事になる。

 行きの電車で何度も鏡を確認した。通勤帰りでお疲れ顔のサラリーマンが多い車内。誰も私に興味はなく、知らない人々から疑いの視線を向けられる事はなかった。

 会場に着くやいなや、すれ違う数名が不思議そうに私の頭をチラ見した。ダメだこりゃと思い近くにいた友人数名に「色々あって髪の毛無くてウィッグなんだよね。」と打ち明けると、「全然気付かなかった!」と数名は言うが、一人は「だろうなと思った。」と言った。ウィッグだと気付いた友人は薄毛とは無縁だったが、エクステやファッションウィッグをつける趣味があるらしい。この友人ともう少し会話を広げればよかったと今になって思うが、当日の私は似合っていない容姿への自信の無さと、不自然な頭に向けられる視線が怖くてずっとヒヤヒヤし、それどころではなかった。

 照明によって人毛とは違う光り方をする人工毛。周りより不自然に多い毛量。これを自分で調節するのがなかなか難しい。ウィッグだと打ち明けるのは構わないが、とにかく被り慣れておらず下手くそで、不自然な容姿が気になってしまい、私は途中で会場を抜けた。

大量購入

 自分に似合うフルウィッグに出会いたくて、数多くのウィッグを購入してしまう。マシンメイド、手植え、人毛、人工毛、人工皮膚。年間20万円くらいウィッグに使ってしまった。

バレるポイント

 個人的にはつむじ、分け目が大事だなと思う。過去に購入したヘアピースウィッグも、新たに購入したフルウィッグも、人工皮膚付きのものはつむじがとても自然だった。高価だが人工皮膚付きI型つむじならバレる心配はぐっと減るだろう。人工皮膚がなくても、上手く手植えしてくれているものなら不自然さは少ない。マシンメイドはIが長ければ不自然さは減るが、基本バレても構わないというスタンスで使用した方がいと思う。

坊主

 自毛を全て剃ってしまいたかったが実行していない。フルウィッグはもみあげが自然に作られているものが少ない。髪を耳に掛ける時はもみあげの自毛が役に立つので、また内側にクリップが付いているものは自毛に留めればズレる心配も減るので、坊主になってさっぱりしてみたい気持ちを抑えながら自毛はまだ生やしている。

 もしも剃ったとしたら、内側にテープを張って固定する事になると思うが、テープはクリップよりも消耗品なので継続購入を考えるとやはり全剃りは踏み止まってしまう。

転換

 フルウィッグ生活についてここまで考えた所で、私はミリオンヘアーを手放しフルウィッグに移行する事を決意した。明らかに姿が変わるのでウィッグはどうしても打ち明ける必要がある。そこで計画はこうだ。「円形脱毛症になってしまったのでウィッグで生活します。」と言う。以上。

 ありがたい事に無事に妊娠し、無事に出産、育休に入った。仕事のために毎日外出する事はなくなり、ある程度自由に過ごす時間を与えられる。なら今しかない。私はカミソリを使い、自ら頭に円形脱毛を作った。どこまでも「自分は薄毛だ。」と言いたくなかった。

・ヘアピースウィッグ②

 一周してヘアピースウィッグが一番楽だと言う結論に至った。人工毛のマシンメイドI型つむじ。

 ショートカットは相変わらず似合わないので、ヘアピースウィッグと自毛をまとめて一つに結ぶのが結局一番楽だ。フルウィッグだともみあげが不自然なのと、固定が難しい。

現在

 仕事はヘアピースウィッグ、休日は気分でフルウィッグ。近所なら素頭で出掛けるくらい色々どうでもいい。

 自毛はなくなってもいい。ウィッグがバレてもいい。そう思う事で日々のストレスがだいぶ減った。自分を受け入れて、周りの目は気にしない。残念ながら結局それに落ち着く。
 容姿が優れない自分を受け入れる。それ以外の方法があれば教えてください。


今の心配

 ウィッグは新しいものがどんどん増えて楽しい。しかしこのまま年を取ると、人工毛のテカテカツヤツヤの髪質が肌に合わなくなるかという心配がある。人毛ウィッグ生活を見据えつつ、また機会があれば記録していきたい。

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