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なぜ、れもんらいふは広告媒体を買って広告したのか。

デザインの仕事をやっていると
視野が狭いなあとつくづく思う。
ポスターというフレームや、CDジャケットというフレームの中で仕事をしていると、絵作りだけに心がむかってしまい、ポスターやジャケットという存在が、何かの中の一つということが頭からなくなる。
以前このノートの中で
ラフォーレ原宿の広告にパクリ疑惑が出た時に
デザイン業界は視野が狭いというようなことを書いた。

https://note.com/chiharatetsuya/n/n753983f68bfd

デザインは、デザインがすべてのように感じるが、社会の歯車の中では大した存在ではない。
「デザイナーは、一度媒体を自分で買ってみるといい」という話をしたが、与えられたフレームの中でだけ仕事をしていると、前後の成り立ちや、社会との接点がなくなり、まわりの見えないクリエイターに、自然になってしまう。
クリエイターやアーティストは、職人とはちがい
いかに「今」を感じ、世の中との接点がないと必要とされない。
アーティストは、すべてを自分で生み出すため
その世の中との接点を自分で模索するしかないが、
デザイナーは、そこを誰ががやってしまう環境にいる。
タレントやモデルにも言えることで、意外に世間知らずなのは、前後の社会との接点を誰かがやってしまっているからだと思う。
そのフレームの中で100%表現すればいいだろうという考え方もあるが、常に新しいアイデアを求められるクリエイターという仕事においては、そうも言ってられない。

今回
自分で広告枠を買って、
PRする側の気持ちに立ってみた。
れもんらいふ10周年を記念した広告をつくり
博報堂さんや、東急さんにお願いし、
渋谷ロードキャストという、渋谷駅周辺をジャックする枠と、裏原宿ジャックという、原宿、とんちゃん通りをジャックする枠をあわせて約500万で購入した。
(実際はいろいろ関係地もあり、多少ディスカウントしてもらっている)
ビジュアルには
吉岡里帆さん、安達祐実さん、秋元梢さんに登場してもら3パターンの広告を作った。
通常彼女たちのギャランティは、4桁を超えるだろうが
こちらもお祝いという事で出演してもらった。
撮影予算は全部で200万ぐらいはかかっているので
今回のれもんらいふ10周年の広告に、700万近くお金を投じているという事だ。
結果、たくさんのメディアに取り上げていただき
話題になっている。
「れもんらいふ、さすが面白い事やってるね」
なんて声もあり、何かしら効果はあったのかなと思うが、
僕がなぜこれをやったかというと、
れもんらいふの宣伝ということがすべてではなく、デザイナーのやれること、デザイナーが常識だと思っている事を覆したかった。という思いが大きい。

通常デザイン会社が10周年とかでいえば、
ラフォーレ原宿やPARCOミュージアムなどで
展示という方法をとる事が多いと思う。
通常デザイン会社は、広告枠を買うことはない。
その通常を壊してあたらしい概念を作っていくことがクリエイターじゃないかと思う。
デザインは、クリエイターが作るのに、何十年も同じ枠の中で評価を続けている。
さらにデザイナーは、SNSやYouTube、その他個人でつくれるメディアは苦手な人が多い。
デザインたるものそうじゃないと思っている人もまだまだ多い。

そんな、常識と言われることに疑問を感じて毎日何かに挑戦している。

先日、飛行機に乗り遅れた。
保安検査場で、僕の一個前を並んでいた人がかなりチケットを出すのにもたもたしていて、その人が行ったあと、QRをスキャンすると、時間オーバーになってしまった。
体感的にはほんの10秒、20分前に通過しなくてはならない保安検査場を10秒過ぎてしまった。
「すいません、次の飛行機に乗ってください」
え!CAさんからのびっくりな回答。
たった10秒ですよ!😂
「決まりですので、、、」
いやちょい待って10秒ですよ
「他のお客様も同じ条件ですので、、、」
え、10秒遅れたからって、ダメですって言うお客さんいるの?ここから歩いても搭乗10分前には間に合いますよ。なんてやりとりが続く。
後半、「決まりです」の一点張りになってしまった。
そのうちに飛行機は行ってしまい、結局2時間後の飛行機に乗り換え。
うーん。この決まりは正しいのだろうか、、、
決まりだから仕方ない。
で、いいのだろうかと思ってしまう。
コロナがかなり緩和されつつある中、
とあるビルのロビーで撮影していたところ、
朝9時になった瞬間、ひろーいロビーに
人が満員。エレベーターの前でぎゅーぎゅー詰めになってしまった。そして、9時半に、まったく人がいなくなった。
これ30分ずらせば分散できるのに、、、
みんなこれでいいの?って思ってしまう。
9時出勤が常識だから?決まりだから?

2000年に、佐藤可士和さんが、
SMAPの広告に、中車されている車を使ったり、
自動販売機を使ったりしていたのを思い出す。
媒体枠というフレームで広告するのではなく
街全体を使った考え方だ。
常識破りな広告だった。
このアイデアにたどりつくには、まず、広告するという考え方が正しいのか?という領域まで俯瞰しなければならない。
アイドルのCDジャケットデザインお願いしますといわれて、アイドルのジャケットデザインしようと思って挑むと、今までと同じジャケットになってしまう。アイドルじゃなく、1アーティストとして見る俯瞰、さらにはCDを作るで本当にいいのか?という考えまで俯瞰できないと、今までと違うものは作れない。

広告枠は、企業が買うもの?
デザインはデザイナーがするもの?

常識や決まりの中でだけで考えると
新しいことは生まれない。
れもんらいふが広告媒体を買ってみることから
何が生まれるかはわからないが、
やった事ない事から新しい価値がうまれるように思う。

ちなみに、このアイデアを
さまざまなデザイン誌に、取り上げてくれないかと話を持って行ったが、デザインについての話しだけで、枠を買ったことへの取り組みについては、取り上げてくれなかった。

スマイルズの代表遠山正道さんが以前、
れもんらいふデザイン塾で、
なぜスープ屋を始めたのか教えてくれたが、
世の中の常識のファストフードは、
ハンバーガーか、牛丼か。
スープなんかやっても儲かるわけがないと反対されたそうだ。
前例がない事は、反対される。
だからこそやる価値がある。と教えてもらった。

今、僕のれもんらいふ10周年の広告に
面白い!と価値を感じてくれる人がいたら
その人とは、何か面白い事をできるに違いない。
この広告は、れもんらいふ10周年のインスタレーションであり、僕のデザインの常識に対するアンチテーゼでもある。
さらには、れもんらいふスタッフへのエールでもある。

2021年も終わろうとしているが、
来年はまた
#これはデザインではない!と言われるような
活動を続け、常識破りな
デザイン会社でありつづけたいと思う。
来年ねテーマは、
「何もない」です😂
何もきまりを持たず、
なんでもやってみようと。

あ、僕のはじめてのエッセイ
昨日でたので、
買ってね😂
#これはデザインではない
https://www.amazon.co.jp/dp/4484212293/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_8G01FST95K997VA6XTMQ

2022年もお世話になりました。
来年もまた!
なんかやろうね😂



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