【1分で読める小説】 その7 99階の男
「ここは世界で最も高級なマンションの最上階です」不動産屋はそう言って愛想笑いをした。「ふざけんな。このタワーは100階建て。なんで99階が最上階なんだよ。俺はどうしても世界一の部屋に住みたいんだ」「ご安心ください。100階にお部屋はございませんよ」
マンハッタンのど真ん中、ついに俺は世界一の部屋を手に入れたのだ。この夢を実現するために奨学金をもらいながらMBAをとり、IT事業を起こし、がむしゃらに働いた。窓の外には銀河のような煌めきがどこまでも広がっている。この地上の全てが