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ブラックコーヒーを「甘い」と感じた日

 コーヒー業界に「カッピング」というトレーニングがある。焙煎の温度や時間など、微妙に条件を変えたコーヒーを少量ずつ口に含んで味わいを確かめる。飲み比べのようなものだ。

 プロは当然のように毎日行い、鋭敏な味覚を養っているらしい。うちのシェアハウスでもそれが体験できるということで、実際に用意をしてもらった。

 四種から六種の、微妙に違うコーヒーの粉。カップに入れたそれに直接お湯を注ぎ、四分待ったあと四回かき混ぜる。そのあとは灰汁を取り、上澄みをスプーンで掬ってごく少量を味わうのだ。

 一回目のカッピングでは「ああ、味が違うなあ」ぐらいにしか思えなかった。しかし、二回目のカッピングで表題の通りになった。

 甘いブラックコーヒーは、存在する。

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