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シェアハウス管理人の朝

 埼玉県の指扇駅から徒歩7分という、駅からほど近い場所にそのシェアハウスはある。古民家を丸々一軒借り上げて作られたそこは、インフラもろもろコミコミで家賃2万5千円という破格の激安シェアハウス。

 その名は「リバ邸大宮」。このエッセイシリーズでは、リバ邸大宮で管理人を任されているチーズフライささ美が「管理人から見たシェアハウスの日常」を綴っていく。

 更新は無料版と有料版の最低週2回。有料版は増量の余地がある。

 無料版では管理人中心の日常で、有料版ではもっと踏み込んだ生活のあらましを連載していく予定だ。

 では早速、シェアハウスの朝を語りたい。

 ドミトリーと呼ばれる相部屋なので、ロフトベッドで朝起きると別のベッドに人が寝ている。彼女たちを起こさないように、でも必要以上に萎縮せずそっとはしごを降りるのだ。最初のころはベッドが軋むたびに、他の住人が起きないかとびくついていたものである。しかし今では遠慮なく、ギッギッギッとはしごを小さく揺らしながらも素早く床に着地。洗濯物と水分補給用のマグカップ、手を拭くためのタオルを持って階下へ向かう。

 トイレと洗顔の後は洗濯。ごくまれに別の住人が洗濯物を洗ったまま洗濯槽に放置しているときがあるので、そのときは個人を割り出して注意する。まあそんなことは滅多にないので、普通に洗った。

 キッチンで、冷凍のごはんがあるときはそれをチンする。なかったときは前日に炊飯器のタイマーを設定しているので、炊き立てのご飯が食べられる。たまに炊き忘れるときがあるので、スピード炊飯モードの取り扱いもバッチリだ。炊飯器が2つあるのもシェアハウスならではか。

 リビングでご飯を食べ、皿洗いと歯磨きを終えると、管理人の業務の一つであるゴミ出しが待っている。最大8人分のゴミというのは結構溜まるもので、特に燃えるゴミに至っては週2で出していてもゴミ箱の蓋が閉まりきらないこともざらにあった。悪臭に耐えつつも手早く袋を取り換え、家の前にある専用の箱にゴミを突っ込む。

 手を洗ってからリビングに戻ると、ようやく他の住民が起きだす。今のリバ邸大宮には宵っ張りが多い。生活リズムがバラバラであるよりはなにかと都合がいいのだろうけど、朝派の私は少しだけさみしいところもある。

 リモートワークのためパソコンの前に座る者あり、朝食を買いに出かける者あり、寝続ける者あり。住人の生活が動き出す瞬間が、私は好きだ。ここがシェアハウスであることの実感を得られる。

 頃合いを見計らって、洗濯物を干す。洗濯機も2台あるとはいえ、洗いっぱなしで洗濯機を占領するのはあまり褒められたものではない。男性は庭、女性は2階の日当たりがいいベランダで干す。スペースは完全に譲り合いだ。

 と、こんな風にして管理人の朝は過ぎる。穏やかながらも飽きない生活は、26年生きてきた中で一番幸せだと言い切れるほどの充実っぷりだ。シェアハウスに住み始めてもうすぐ2か月になるが、実家での抑圧された日々にはもう戻れそうにない。

 これからもシェアハウスの日常を楽しくお知らせしていこうと思っている。

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