第▲話|話のとじかた

1、文末の役割は一般的に、余韻を残すこと。景色を広げるといってもいいのかな。それですぐに思い浮かぶのは、情熱大陸的なやつ。挑戦は続く、その目は常に未来を見据えている…これで終わりではないのだ、というやつ。畢竟、インタビュー記事で最後に伝えたいことはそれだと思う。これで終わりではないですよということ。ただ、表現としては紋切り型になってしまう。それを引き受けてもいいのだけど、他に何かないかなとも考えたい。

2、わたしがよくやるのは、相手の言葉で締めるやつ。強度のある、その人らしさが溢れたグッとくる言葉の塊を最後に置く。これは、その人によって言葉は違うから、紋切りにはならない。ただ読む人からすると、え、これで終わり?という感想を持つこともあるみたい。しっかり締められていた方が読み心地はいい。でもこれも景色は広がるし、余韻も残るし、ひとついいよなと思っている。

3、あとは感想でまとめるスタイル。ブラタモリの最後のタモリの感想とか、カンブリア宮殿での村上龍の最後のまとめとか。これは紹介する側、ホスト側に強い視点を持ってる人がいて、その人の見方によって紹介するもの自体が引き出されていくとか、その人の感想をみんなが知りたいとかっていう場合はこうなるんだと思う。そうじゃなくても、感想でまとめると、ちゃんとまとまる。

4、ドキュメント72時間はどうやって終わっているっけ?覚えてないのは最後まで観てないからかも。最後までみなくても途中で十分面白い。たぶん72時間が終わったらそのまま終わりなんだろう。ザ・ノンフィクションも終わり方をあまり覚えてないな。きっと放り出すかんじで、特にまとめもせず明るい未来を感じさせもせず終わっているんだと思う。

余談だが、全部読まなくても、途中だけ、一部だけ読んでそれで十分面白いのが、書く上での理想。物語の帰結とか結論とかは、そんなにバリエーションて、たぶんない。その物語はそこで終わっても人生は続く。シンデレラは結婚してハッピーエンドではあるけど、結婚生活は最悪になるかもしれない。でも死に際は最高かもしれない。死後認められる価値があるかもしれない。

物語の結末がヘンテコでも、途中が最高だったら、その作品の価値は全然低くならないと思っている。そうそう、新井英樹の「ザ・ワールド・イズ・マイン」は結末はえーこりゃないよって思うけど、そんなことはどうだっていい気がする。余談終了。

5、かなりしっかり景色を描写で描き切る、というのもある。それでもやっぱり、流れが自然な途中に比べて、なんかお決まり的な、こそばゆい感じがすることが多い。まとめにはいってるな、と感じる。

6、とにかくこれで終わりなんです、という記号を置く。完とかfinとか。何かしっくりくる記号があったらこれもいい。

他のパターンもあるかもしれないがどうだろう。聞き手の存在をどれだけ出すかによるのだけど、4を対話形式でやるとどういうことになるのか、難しい気がする、2がけっこう好きだから2でやりたいけど、モノローグや地の文+会話文カギカッコで構成する場合やりやすいけど、対話型だと流れがうまくいかないこともある。

いや、6の記号さえあればどんな終わり方でもいける。6をつくるのが重要かも。

あと、感想、思うこともあってそれも書きたいから、3にするかも迷って、ムトゥ青果店はタイプ3で終わっている。でもやっぱり、感想は感想で別記事にしたいなと思った。その人のこととして投げ出して、それはそれでひとつ終わりにしたい。私がどう感じたかはどうでもいいからまずそれを読んで欲しい、と、やっぱり思う。なので次からは分ける予定。

でも感じたことも書きたい。なので、断片と断片のあいだとして、それはそれで書いていくことにした。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?