▲▲▲|ものを飼う人

安藤くんの手に渡ったものが、一定期間家で放されて、また別の古道具屋さんに買われていく、ものが好きな人の間をぐるぐると移動していくようなのがとても面白かった。ものが生きているみたいで。

Eテレの4〜6歳対象の子ども番組に「みいつけた!」というのがある。主な登場人物は女の子と、サボテンと、椅子。なんで椅子?とはじめは不可解に思っていたのだが、ある日、宮藤官九郎作詞・星野源作曲の『グローイング アップップ』という曲が流れた時に、付喪神(つくもがみ)的なことなのかと、すごく腑に落ちた。

『グローイング アップップ』は、成長する子どもと、その子どもが座るには小さくなってしまった椅子のお別れが、椅子と子どもの視点から交互に描かれる歌詞で、ものすごく良い。その歌詞のことを考えるとわたしはいつでも泣ける。今だって泣いてる。その椅子はもともとお姉ちゃんのおさがりで、次はいとこのところへ渡されるらしい。

子どものものって、たしかにおさがりでもらったものがたくさんあって、さらにおさがりとして人に渡っていったものもあって、そういうのってなんだかいいんだよなということを、思い出した。なんで椅子?というのは、おそらく、明文化されてはいないが、ものにも命が宿る、というメッセージがあるのではないか。

安藤くんが主に扱うのは、用途のないもので、そういうものはまた独特な格好良さを持っている。彼のインスタに載っている用途のよくわからないものたちは、かなり格好いいので、骨董商の活動なのか、いずれお店を持つのかはわからないけど、色々やっていくようになるんじゃないかなあと思う。いいものが集まっていったら、もののほうが、それを要求するようになるんだと思う。




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