夏色の傘


濡れながら前を歩く 

あの人の背中を見つめながら

ひとり

傘を握りしめている手は 夢の中のように動かない

細い雨の中

どうしても縮めることができない その距離が

雨に煙って 揺れている


話したこともないふたり


私だけの想いと はじかれた雨粒はどこか似ている


冷たい緑の匂い

静かな 帰り道

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