「第五帖・若紫」2021/10/21源氏ゆる語り
今回はある意味一番有名かもしれない巻。
光源氏のことをロリコンとかいう一言で片付ける人がいますが、この巻の影響ですね。しかし間違ったことを言ってもらっちゃ困る。ロリコンちゃうわ。何度も言ってるけど、初恋を拗らせとるだけや!
ってわけで、まず配信アーカイブ貼ります。
冒頭は前回までの配信からのご質問にお答えしています。
トイレ事情のお話なんかはなかなか面白いですよね。
樋箱(ひばこ)、樋洗童(ひすましわらわ)、樋殿(ひどの)
そして今昔物語の中から樋箱に関連する面白いエピソードもひとつ。
ぜひ聞いてみてください。
さて、ロリコンちゃうわの話に戻りますww
そもそも、ロリコンとか言って片付ける人って、間違いなく源氏物語を知らないですよね。源氏の恋人や妻になった女性で、出会いのシーンで子供だったのって紫の上だけですよ。紫の上だって大人になるまでは源氏の庇護の元で娘のように大切に育てられますし。
もう一人、源氏の晩年(40歳の時)に事情があって妻として迎え入れる13歳の女三の宮(朱雀院の娘)というのもまぁそりゃ幼いですけども、これは兄の朱雀院に「この娘を残して死ぬのは心配でならん。紫の上を育てたように、どうかうちの娘を育て上げてくれ」と頼み込まれたという経緯があります。最初は断ってますしね。「年齢的に釣り合わんよ〜」って。
ただ、この二人には一つの共通点があるのです。
それは、源氏の初恋の人、藤壺の女御の姪っ子なんですよ、二人とも。
だから「初恋拗らせ系男子」だって言ってるんですわよ。
ま、晩年の妻となる女三の宮の場合は、これにさらに「宮様を正妻に迎える」という権威欲も加わることになりますが、これはまた後日「若菜」の巻にてお話しします。
ここで、今回の若紫巻の登場人物の系図を貼っておきますね。
ちなみにこの系図にはまだ、上記の女三の宮の母にあたる藤壺さんの腹違いの妹のことは載っておりません。これも後日「若菜」巻の時に。
ね、若紫ちゃん、姪っ子でしょ?
藤壺の女御の同腹の兄である兵部卿宮の隠し子なんですよ。
だからね、源氏は最初に偶然見た時から、まだ10歳の若紫に藤壺さんの面影を見てるんです。「なんか似てる!」って。
で、姪っ子と知って一気に盛り上がるんですよ。
自分の手でね、第二の藤壺さんを育て上げようとしたんです。自分の手に入れられる、自分だけの藤壺さんです。それが、若紫、のちの紫の上なんです。
配信では24分過ぎからこの話が始まります。
彼女がなぜこの時に若紫と呼ばれるか。それは藤の花が紫色だからです。そして藤壺女御のゆかりの少女だからです。
源氏物語は古くは「紫のゆかりの物語」とも呼ばれていました。
桐壺さんに始まり、藤壺さん、そして紫の上。
「桐」って淡い紫色の花が咲くでしょ?そして「藤」、そこからのどストレートな「紫」。
つまりは「紫」がどんどん濃くなっていくイメージ。
作者の紫式部が、元々は藤原家の女なので「藤式部(とうのしきぶ)」って呼ばれてたのに、この巻を書いた後から「紫式部」って呼ばれるようになったのは、この紫のゆかりからきています。貴族の男性が彼女に戯れてそう呼びかけたのが始まりとか言われてます。
若紫を見て藤壺に似ていることに気づくシーンも、ちゃんとあるんですよね。だからこそ、ロリコンとか言って片付ける人は絶対にちゃんと読んでない。そう言い切れます。そんな人がいたら、教えたってください。
さて、この巻ではもう一つの大きな事件が起こります!!!
そう!!ついに、ついに、光源氏ったら許されない恋の一線を踏み越えてしまうのです!
この時ちょうど体調が悪く、里下がりしてた藤壺さん。
そこで源氏は王命婦という藤壺さん付きの女房をうまく味方につけて、藤壺さんの部屋に忍び込んでしまうんです!
配信アーカイブでは35分20秒くらいからです。
藤壺さんも相手が光源氏となると助けを呼ぶわけにもいかない。
だって、夫である桐壺帝の立場も危うくなる大スキャンダルです。源氏は桐壷帝の息子なんですよ。誰にとっても不幸な結果しかない、とんでもないことです。
この夢のような逢瀬の後、源氏は変な夢を見ます。
それは……ここには書かずにおきましょう。詳しくは、配信アーカイブにて。
彼にとっては夢のような一夜でしたが、それと同時に、どうにもならない現実を突きつけられるような一夜でもありました。
それもあって、ますます彼は藤壺の姪にあたる少女に執着することになるのです。
あと、この巻では、さらっと明石入道とその娘の噂話も出てきます。
これはのちに源氏が明石で出会い、源氏の娘を産む「明石の上」のこと。
アーカイブ15分くらいのとこと18分くらいのとこでお話ししてます。そこで生まれた娘が入内することで源氏の権力はピークに達するわけですが、ここではもちろんそこまでは語られません。あくまで「フリ」です。
ただ、源氏の人生に大きく影響した藤壺との一夜の逢瀬(後に帝となる子供がこの時にできてしまう)、そして源氏の生涯の一番の伴侶となる紫の上との出会い、さらに源氏の地位を固める娘を産むことになる明石の上の初登場(まだ噂話だけですが)というように、物語の中で重要な位置を占める3人の女性の話がこの巻で語られているというのは、とても印象的ですよね。
作者が明石の上の話をフリ的にこの巻に入れたのは、やはり意図があってのことなのではないですかね。
あ、そう!今回の配信の中で「京都には海がないですからね〜」なんていう発言がありましたが、これ、修正しておきますね。京都府は北部の方は日本海に面しています。この発言での京都ってのはいわゆる平安の「みやこ」の範囲、京都市内のことだとお受け取りいただければ。失礼しました〜。
てなわけで、ちなみにトークも満載の今回の配信。
アーカイブ、もう一度貼っておきますね。
https://twitcasting.tv/chieroom/movie/706456111
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