見出し画像

「第六帖・末摘花」2021/10/28源氏ゆる語り

さて、今回は「末摘花」という巻。源氏物語の中でもわりと有名な「鼻の赤いブサイクなお姫様」とのお話です。
時系列では前回の「若紫」と同じくらいの時期でして、末摘花とのエピソードの間に若紫のエピソードが入るっていう流れですね。

アーカイブはこちら

https://twitcasting.tv/chieroom/movie/707389261


配信の最初の方は、簡単にここまでのおさらいをしました。

この頃の光源氏は夕顔をなくした後の喪失感でかなり落ち込んでおります。
この巻の最初の方はまだ、北山で若紫ちゃんと出会う前ですのでね。
正妻は相変わらず自分に冷たいし、藤壺さんへの恋は実るはずもないし、なんかもう、絶望感も加わって、生活態度が荒れております。
帚木の巻の「雨夜の品定め」の場面で、悪い兄さんたちwから「中流の身分の女が一番堅苦しくなく恋愛を楽しめて面白いぞ」と教え込まれた光ちゃん18歳。あちこちの中流女子に声かけまくりの「人生におけるチャラ期」真っ盛りです。それで絶望感や喪失感を埋めようとしてるのね。寂しいわね…。

そんなある日、光ちゃんは宮中で働いている大輔命婦(たいふのみょうぶ)というちょっと面白い女房から噂話を聞きます。
それは「荒れた屋敷に寂しく住む高貴な姫君」の噂。
これがまさに当時の流行。こういう荒れ果てた屋敷にひっそりと住む美しい姫君をかっこいい貴公子が見つけ出して恋に落ちる話ってのが、当時の物語で流行ってたそうなんです。いつの時代も流行りの話型ってのがあるわけですね。

彼女は亡くなった常陸宮様が大切に育てていた一人娘。宮家の血筋なので高貴な身分です。ただ、母も亡くなっていてしっかりした後見もおらず、荒れ果てた屋敷を手入れすることもできずにひっそりと寂しく暮らしております。琴(きん)だけが友達。
ちなみにこの琴という楽器については、配信でも説明しておりますが、こちらをご参考ください。

画像2

画像2

興味を持った源氏が大輔命婦に仲立ちを頼むわけですけど、この姫君にちょっと問題があるのを知ってる命婦は困惑。
ただ、彼女はその方面ではなかなかの策士でして、実にうまく姫君の欠点を隠して源氏に期待を持たせるわけですね。
これが実に巧妙なんです。詳しくは配信で。
初めての訪問では、結局は源氏は姫君に会っていませんし、姫君は源氏がこっそり屋敷の中で聞き耳を立てていたことも知りません。

ちなみにこの訪問の後、屋敷の前で源氏は頭中将に見つかっちゃう(というか中将が尾行してた)んですが、ここがね、結構好きなんですよ。
頭中将って、光源氏にライバル心むき出しだけど、結局源氏が大好きなんですよね〜。すごい仲良し。二人がふざけてるとこなんて、本当に若さが際立って、いいんですよね〜。なんというか、美形の若手俳優やアイドルがわちゃわちゃと仲良くしてるのを目を細めて見てしまう…みたい感じ。多分当時の読者もそうだったはず!だってアイドルやもん!当時も同人誌とかあったかもよ、BLの!ww

競い合って恋愛の遊びを楽しんでる若者二人。今と変わらない雰囲気があります。

そんな中で、光ちゃんったら、正妻の葵の上の屋敷で召人まで作っちゃってさ。
召人(めしうど)、これは男が女房などに手をつけて愛人関係になるものの、身分が違うし立場上は妻や通い人にはできないので、女房(召使い)として雇って近くに置いておくってやつ。
源氏は正妻の葵の上が住んでいる左大臣家の屋敷で働いている中務の君(なかつかさのきみ)という女房を召人にしてましてね。まぁ葵の上が冷たくするもんだから仕方ない…とはいえ、中務の君はすごく辛い思いをしてるんですよね。源氏と関係を持ってることを葵の上の両親である左大臣夫妻や他の女房にも知られてて、それでちょっと意地悪もされてて、やっぱり立場悪いのよ。
つまり男の作った社会の常識では召人はいてよいものとされてるけども、現実はやっぱズレてるってこと。立場的にも精神的にも、誰にとってもそんな穏便なものではない。
作者の紫式部は、ちょいちょいそういうリアルな現実を差し込んでくるのが良いですよね。

さて、そんなこんなしてるうちに源氏にライバル心むき出しの頭中将(ちなみにさっきの召人の中務の君は頭中将が源氏より先に口説いてたw)からも恋文が届くようになっちゃった末摘花ちゃんですが、彼女はどちらの文にも返事しない(実際は返事の仕方がわからないんですけども)。
そうなるとますます興味深くなる。ハードル上げちゃってます。

と、いうわけで、アーカイブ28分くらいから、ついに源氏が末摘花と直接逢うシーンをお話ししてますので、あとは配信アーカイブにて。
光ちゃんったらひどいのよ〜〜!

あとね、ぜひ聞いていただきたいのは
49分45秒くらいからの正月の衣装の話。
あと、53分40秒くらいからの若紫ちゃんとの戯れ!これ、ほんとひどい!笑っちゃうけど。あと若紫ちゃんがめっちゃ可愛いけど。

なんといますか、この末摘花の一連のエピソードに関してはね、
落ちぶれて後見人のいない高貴なお姫様より、お金を持ってる成り上がり受領の家の娘と結ばれる方が男性にとっては経済的にプラスになるという、当時の貴族社会の現実…みたいなものもそこはかとなく読み取れたりしますよね。
宮家のお姫様がしっかりした後見が無いままに落ちぶれて、こんな風に若い男の風流遊びの対象にされてしまうという哀しさ。実際にそういう悲話はたくさんあったんでしょうね。そういう現実を、作者が意図的に取り込んでる気はします。

ま、光ちゃんは責任感が強いので、しっかり生活の援助をしてあげますけどね。恋人としては見れなくても、源氏に生活の援助をしてもらって生きられるなら、この不器用な姫君にとっては幸いだったと言えるんでしょう。

そんな「第六帖・末摘花」
配信アーカイブはこちらですので、お暇な時にこのnoteをチラチラ見ながら聴いていただけたら嬉しゅうございます!
最後にもう一度URL貼っときま〜す!

https://twitcasting.tv/chieroom/movie/707389261


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?