千笑

物書き。 好きなものを好きなように書く。 ひとりでも読んでくれたらいいな。

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記事一覧

「声のする方へ」あらすじ

あたしと彼はようやく恋人同士になった。頻繁には会えなくなってしまったけれど、それでもうれしかった。それなのに、突然彼は死んでしまった。その死んだはずの彼が、なぜ…

千笑
10か月前
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「声のする方へ」第三話

 一年前の彼が亡くなったあの日、なんとか葬儀を終えて帰路についていると、後ろから彼がついてきていた。見間違いかと思ったけれど、そうではないらしい。  電車の中で…

千笑
10か月前

「声のする方へ」第二話

 彼がいなくなってから、早一年が経っていた。暖かくなり、桜が満開に咲き誇る頃を見計らい、あたしは彼と地元の大きな桜の木の下にきていた。  あれ以来、彼はずっとあ…

千笑
10か月前

「声のする方へ」第一話

「す、好きですっ……俺と、付き合ってくださいっ」  地元ではちょっと有名な、大きな桜の木。少し高台にあるその立派な木の下で、彼は真っ赤な顔をして立っていた。  …

千笑
10か月前

僕のヤバい彼女

「ねぇ、今度どこ行く?」  少し冷えた風の吹く土曜の午後、おしゃれなカフェテラスで僕の彼女が笑いながら言う。  きれいなネイルを施した長く細い指で、テーブルに広げ…

千笑
1年前
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「声のする方へ」あらすじ

「声のする方へ」あらすじ

あたしと彼はようやく恋人同士になった。頻繁には会えなくなってしまったけれど、それでもうれしかった。それなのに、突然彼は死んでしまった。その死んだはずの彼が、なぜかあたしの前にいる…!?
引っ越し先の高校で同じクラスになった人に告白もされ、困惑するあたし。幽霊でも彼にそばにいてほしいあたしと、そんなあたしを好きになってくれた人。
彼の声が聞こえるようになったとき、今までの小さな違和感がひとつになって

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「声のする方へ」第三話

「声のする方へ」第三話

 一年前の彼が亡くなったあの日、なんとか葬儀を終えて帰路についていると、後ろから彼がついてきていた。見間違いかと思ったけれど、そうではないらしい。

 電車の中では、あたしのはす向かいに座っていた。心配そうな顔であたしを見ている彼をじっと見ていると、やっぱり後ろの椅子が透けていた。

 おもむろに彼に手を差し出していた。彼は戸惑いながらもその手を握ろうとしたけれど、やっぱりうまくはいかなかった。

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「声のする方へ」第二話

「声のする方へ」第二話

 彼がいなくなってから、早一年が経っていた。暖かくなり、桜が満開に咲き誇る頃を見計らい、あたしは彼と地元の大きな桜の木の下にきていた。

 あれ以来、彼はずっとあたしのそばにいる。しかし、彼はもう死んでいる。

 そう、彼は幽霊になってあたしの前に現れたのだ。

 あの日のことは忘れもしない。差し伸べられた手を掴もうとしたとき、あたしの手はなにも掴めず地面に触れた。なにが起こったかわからずに呆然と

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「声のする方へ」第一話

「声のする方へ」第一話

「す、好きですっ……俺と、付き合ってくださいっ」

 地元ではちょっと有名な、大きな桜の木。少し高台にあるその立派な木の下で、彼は真っ赤な顔をして立っていた。

 満開に咲き誇った桜の花びらがひらひら舞う中、あたしはじっと彼を見つめていた。

「……はい」

 やっと口から出た言葉は弱々しく、彼の耳に届いたか不安になる。

 そんな心配をよそに、彼はゆっくりと笑みを携えながら顔を上げた。

「……

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僕のヤバい彼女

僕のヤバい彼女

「ねぇ、今度どこ行く?」
 少し冷えた風の吹く土曜の午後、おしゃれなカフェテラスで僕の彼女が笑いながら言う。
 きれいなネイルを施した長く細い指で、テーブルに広げた雑誌のあるページを指す。
「ここね、最近できたらしくて気になってるんだぁ」
 丸い大きな瞳をキラキラさせて、うるうるの唇を突き出して僕を見る。
「ねぇ、聞いてるのー?」
「あぁ、ごめん。どこ?」
「こーこ」
 指をトントンされた場所を見

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