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父の日のセラピーワーク

【子どもと大人を守りぬく心の可視化と
 家庭・学校・地域・医療連携の糸口】

『見てごらんなさい。街を行く人達は皆、
平気な顔をして歩いているでしょう。
みんな本当は痛いんだ。
痛いところなんか一つもないよ。って言う人もいる。
自分でも気がついていないだけかもしれないなぁ。
みんな1人は寂しいんだ。
1人じゃ生きていけないんだよ。』
ある日の美術の恩師の言葉です。**

 今日は父親の愛着障害、またそのトラウマに向き合い、幼い頃に形成できなかったアイデンティティを獲得していくためのアートワークを紹介します。
ある人にとっては母親や祖父母、友人や恋人、パートナーへのトラウマかもしれません。
小児期の逆境体験や愛する誰かへのトラウマは
誰もが持っている、フラッシュバックは誰にでも起こりうると認識し、家庭と学校さらには医療が連携して子ども達の成長を見守っていく必要があります。
そして子ども達は子ども達のレベルで、脳をリラックスさせ、ストレスや不安を軽減する対処法を知ることも大切です。

何より大切なことは、子ども達を養護する大人自身が癒されていくことです。
臨床の知識や資格をもつ人達だけが行える作業では意味がありません。

『つらいなぁ。苦しいよ。』
『怒鳴られるとね、頭がぼーっとして何もできなくなっちゃうんだ。』
『あなたならそんな時どうするの?』

このように、普段から大人と子どもが一緒に話し合いの場をもつこと、さらには一緒に描いてみる・作ってみる時間をもつことが、トラウマ払拭やストレス軽減の近道です。
そんな子どもと大人の話し合いの様子や、ストレスを感じた脳をリラックスするために有効なツールについて紹介した動画がこちらです。↓
https://youtu.be/RVA2N6tX2cg

お待たせ致しました。
ここからが実践アートセラピーワークです。
教育現場におられる先生方、
『あの子』『この子』の顔が想い浮かん時は
ぜひ参考にしてみてください。

アートセラピーの視点から「父の日号」
【心の可視化 父親像と向き合う】

父親というイメージはあなたに何を伝えてくれますか?
あなたにとって父親はどんな存在なのでしょうか?
深い絆を感じる人もいれば、いつも仕事で忙しそうにしていた記憶しかない人もいるかもしれません。
私たちは父親がいなくても育つことはできたかもしれませんが、この世に生まれることはありませんでした。好むと好まざるとにかかわらず、たくさんの要素を受け取って今、ここに生きているのです。
この機会に自分を構成する要素の1つである父親について、じっくりと観察してみましょう。

【エクササイズ】ペン、クレヨン、色鉛筆
1、 人の形のシルエットの中に、父親のイメージを表現してみましょう。コラージュでもらくがでも構いません。
(注)似顔絵を描くよりもイメージを表現してみましょう。
2、 イメージ画が出来上がったら父親から受け継いだ要素をリストに全て書き出してみてください。
(例)髪質、骨格、考え方、せっかちなところ、本が好きなところ、人付き合いが苦手、財産など

参考文献【アートセラピーで知るこころのかたち 吉田エリ著】

【セラピーワーク実践レポート〝2人の父親〟】
私には2人の父親がいます。1人目は生みの親で、私が5歳の時に生き別れました。そしてもう1人は育ての親で、私が中学2年生の時に父となってくれました。
吉田エリ先生のワークを終えた後に、今回は敢えて写実的に2人の父親を描こうと決心しました。それは、セラピーワークの中で少しずつ父親と向き合う準備が整えられたという証でした。

これまで人権冊子の挿絵を10年担当しながら多くの母子像を描いてきましたが、父子像を一度も描いたことがない自分に気がついたのです。
30年間1度も会えていない実の父。
そして、反抗期真っ只中の私を必死で実の娘と同じように愛そうとしてくれた育ての父。
父についての歪んだ感情(人生のシナリオ)を描き直す作業が始まりました。これを心理学の中では「人生脚本」と呼び、人生観が構成された時期を調べながら、父親から受けた事実や要素について観察する目を育てていきます。ワークは感傷的にならないよう導いてくれます。

人間がもつ最も危険な感情は「寂しさ」そして「不安」です。自我の芽生えと共に両親から受け取る愛情は子どものその後の人生観に大きく作用しますが、ポイントとなる時期に愛情を受け取れなかった場合、成人してから自分で寂しさの感情を処理できず身近な人に依存し、愛が満たされなければ「寂しさ」は「怒り」へと形を変えることがあります。
発達の過程でポイントとなる時期は幾つかありますが、私の場合は5歳でした。この時期に父親が子どもに果たす役割は【ナイフ】です。母子の固い結束を少しだけ父親が切り離し、子どもに社会を見せようとします。

ワークを通して、私自身の心に潜む「寂しさ」の根っこは、〝実父がナイフの役割を果たした直後に去ってしまったこと〟が原因だと気づいたのです。
そしてその感情を抱えたまま思春期を迎え、育ての父
に「怒り」という感情を移したのだと気付きました。

ワークを終えた後に残る感情は平安と感謝でした。
父親像は、人間関係を築く礎です。
私たちは、家族そして自分を愛せた時に初めて隣人を愛することができるのでしょう。

        大人の図工塾管理人 米光 智恵

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