いじめ問題に悩まれている方へ

いじめがおこってしまう理由

　こんなテーマで書くと誰かを傷つけてしまうのではないかと思うのですが、なぜいじめがおこるかを少し突っ込んで考えたいと思います。

　ちょっと冷静になって考えてみて欲しいのですが、これだけメディアでいじめ問題が取りあげられているこのご時世で、どうしていじめ加害者が出るのでしょうか？事件になると、いじめ加害者も特定される可能性があり、社会的制裁が下されるのは明白なのにです。

　私がこれまで携わってきた経験や学んできたことを総括すると以下の要素が複合的に絡み合っているのではないかと思います。

①マウンティング

　一つ目はマウンティングのためです。思春期は自身がどうしてもかわいいがために「自分が他者より優れている」という証明をしたがります。そして自分が他者より優れていることを証明するために、いじめという行為が成立するのです。昔のドラマ「ファーストクラス」などで描かれていた部分です。特に思春期の時期の人たちには「自分が他者より優れている」という感覚が自身の存在理由にもなっている人もいるので、いじめ加害者になってしまう場合があります。

②仲間作り

　次に考えられるのが仲間作りのためです。人が仲良くなるのにもっとも手軽なのが共通の話題を持つことです。そしてその中でも簡単な共通の話題が共通の敵（ターゲット）を持つことです。この共通の敵は学校の先生方の場合や政治家、有名人みたいな場合ももちろんあるのですが、より近い場にいるものにした方が仲間になるのが容易になることがあります。そういった仲間作りを考えてしまう人がいじめ加害者になってしまうことがあります。

③自身の正義のため

　次に考えられるのが正義のためです。その社会での動き方に少しのずれがある場合にその社会をよくしたいとの思いで排除する方向に動くことです。例えば、合唱コンクールで優勝したいのに1人だけ練習に来ないからいっそ合唱コンクールに来ないようにしようとか、みんなでテニス部を強くしたいから普段から練習に来ないあいつが辞めた方がいいとか、あいつ空気読めないから仲間でいると楽しくないから呼ばないとか、そういった正義のためにその場にいられなくするようにしてしまうことがあります。自身の正義のためにいじめ加害者になってしまうことがあります。

④混沌のため

　言い表すのが難しくて私は混沌のためと呼んでおりますが、もう少し分かりやすい表現があれば、またコメント下さい。

　いじめ加害者自身が自身のコントロールを失うほどに劣悪な環境や精神状態の場合におこりうると思います。自身の苦しさをいじめという行為で吐き出してしまっているということです。例えば、家に帰ると暴力を振るわれてしまう、代わりに学校では暴力をふる側にまわってやろうということです。このように自身がボロボロな場合もいじめ加害者になる場合があると思われます。

⑤どうすればいじめはなくなるのか

　いじめはこの①～④が複合的に絡み合って行われていることが多いと思われます。1つの要因というのは意外と少なくて複合的に絡み合っている場合が多いということです。

　ここまで読んで頂いた方ならお分かりになると思うのですが、いじめを個人でなくすことは極めて難しいと思います。個人では加害者を変化させるということがあまりにも難しいのです。教育というのは人を正しい方向に導くことでもあると思いますが、1人の人間の思想を短期間に変化させることは現実問題として簡単にはいきません。ましてや、いじめ加害者が1人という場合はそれほどなく、集団になっている場合が多いことからもより難しさが伴うと思います。

　よって集団そのものを変えることが出来る状況が来ないと、いじめはなくならないと思います。また、その加害者集団のマインドセット（考え方のくせ）を変えていくことも重要です。

　集団を変化させることが短期間で難しそうな場合は、所属している集団を移ることも重要です。いじめられているこどもはその間にどんどん傷ついていってしまいます。何とかして集団をコントロールするくらいなら、集団を移籍する事も効果があるように思います。

　いじめそのものをなくすという具体的な方法はないということで、ある程度逃げることが最良の方法というのはどうしても納得がいかないことかもしれません。しかし、実際のところは本当に残念ですがいい方法はあまりないのかもしれません。学校の先生が絶対的な力を持つ小学校よりも中学校の方が少ないことからも、結局のところ誰かの力では解決が難しいということなのかなと思います。

　苦しんでいる方が少しでも楽になれるようにと書いたつもりです。早めにそんないじめが起こってしまっている集団は長くいてもいいことがないので、そこ今すぐにでも飛び出すようにすることが大切かなと思います。世の中は幸せになるための道がたくさんあり、そこを追求するしかないのかなとも思います。

　少しでも苦しんでいる方が楽になる部分が生まれたらいいなと思います。いじめが生まれないような社会になればいいなと心から思っております。