世にもお粗末な恋愛弱者#01 促されて帰るとき

家に遊びに行ったとき「そろそろ帰る?」と言われて、はっとする。今日こそ、私から早めに切り上げようって思っていたのに、と。

私は本当に馬鹿だ。幸せそうな顔をして、ぼけっとしてたんだろうな。なんて恥ずかしいんだろう。そんなふうに自分を客観視したつもりで、いつも落ち込んでしまう。

こんなに簡単に涙が出る。寂しいからとか、恋しいからとかじゃない。悔しいし、自分が恥ずかしい。みっともない。過去の恋愛から何を学んだんだろう。

お昼に読んだ漫画の主人公は、たった1度の裏切りでも自分を戒め、自分に厳しく、他人との距離を取って生きていた。感情を捨てたような感じで、揺れ動く自分を制しては波が引くのを待つように。でも、私はそれがどんなに難しいことかわかっている。人とどんなに距離を取ろうと思っても、私の中の馬鹿な私が人との距離を縮めたがる。

私はもう2回も裏切られているのに、なんでこうも学習しないのだろう。そもそも、私が裏切られるのにはどんな理由があるんだろうか。恋愛においてもう正解がわからない。何をするにも自信がない。

相手の家に行ったときの適切な滞在時間、適切な会う頻度、適切な連絡頻度、適切なハグや適切なキスの仕方。何もわからない。2回も裏切られていては、今まで良かれと思ってきたこと、試してきたことすべてに自信がなくなる。1回目のときに「私のああいうところがダメだったのかも」と思ったところは直して2回目に臨んだのにそれもダメだった。だからもう、何が適切で何が裏切りの引き金になっていたのかもわからない。

私が会社でいい評価を得るために頑張って働いたり、会社の看板を背負わずに仕事をしてみたりするのは、男に頼らずに生きていけるだけの経済力が欲しかったから。強い女になりたいと思っていたし、今では周りにはそういう風に言ってくれる人もいるのに、なんでこんなことで心を乱されないといけないんだ。私が目指していたのはこうじゃない。もう男の人に深入りしたくなかったからだ。なのに、またこうして同じようなことを繰り返している。学習能力のなさに愕然としている。


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