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【選挙ウォッチャー】 つばさの党の関係先に家宅捜索があった件。

 何の前触れもなく、いきなり来たので、ビックリしました。
 衆院補選・東京15区の選挙妨害をめぐり、5月13日、カルト活動家集団「つばさの党」の関係先3カ所に家宅捜索が入りました。いわゆる「ガサ入れ」です。
 今のところ、公選法違反の容疑がかかりそうな黒川敦彦、根本良輔、杉田勇人の3名は逮捕されておらず、家宅捜索が終わった直後からYouTubeの生配信を始め、そのままみんなで小池百合子都知事に自宅に押し掛け、マスコミを引き連れて街宣する画を撮らせていました。

つばさの党本部前は、ヤクザの事務所かと思うほどの物々しさに包まれていた

 家宅捜索が入ったのは13日午前11時頃。直後にNHKをはじめ、大手メディアが一報を出し、半蔵門の「つばさの党」本部前は、物々しい雰囲気に包まれていました。
 何かのテロ集団かと思うような警備となっており、特殊なプラスチックの盾を持った人たちが玄関を警備しているほど。これはつまり、警視庁が「つばさの党」をヤクザのような反社と同様に見ているという証拠ではないでしょうか。

「POLICE」と書かれた特殊なプラスチックでできた盾が並ぶ「つばさの党」の事務所前

 めちゃくちゃどうでもいいですが、尊師・立花孝志は「つばさの党」に家宅捜索が入ったことに大喜びで、わざわざ現場まで来てYouTubeを回していたほどです。
 ちなみに、尊師・立花孝志は今まで「黒川君は逮捕されない!」と豪語していましたが、いざ家宅捜索が入ると「今日にも逮捕される!」と、意見を180度変えました。結局、今日も逮捕されることはなく、小池百合子都知事の自宅前で街宣をして暴れていましたので、予想を変えて予想を外す「極限のアホ」です。


■ 「つばさの党」の捜査は進んでいる

「警視庁」と書かれた段ボールで資料などを押収していた

 これまで警視庁は、被害に遭った陣営から話を聞いているという噂はありましたが、捜査中の案件をペラペラと話してくれる人もおらず、我々には捜査が進んでいるのか進んでいないのか、全然わからない状態が続いておりました。
 しかし、いきなり5月13日に家宅捜索が入ったことで、捜査が進んでいないわけではなく、もっと言うと、家宅捜索で押収した資料も合わせて捜査がさらに進んでいくと思いますので、少なからず「今後も捜査は進む」ということになります。
 つまり、現段階で間違いなく言えることは、東京15区の公選法違反疑惑については「警察が捜査を進めている最中」だということで、現在進行形で捜査が進んでいます。ということは、黒川敦彦や根本良輔らにつながっているタイプの銀のブレスレッドがプレゼントされる日が来ても不思議ではないということになろうかと思います。

警察の関係車両に段ボールを載せる警視庁の捜査員たち

 ただ、誰の目にも「オマエら、逮捕間近じゃねぇか!」と映っていると思いますが、本人らの解釈はまったく違います。ガサが入るなら、合わせて逮捕されなければおかしいのに、ガサが入っただけで逮捕されなかったということは、「やっぱり逮捕されないんじゃね?」ということのようで、家宅捜索を受け、「つばさの党」の面々は、なぜか小池百合子の自宅前で街宣することになりました。
 しかし、ガサ入れと逮捕が別になることは、往々にしてあることです。
 彼らにとって身近なところでは、ガーシーこと東谷義和の関係先に家宅捜索が入った時も、あれは逮捕と同時ではなかったはずです。当時、東谷義和は「母ちゃんだけは勘弁してくれ!」と言いながら号泣しました。尊師・立花孝志が有罪判決を受けた際も、その前に家宅捜索が入ったことがありましたが、こちらは逮捕されなかったけれど、有罪が確定しています。こうしたことからしても、ガサ入れ当日に逮捕されないのは「逮捕できないから」ではないということは分かるはずです。


■ 逮捕を恐れない「活動家」としての自覚

 黒川敦彦や杉田勇人は、自分たちを「活動家」だと考えているため、いちいち「逮捕」を恐れては「活動家」としての活動ができないと考えているので、警視庁のガサ入れが入っても、それを逆手に取って、注目されているうちに小池百合子の自宅前街宣を展開します。
 しかも、杉田勇人が加入してからの「街宣」は、ただ抗議をするという意味ではなく、「自宅の前で街宣されたら嫌だと思う」という視点が入ることで、通常の活動家であれば、東京都庁前などで街宣するところを、わざわざ自宅の前で街宣するのが「つばさの党」のやり方です。こうした相手の嫌がる行為をぶつける手法は、まさに「N国党」で育まれたと言ってもいいのではないでしょうか。
 逮捕を恐れない理由は、もう一つあります。
 それは「自分たちを公選法違反で逮捕することはできない」と本気で信じているからです。「逮捕されるとしたら別件逮捕だ」と考えており、これが明確に「公選法違反にあたる」という認識がありません。法解釈が甘い彼らは「逮捕できるものなら逮捕してみろ!」と思っています。
 ただ、とても重要な視点が抜けています。一般的に「家宅捜索」が認められたということは、裁判所が「公選法違反の疑いが強い」と判断していることになります。黒川敦彦は「公選法違反にならない」と主張しますが、裁判所の判断はそうではないという証拠です。家宅捜索を喰らっている時点で察してもらいたいものです。


■ マスコミを引き連れて自宅前街宣

マスコミを引き連れ、小池百合子都知事の自宅前で街宣をする黒川敦彦ら

 今回、家宅捜索を喰らったことについて「つばさの党」の面々は、「マスコミに取り上げてもらい、自分たちの主張を取り扱ってもらうチャンス」だと考え、このタイミングで、あえて小池百合子都知事の自宅前で街宣すると言い出し、マスコミのカメラを引き連れ、わざわざ練馬の閑静な住宅街にある小池百合子都知事の自宅を突撃しました。
 実際、彼らの狙い通りに、たくさんのテレビや新聞が小池百合子都知事の自宅前で街宣する黒川敦彦らを取材していましたし、「つばさの党」のライブ配信は7万人以上が同時に見ていました。家宅捜索を受けたことも「おいしい」と感じるのが、彼らのメンタルです。
 彼らの特徴は、小池百合子都知事がいるであろう東京都庁に向かって街宣をするのではなく、わざわざ小池百合子都知事の自宅に向かって街宣を仕掛けるところです。もちろん、記者からは「なぜ自宅の前なのですか?」と質問されるわけですが、彼らは「小池百合子に主張を届けたいと思ったら、東京都庁でやるより、自宅前でやった方が効果的だから」だと答えています。どうせ東京都庁の前でやっても聞いてもらえないけど、自宅前という特殊な環境でやれば、小池百合子都知事に思いは伝わるというわけです。ストーカーみたいな発想です。
 黒川敦彦は、公選法に対する認識が甘すぎるので、自分たちは逮捕されないと考えていて、完璧に理論武装ができているつもりです。なので、自分たちを逮捕することはできないけれど、小池百合子の圧力によって家宅捜索が行われているので、警察も渋々動いていると考えていて、小池百合子がそう出るならば、我々もこう出るという感じで、小池百合子都知事の自宅前で街宣をしています。

集まった報道陣の前で「俺のラップ」を披露してしまう「つばさの党」の準メンバー

 ただ、この街宣もポンコツです。黒川敦彦らが「つばさの党を悪者にしようとマスコミが偏向報道している」などと訴える中、ラッパーだという「カズ」という男が、せっかく報道陣が集まっているということで、まさかのラップを披露する新展開。
 しかも、このラップが絶妙にヘタクソで、もはや何のために撮影しているのかが全然わかりません。そのくせ、自分たちの主張を「マスコミは、この部分をカットするなよ!」みたいに言っているなので、こんなもん、普通にカットされるに決まっとるやろ! なんでヘタクソなラップを聴かせられなきゃいけないんだ!

マスコミに向かって「オマエらの会社に気合いの入った若者がいるか」とシャウトする黒川敦彦

 今、「つばさの党」の黒川敦彦らは、最高に気持ちいい状態に仕上がっています。選挙妨害だと言われ、家宅捜索までされて、それでも「世間から注目されている」と考えているので、完全に「俺たちの生き様を見てくれ」になっています。
 これがネットの世界の恐ろしいところですが、黒川敦彦や撮影している外山麻貴が見ているのは、あくまで「つばさの党」の公式チャンネルに寄せられたコメントなので、そこには応援している人たちの声が並びます。そうすると、まるで「自分たちを応援する声で溢れている」と感じるようになってしまいます。ところが、一歩外に出てみれば、「つばさの党」を批判する声で溢れており、東京15区の衆院補選で1110票しか取れなかったことがすべてを物語っているように、「つばさの党」を支持しているのは、一部の人たちに過ぎず、ほとんどの人が冷ややかな目で見ているという現実には気づきにくくなります。なので、ほとんどの人たちが「ヤバい奴らによる野蛮な行動」としか見ていないのに、本人らは「多くの人に絶賛されている」と感じるようになってしまうのです。


■ 選挙妨害をすると収益になる仕組み

 今回、黒川敦彦や根本良輔が特殊だと言えるのは、選挙妨害をすると利益が出る仕組みになっていることです。彼らは「炎上させる」ことで、多くの関心を集めるとしていますが、常にYouTubeで配信しているため、何かをするたびに視聴者が増え、広告収入が入るだけでなく、スパチャ(スーパーチャット)を投げる人が現れます。
 彼らは生配信の中で何度も「スパチャ、ありがとうございます」と発言しており、投げ銭をした人にお礼を述べています。こうした投げ銭を歓迎しており、炎上させて視聴者を増やしていました。
 さらに、根本良輔はYouTubeで、こうした活動を「ビジネスにする」と発言していました。妨害行為を繰り返す中で、これはビジネスになると考えたようです。なので、今回の選挙妨害と「収益化」は一体となっており、ただ主張をぶつけているだけでなく、ビジネスと化している側面は、けっして無視できないのではないかと思います。表向きの動機は「選挙で自分たちの主張をする」ですが、その裏で「ビジネスになる」と考えており、実際、スパチャやYouTube広告での収入もあります。また、「投資ブラザーズ」なるものの勧誘につなげることを視野に入れていたと思います。
 実は、公職選挙法のみならず、その「お金の流れ」については不透明な部分があり、300万円の供託金や選挙カーなどのお金を「投資やM&Aによって1億円ほど稼いだものが原資」と話していましたが、どのようなつながりで、どのように稼いだのかは謎です。これは会社としての機密ということで教えてもらえませんでしたが、警察は捜査することでしょう。背景も含めての捜査となるのではないかと思います。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

マスコミの取材に応える杉田勇人、黒川敦彦、根本良輔

 今回の家宅捜索は、半蔵門の「つばさの党」本部事務所、黒川敦彦が住んでいるとされる外山麻貴の家、練馬の根本良輔の関係先の3つではないかと思います。
 実は、この中で警察が最も興味深く見ているのは、おそらく根本良輔の関係先ではないかと思われます。根本良輔は、現在の本業は「ナンパ師」であり、ナンパのテクニックを販売する情報商材のようなものを販売していますが、これは個人ではなく、会社として販売しているとみられます。
 そして、この会社をめぐって、とても不可解な点が浮かび上がってきますので、ここから先の話は「N国&つばさマガジン(2024年6月号)」にてお届けしたいと思います。また、捜査中の案件になりますので、この話はスクープっぽい感じになっても、「さわり」の部分ぐらいしかお伝えできないかもしれません。ただ、とても香ばしいネタの種がありますので、これからしっかり裏取りをして、皆さんにお伝えできるところまでお伝えしてまいりたいと思います。取材にも行かず、「家宅捜索の解説をしま~す!」みたいになっているYouTuberたちとは、まったく異なるスタンスで、現在も鋭意取材中です。

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