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【選挙ウォッチャー】 宮城県議選2023・塩釜選挙区レポート。

 10月13日告示、10月22日投票で、宮城県議選が行われました。
 塩釜選挙区は、定数2に対して3人が立候補し、誰が落選するのかが非常に気になる選挙区です。立候補していたのは、自民、自民系無所属、共産の3人です。自民党の思惑としては、共産を落として自民で2議席を獲得したいという感じだと思いますが、果たして共産党は落選するのか。ここが見どころです。

柏 佑賢   35 現 自民党(公明推薦)
阿部 眞喜  37 新 無所属
天下 みゆき 67 現 日本共産党

 宮城県議選は、全部で18選挙区をレポートしますが、ここから先はポスターしか取材ができていないところが出てきます。こうしたところでは、福島第一原発事故の汚染水の海洋放出をめぐり、どれだけ酷いことになっているのかを皆さんに知っていただくために、ニュースをまとめてまいります。




■ 塩釜選挙区・選挙ボード解説動画


■ 汚染水の海洋放出の悪影響を追う(#1)

 今日から福島第一原発の「ALPS処理水」と名付けられた汚染水が海洋放出されたことで、日本の海産物にどのような悪影響を及ぼしたのかという話をまとめていこうと思います。
 皆さんもご存知の通り、日本が汚染水の海洋放出を強行したことで、中国が日本の海産物を禁輸することになりました。これにより、「ホタテ」が大きなダメージを受けるところまでは、なんとなく知られているところではないかと思います。
 日本の経済産業省は、総額1007億円の政策パッケージなるものを始めたので、これでホタテをはじめとする水産業者たちが助かると豪語しております。全国の学校給食や社員食堂などでの消費拡大を含めた国内外の販路拡大に努めているということですが、学校給食に出してもらったぐらいでは中国への輸出量を賄うことはできず、焼け石に水です。全国の小中学生が毎日のようにホタテを食うのかという話ですし。
 日本政府の支援では、ホタテやナマコの一時的な買い取りや保管で生じた費用は全額補助するとしています。また、水産業者が新規需要の獲得に成功した場合には、その経費の15%(海外なら20%)を補助する仕組みも作ったそうです。
 しかし、これもまたおかしな話で、ちょっとだけ補助してくれるとは言っても、新しい販路を開拓する努力は水産業者がやらなければならない仕組みになっています。そりゃ水産業者としては死活問題なので、いろんな所で営業をかけるでしょうけど、「オマエらが勝手に海洋放出したせいで、こんなことになっているんだから、全額をオマエらが面倒見ろ!」という話でしかありません。
 さらに、どうしてホタテの輸出が中国に偏っていたのかと言えば、ホタテの殻をむく衛生的な工場を持っているのが中国だっただけで、日本でも中国と同水準の衛生的な工場を作れば、中国に輸出する必要はなくなるという話はあるにはあります。しかし、これには非常に厳格な国際基準を満たさなければならないため、設備投資には莫大な費用がかかり、国家レベルで進めない限り、民間の企業には無理です。
 ところが、水産加工業者に自動殻むき機などを導入した場合には、その費用の3分の2を補助するという「根本的な解決にはなっていない話」に税金を投入しており、これではせいぜい国内に供給する分を増やすことにしかなりません。
 もっと悲惨なのは「ナマコ」です。ホタテの場合は、日本でも食べる文化があり、お寿司のネタにもなりますが、「ナマコ」を食べる人は少なく、学校給食や社員食堂に出そうみたいな話にもなりません。中国への輸出が止まった段階で詰んでおり、国内の需要を喚起しようにも「ホタテ」なら応援しようという気になりますが、「ナマコ」はテンションが上がりません。
 今こそアホのネトウヨが中心になって、1日3食の「ナマコ生活」を過ごして、中国に輸出できなくなってしまった分を国内消費で食べまくるしかありません。ちなみに、こうした海産物の取引額は下がったままで、支援に即効性がないので、相変わらず漁師たちは苦しい経済事情を迫られているという感じです。
 最近は、宮城県のホタテを漁協から農協が買うということを始め、冷凍ホタテ450万円分を購入したそうですが、ちょっと買ったぐらいでは根本的な解消にはなりませんし、漁協への賠償金は東京電力が払うことになっているそうですが、話し合いが決着する目途は立っておらず、結局、漁協がダメージを喰らい続けるだけになっています。


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