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【選挙ウォッチャー】 沖縄県知事選2018・ネトウヨカルト化する若者たち。

沖縄のキャバクラで気付いた若者たちの「ゆるふわネトウヨ化」は、とっても多くの反響をいただき、ラジオ番組で紹介されたり、大学教授の先生が似たような話をしてくださったり、レポートをキッカケに研究してみようとおっしゃる有識者の方が複数現れたり、ネトウヨと一部のリベラルからは大変なご批判をいただきましたが、本質をご理解くださる方々にはしっかりと伝わり、おそらくこの問題は、僕よりちゃんとした大人たちが細かく研究・分析をして、教えてくれるようになるのではないかと思います。僕は「選挙ウォッチャー」という性質上、同じ土地で時間をかけて取材することができず、明日には東京に戻って、次なる選挙を取材することになります。しかし、新しい選挙を見れば、新しい問題が見つかるので、それをまた皆さんにお伝えして、また新しい入口を作っていければと思います。

さて、沖縄県知事選は玉城デニーさんが勝利しました。おバカな幻想を信じている人たちは、なにもネトウヨだけでなく、リベラル界隈にもいらっしゃいます。例えば、今年2月の名護市長選や今年6月の新潟県知事選で自民・公明・維新が推薦する「政権側」の人たちが勝った時に「ムサシによる不正選挙だ」と言っていた人たちです。沖縄に基地とカジノと低賃金奴隷制度を作りたい人たちにとっては、絶対に負けられない戦いだったわけですから、もし不正選挙が存在するなら玉城デニーさんが知事になることはないはずです。不正選挙を疑っている人たちは、「玉城デニーさんが知事になったら中国が攻めてくる」という話は信じないけれど、ムサシという機械が選挙を不正に操作しているという話は信じるのです。もしかすると、人はツボこそ違うものの、いろいろなデマや言説を基本的に信じてしまう生き物なのかもしれません。もちろん、僕もです。

ただ、現代の日本において、いわゆる「ネトウヨデマ」を信じてしまう人の数は半端ではありません。あのレポートで衝撃が広がったのは、ネットで「保守速報」のようなデマの温床となっているサイトを積極的に読み、百田尚樹さんや上念司さんのようなデマゴークおじさんの話を熱心に聞いてしまう「THEネトウヨ」がネット上でどれだけ自由に振る舞っていても、「そういう人たちもいるでしょう」ということで放置されてきたのですが、それが「まとめサイト」にアクセスすることもなければ、デマゴークおじさんたちの話を直接的に聞いているわけではないキャバ嬢の女の子たちが影響されていて、投票行動にまで影響を及ぼしているということがポイントなのです。僕が体感ベースで「7~8割の若者がネトウヨ化している」としたため、「キャバクラという偏ったサンプルで判断するな」と言われてしまったのですが、キャバ嬢は職業的に特殊だと思われがちですが、ごくごく普通のそこらへんにいる女の子に過ぎません。この7~8割という僕の感覚値が大きすぎると言ってくる人たちも多いのですが、ぜひ名護市長選の数字も見ていただきたいと思うのです。やはりそのポテンシャルは非常に大きなものであり、「選挙に行かない若者の多くが佐喜眞淳さんを支持していた」と僕は考えています。つまり、投票率が高ければ佐喜眞淳さんに有利だったのではないかと思われ、政治に無関心である人ほど噂をもとに佐喜眞淳さんを支持する傾向にあるというわけです。そして、皆さんが驚いたことは「投票行動の基準がデマである」ということにあると思います。そりゃ僕も驚きましたが、誰一人として「正確な情報」をもとに判断している人がいなかったのです。これは「貧困」「教育」の問題もあろうかと思いますが、僕は「政治に対する無関心」も大きな要素だと考えており、すべては「政治」「選挙」を面白く紹介してくれる人がいないので、まったく興味を持ってもらえないことが原因だと考えています。だから、最初は僕しかいないかもしれないけれど、この「選挙ウォッチャー」をやってくれる人を最終的に10人に増やしたいのです。

今回のキャバクラレポートが大反響だったせいで、僕が「選挙を追いかけている人」ではなく、「キャバクラで話を聞いている人」だと思う人が続出しているようで、しかも、キャバクラに行って政治の話をするモテないオジサンだと思う人が大量生産されてしまいました。基本的に僕はキャバ嬢の女の子に質問をしまくっているだけで、実際のところ、僕から政治的な話を聞かされることはほとんどありません。女の子が僕から聞かされることは、僕が「選挙ウォッチャー」という仕事をしていて、日本全国を旅しているニートみたいなオジサンであるという自己紹介と、「さんぴん茶のさんぴん茶割りをもらえる?」みたいなオジサンギャグと、それに対して100%聞かれる「お酒飲まないんですか?」みたいな質問に「俺、これ1杯でベロベロになっちゃうんだよ。でも、酔ってもセクハラしないタイプだから大丈夫だよ、いかついのは見た目だけだから」みたいな挨拶代わりのションベンカーブ。見た目が普通の女の子だったら「髪サラサラだよね!」とか「このネイルかわいいね!」とか気付いた魅力を褒め、見た目が綺麗な女の子だったら「気が利くね!」とか「めちゃくちゃストイックだね!」とか内面的な魅力を褒め、ちょっとだけ女の子が自分の話をしたところで、あとはタモリさんのように「選挙行った?」と切り出すのです。政治の話はタブーだと言われるけれど、だいたい彼女たちは普通に話してくれます。ここから先はひたすら「なんでなんで攻撃」で、ひたすら疑問に思ったことを聞いていけば、あっという間にデータが揃うってなわけです。

キャバクラという場所が「オマエ、キャバクラなんかに行ったのかよ!バーカバーカ!」と言いやすいため、やたら炎上する要素があるのですが、街の話を「どぶ板スタイル」で聞き集めるには、古くからやっている喫茶店、おしゃべり好きの店員がいる居酒屋、タクシー、美容室などは最高のクチコミスポットです。この人たちは、街の話をいろいろと知っていて、どこかの政治家に聞くよりも街のことをよく知っています。ポイントは「世間話をすることが多い接客業」であるということです。キャバクラも地元の小金持ちが遊びに来る場所なので、情報収集の場としては非常に役立ちます。これまでは知名度がなく、「選挙ウォッチャー」の売上がそれほど高くなかったので、あんまりキャバクラで情報収集することができなかったのですが、今回のような大きな選挙ではキャバクラも取材対象に追加しようと思います。

ちなみに、キャバクラに行ってきた話をした後に、こういう話をすると、「オマエ、とうとうその一線を踏み越えてきたのか!」と言われそうなのですが、キャバ嬢はほとんどが佐喜眞淳さんだったのですが、風俗嬢は玉城デニーさんを応援している人が多いそうです。実は、僕が宿泊しているホテルはソープ街の外れにあって、近くの駐車場が満車だったので、ちょっと遠くの駐車場に車を止めた時に、ホテルに行くためにソープ街の前を通らなければならなかったのですが、お店の前に立っているオッチャンに「写真だけでも見ていかない?」と声をかけられ、そんな時に限って車に忘れ物をしてしまい、オッチャンの前を軽くお辞儀をしながら二度も往復しちゃったりしていたのですが、僕にとっても親切にしてくれるキャッチのお兄さんがいて、僕が初めてこの地に降り立った時にもホテルの場所がわからなかった時にもホテルの場所を教えてくれたのですが、美味しいと聞いたソープ街の近くのラーメン屋に行こうとしている時にもグーグル先生に聞いている時に声をかけていただき、その際に世間話になり、あげくに選挙にまつわる話もいろいろと教えてくれたので、僕は今、この恩を返すためにはキャッチのお兄さんが教えてくれるソープに行って、ネトウヨや一部のリベラルから浴びせられた罵詈雑言をふわっふわの泡とともに流すしかないと思っているところでございます。こんなふうに軽い冗談を織り交ぜると、これまた炎上のタネになってしまうのですが、これが芸風なんだから仕方ありません。なぜ風俗嬢に玉城デニーさんを応援している人が多いのかという話は、後日、別のレポートでお届けさせていただく見込みです。これもこれで根深い貧困と差別の問題だったりもするのですが、今度は佐喜眞淳さんのことをほんの少しだけ見直す人もいるかもしれません。


■ 若者たちはどうしてディスられ慣れていないのか

若者の話を語るだけで「オジサンの上から目線」なんて言われがちなのですが、若者を理解することがジェネレーションギャップを埋めるための第一歩です。若者たちの投票行動を見ていると、若い人ほど「相手への誹謗中傷が酷いから」という理由で、相手候補に対する批判を展開している候補者を嫌う傾向にあります。それがデマに対する反論であってもです。僕のようなオジサンからすると、どうしてそんなに打たれ弱いんだろうと思うのですが、そうなるにはそうなるだけの環境があるのではないかと思うのです。単純に若者たちのメンタルが弱くなっているのではなく、「誰かに対する批判に敏感になるだけの環境がある」ということです。小学生や中学生のうちからスマホを持ち、SNSで交流することが当たり前になっている現代の若者は、ネット上で書かれる小さな噂が命取りになるのではないかと思うのです。これはオジサンが考えているだけで、まだ検証ができていないということは断っておきたいと思いますが、子どもの頃の話題なんて、誰が誰と付き合っているだの、誰が誰とアイスクリームを食べただの、自分のまわりの人が何をしているみたいな話だったりするわけで、それが今までは直接的な会話でしかなかったのが、今はSNSで言葉が飛び交うわけです。それだけに誰かの悪口というのは、ものすごくスピーディーに回るわけで、誰がどんな悪口を言っていたという話はものすごいスピードで拡散されてしまい、急速に関係が悪化してしまうのではないかと思うのです。SNSの時代なので、「誰々がこんなことを言っていたよ」みたいなスクリーンショットが送られてくるわけで、簡単に人の悪口が言えなくなってしまったのだと思います。だから、あまりネガティブな発言に対する耐性がなくなってしまい、悪口はもちろん、ちょっとした批判さえ、受け手はオジサンより「重たく感じる」のではないかと思うのです。だから、差別でもなければ、悪口でもないようなものまで「差別」と受け止めるようになり、ネトウヨに対する批判さえも「ネトウヨ差別だ」と言い出す。つまり、若者たちはあらゆるものをなるべく肯定していく文化の中にあるのではないかということです。嫌いなものはなくて、「好き」「普通」の2択しか存在せず、安倍政権のやりたい放題についても「安倍さんだって頑張ってるじゃん!」という考え方になってしまうのではないでしょうか。


■ 沖縄の若者たちは基地問題に興味関心がない

今回の沖縄県知事選で、キャバ嬢をはじめ、いろいろな若者たちに話を聞きましたが、「基地問題についてどう思うか?」という質問に、ほとんどの若者が「どっちでもいい」と答えています。明確に「反対だ」と答えた人も少なければ、「もっと基地を作った方がいい」という人も少なく、一番多い答えは「どっちでもいい」なのです。そして、その「どっちでもいい」と答えをよく聞いてみると、実に絶妙なバランスの上に成り立っていて、「基地はなくなった方がいいかもしれないけれど、なくしたら米兵さんが可哀想。米兵さんはいい人たちばっかりなんだよ」という具合なのです。だから、基地をなくした方がいいと思うけど、米兵さんを悪者にするようなことはしたくない。だから、この難しい問題に結論を出したくないとして「どっちでもいい」という答えになっているのです。これは若い人たちの根底に「愛」があり、批判されている人が必ずしも悪者ではないと考え、むしろ批判している人が「悪」であるという価値観を持っているからではないかと思います。そして、こうした価値観を生み出しているのはSNSではないかと思うのです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

ということで、あまりに反響の大きかったキャバクラレポートの追記は、これが最終章です。僕のいるホテルは那覇市なので、早くも10月21日の那覇市長選に向け、両陣営の街宣車が走り回っていますが、僕はまもなく沖縄を離れ、今度は10月14日の君津市長選を追いかけようと思っています。こちらは77歳の現職が今期限りの引退を表明しているため、3人が立候補を予定しており、なかなかの激戦を繰り広げようとしています。これはこれで面白い選挙になりそうです。[了]

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