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オリジナルデザインのベストを編む/emiko ichijo

1歳5ヶ月の息子に、オリジナルデザインのベストを編みました。
デザイン〜編む工程までをざっくり紹介します。

ニットのデザイン方法は色々あります。その中のひとつとして、これからオリジナルで編んでみたい方のヒントになればうれしいです。

サイズを決める

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こちらは去年着ていた、キルティング素材のベストです。結構高かったのに、もう小さくなってしまいました…
これを元にサイズを決めたいと思います。

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黒がキルティングベストの実寸。赤はこれから編むベストの希望寸法です。
キルティングよりニットの方がのびるし、胸囲は去年とあまり変わってなかったので、丈と袖ぐりだけを大きくしました。

製図する

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製図方法はいろいろありますが、今回はすべて原寸大(実際の大きさ)のグラフ用紙で書くことにしました。

原寸大のグラフ用紙で製図するメリットとして、型紙にあてて大きさを確認しながら編める、カーブの割り出しの知識がなくてもなんとなくカーブが作れる、作りたい見本があるときは現物あわせができるなどがあります。

ただし大きいものは、すべて原寸大にするのは大変です。私は普段は4分の1で全体図を書き、カーブの部分だけ原寸大のグラフ用紙で書くことが多いです。

グラフ用紙は方眼紙ネットの「手編み用ゲージ方眼紙」を利用させていただいてます。ゲージをはかり、10㎝あたりの目数と段数を入力すると、編み目と同じ大きさの方眼用紙がダウンロードできます。

※印刷設定の「ページの拡大/縮小」をなしに変更するなど、詳しい方法はリンク先に説明があります。ただし、設定しても㎜単位の誤差は発生します。より正確さを求めるなら、CADなどで自作してもいいかもしれません。もしくは「ゲージメジャー」を使い、手書きでグラフを書くという方法もあります。

ということで、グラフ用紙を出力し、製図を書いていきます。最初に決定した寸法を元に、

・段数は偶数でキリよくなっているか
・左右対称か(先に左を書いてから右を書く)

など、気をつけながら製図します。
そでぐり、えりぐりはゴム編みをするので、その分をけずります。

2目以上の減目は、実際は左右対称ではありませんが自分が編むときにわかれば良いので、ここでは書き直しません。
減目は2段ごとになるように、カーブを考えます。
肩下がりはなしにしました。

※この時、えりぐりが、頭が入る寸法になっているか確認するべきだったのですが、忘れたので後で編み直すはめになりました。

ベストの形がきまったら、ダンプカーの図案を考えます。デフォルメされている絵本や、クロスステッチの図案集が参考になりました。

※この時、図案をトレーシングペーパーに書けばよかったです。直接書いてしまったので修正が大変でした。

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だいたいできました。上の図には書いてありませんが、左肩にあきをつくるので、左は2段多く編みます。


いちおう、この状態で息子にみせました。「アンプカー!」と言ってもらえたので一安心。

後ろ身頃を編む

糸はハマナカのわんぱくデニス(1987年発売のロングセラー)針は6号・ゴム編みは4号を使用しました。

後ろ身頃は無地のメリヤス編みです。減目はあとで拾い目しやすいように、2目内側で行いました。
編めたら子供に当ててみて、サイズを確認します。えりぐりが小さそうだったので修正しました。

つづいて、前身頃の模様のおおきさ、位置を修正。この時にトレーシングペーパーに書き写しました。

前身頃を編む

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たて編み込みで、ダンプカーを編んでいきます。

編み地を製図に当ててみたら、ちょっと小さい。はかったゲージより小さくなってしまったようです。でもアイロンでなんとかなるかな、と思ったので編みなおしはしませんでした。

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久々の編み込みは楽しかったです。でも、目をきれいにそろえるのがむずかしかった。荷台をまっすぐにすればかんたんだったと思うのですが、どうしてもこの角度がよかったんですよね…

全て編み込みで表現するのは難しいので、タイヤなどはあとでつけることにしました。

前身頃のまっすぐな部分は、後ろより4段多く編みました(理由はあとで説明します)。

ししゅう、仕上げ

編み終わったので、しあげをしていきます。アイロン、とじはぎ、ゴム編み、ボタンつけなど。肩あきはこんな風にしてみました。

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そでぐりのゴム編みを拾う時に、肩あき分を重ねて一緒に拾ってしまいます。全部開けた方が着せやすいのですが、こちらの方法はふちがそろってきれいです。

ゴム編みは「本体より針二号下げる、目は全部ひろう、段は4段につき3目ひろう」で収まり良くなりました。目数のつじつま(奇数、偶数)が合うようにします。

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ししゅうは、とじはぎの前にしたほうがやりやすかったです。タイヤはかぎ針で編み、くっつけました。土、サイドミラーなどは刺繍です。

前身頃の4段多く編んだ分を、すくいとじの時に後ろ身頃とあわせて消します。こうすることでダーツのかわりになると本で読んだからです。(赤ちゃんはおなかがでているので、前後同じ長さだと前すそが上がってしまうことがある)

予定よりちいさくなってしまったので、わきのすくいとじを半目内側にしました。2目分おおきくなり、とじしろが薄くなったので結果的に2センチくらいおおきくなりました。めでたしめでたし。

完成

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無事、息子にもダンプカー認定をいただきました。

着た時に息子からも見えるように、図案の大きさと位置を考えました。見えているかは謎ですが、「ダンプカーは?」と聞くと自分の胸を指差すので、ダンプカーを着ているという認識はあるようす。

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なぜかしゃくれる息子。

予定よりちょっと小さくなってしまったり、えりぐりが頭ギリギリだったりと反省点がのこる作品となってしまいましたが、息子にはよろこんでもらえたので良かったです。

オリジナル図案のニットを編むヒント

今回紹介した方法は、あまり製図の知識がなくてもオリジナルデザイン・図案が作れる方法です。

でもベストの形から作るのはハードルが高いなぁ…という場合は、編み物本からシンプルな編み地のベストの形を拝借して、編み込みの図案だけ自分で考えてみるのはどうでしょう?もちろん帽子やセーターでもできますよ。

編み物本のゲージと同じ大きさのグラフ用紙をだす。本と同じ目数、段数で形を書いてみる。
好きな編み込みの図案を考えてみる。

丈を伸ばしたり、肩幅を2目ずつ広げたり、えりぐりの形を変えたり、ベースがあればアレンジもやりやすいと思います。

編み込みの図案を考える場合は、合細〜並太の毛糸、4号〜8号くらいの針を使用した編み図が、やりやすいと思います。編み目が大きいと、図案を表現するのが難しいです。

子供が好きなものの図案を考えるのは、とても楽しいですよ。ぜひやってみてくださいね。

※ただし、編み物本の製図を利用し、アレンジしたものをオリジナルデザインとして販売することは著作権侵害になる可能性があります。あくまで私的利用の範囲で利用しましょう。

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