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棒針の作り目いろいろ【1】指でかける作り目
※編み物研究室では、一般的な技法をあらためて深堀りしたり、まだあまり知られていない技法をわかりやすく解説したりする予定です。今回は対談形式でお送りします。
emikoichijo(以下E) :こんにちは。編み物ユニットchicotです。今日のテーマは、棒針の作り目についてです。よろしくお願いします。
atricot(以下A):よろしくお願いします。一口に作り目と言ってもいっぱいあるよね。こんな本が出ているくらい。
※atricotが所有している、作り目と伏せ止めだけが載っている編み物本。
E :はい。ここでは実際に私たちがよく使う作り目について、特徴や注意点、体験に基づいたさまざまな情報をお伝えしていきたいと思います。
E :まずはこちらの動画の、「ゆびでかける作り目」についてです。一般的な作り目とも呼ばれます。英語だとLong tail cast onですね。
A :メリットとしては、初心者でもやりやすいし、教室でも教えやすい。一般的な作り目という呼び名のとおり、編み物の本には必ず載っているから、一般的な認知度も高い。chicotの編み図にもよく使うよね。あとは、程よい伸縮性があって、のびっぱなしにならないのもいいところ。袖のゴム編み部分とか、帽子とか、いろんな箇所に使いやすいと思う。
E :そうですね。私も初めて帽子を編んだ時、母にこの作り目を教えてもらいました。では逆にデメリットはありますか?
A:うーん、ついこないだの話なんだけど、ロービングヤーン※で、この作り目をしたら、めっちゃ切れた。糸の撚り(より)が戻ってしまうんよね。
※単糸で甘よりの毛糸の事。この時編んでいたのは横田(ダルマ)のウールロービング。
E :たしかに、手前の糸の撚りが戻ってきますよね。この作り目する時は、無意識に撚りを戻しながら作っていました。向いてない糸もあるって事ですね。
A:そう。モヘアなんかも毛足が絡まるから、手がきつい人はちょっと注意が必要かも。あ!思い出した。めっちゃ前の話だけど、この作り目だと目がガッチガチになってしまう生徒さんがいた。2本で作って針一本抜くやん?その状態から、まったく伸びひんねん。
※普通はこの状態から、横に伸ばして目の大きさを整えることができる。
E :えー?!なんでだろう。やり方がまちがってるとか?糸を引っ張りすぎとか?
A:わからへん。何回もやってるところ見せてもらったけど、やり方はあってた。普通はどんだけ糸を引っ張って作り目しても、後で伸ばせるんやけど。
E :そうですよね。はた結びが糸引っ張る方向まちがうとほどけてしまうとか、それと似た現象でしょうか…?その生徒さんは結局どうしたんですか?
A:ええとね、結局、最後糸を引っ張るときにきゅっとしめすぎないようにしようという事で、ふんわり解決した気がする。だから根本的な解明はできてないねん。
E :気になりますね。ちょっと私も原因を考えてみます。
※このあと本当に検証してみましたが、原因はわかりませんでした。
E :編み物研究室なのに、いきなりつまづいてしまった感が…。まあ、この問題は今後の課題にするとして、ゆびでかける作り目をきれいに作るポイントなどはありますか?よく聞くのは、棒針2本で作るとゆるくて、1本だときつくて編めないという話ですが。
A:聞く聞く。針に対して糸が細かったり、伸縮性のない夏糸なんかだと2本だとゆるくなりやすい。端もガタガタになって気になるよね。その場合は作り目だけ針を細くするかな。添える針だけ細くしてもいいし、2本とも号数さげてもいいし。
E :ゲージを編むついでに、作り目の表情も確認しておくといいですよね。
A:そやね。1本で作るのは手加減が難しいから、あまりおすすめではないけど、慣れた人なら大丈夫かもしれない。あとはさっき少し話に出たけど、糸の撚りはこまめに直した方がいいかな。
E :簡単な作り目だからこそ、出来上がりにもこだわりたいですね。では、今日のまとめです。
指でかける作り目 まとめ
・万人に向いている汎用性の高い作り目。
・ゴム編み・メリヤス・ガーター・いろんな編地に合う。
・ロービングヤーン・モヘアは注意が必要。
・針の本数・号数はきれいにできる組み合わせを探そう。糸によっても変わる。
・手前の糸端の撚りが戻ってくるので注意が必要。
次回は「別鎖の作り目」についてお伝えします。
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