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オリジナル手ぬぐい制作の覚書

オリジナル手ぬぐいの第②段をリリースしました!
その名も『鬼のパンツ 良いパンツ 手ぬぐい』!!
鮮やかな色彩! 心地よい手ざわり! 会心の出来! お子様からご高齢のかたまで、お使いいただけます! ぜひ、一家に一枚、あなたのお手元に!
……なんてかっこよく言えたらいいのに、内心は当分この在庫と付き合わなければなあと思っているところ。
売上云々よりは、せっかくなので多くの人に手に取ってもらい、楽しんでくれたら嬉しいなと思っています。もし、気になりましたら、Boothのほうを覗いてみていただけると幸いです。


鬼のパンツは………強いぞ!

思いつきのように手ぬぐい紹介アカウントを始め、でも始めたらとても楽しくて。そして、投稿を見てくださるかたもおられ、なんだか感謝・感謝な日々。もう、そしたらオリジナルのものを作るしかないな、って気分になったのは昨年くらいから。
よくSNS上で思いついた落書きをアップするのだけど、当時「こんな手ぬぐいがあったらいな」なんていくつか落書きを描いていた。その時に思いついたなかのひとつで、もし作るところまでこぎつけたら、この絵柄がいいかなと思っていた。なんで鬼のパンツだったのかは、あんまり思い出せない。節分のときだったのかしら(言語化とは程遠い)。

絵を嗜んでいるものなので、図案を作るとなれば、まあ、なにかしら描けるつもりでいた。
いちおう、前回の『職場に猫放そう委員会』手ぬぐいが、最初のオリジナルの手ぬぐいではあるのだけど、毎年「全国カバディ選手権大会」の手ぬぐいを手伝わせてもらっているので、定期的に手ぬぐいの図案を描いてはいる。
ただ、カバディのものは、印刷は事務局さんの馴染みのある会社さんがシルク印刷で作ってくれている。
もし自分のオリジナルをやるなら染めがいいなと思っていた。シルクは、絵柄の再現度が高いけど、やっぱり裏まで色が染まっていると綺麗で、質感も柔らかくなるので使いやすさもある。拘るなら注染だろうと思っていた。

『鬼のパンツ 良いパンツ 手ぬぐい』は、時期的に節分に合う絵柄なので、2月に販売できたらいいなと考えていた。2024年が明けてからすぐ始動すれば間に合うかな?くらいの軽い気持ちで。
しかし、手ぬぐいのお店などからのお話を聞いたところ、コロナの影響や、職人不足などもあって、以前より制作に時間がかかるようになっているらしい。その時点で、「2024年の節分に合わせるのは無理っぽい……」と諦めた。

『職場に猫放そう委員会』手ぬぐいは、これも以前に思いつきで描いた落書きで、ネコを放つOLのイラスト。何種類かのバリエーションでステッカーにでもしたら面白いかな?と思っていた。
『鬼のパンツ』以外の柄を考えたときに、この柄がいいなと思いあたった。なんとなく、この手ぬぐいを会社に携帯してくれたり、お弁当のランチョンマットとかに使ってもらえたら……なんて光景が浮かんで。

手ぬぐいの柄として、一枚大きい絵がどーんと描かれているものと、服飾の素材のように、いくつかの柄でパターンになっているもの……どちらがいいだろうかと考える。
一枚絵は絵画的で、とくに飾って使うのには最適だと思う。縦長に吊るせば、掛け軸のように見せることもできる(実際、古いものなどは日本画や絵巻的に描かれたものも多くあると感じている)。
パターンだと、一枚絵よりは迫力が劣ってしまうものの、生活用品としての魅力がある。たとえば、折りたたんだときや包んだときにも、つねに柄が見えるし、飽きがこない。デザイン的でもある。
『職場に猫放そう委員会』は、どちらかといえばパターン的にしたいと思った。

最初の頃のラフ案

注染の制作をするにあたり、黒猫舎さんへお願いすることを考えていた。
以前から、手ぬぐい界隈にかなりの知識を持った人がいることは知っていて、収集本も作っておられた。私の所有数などはるかに超えている。
手ぬぐい蒐集本『手ぬぐい慕情』を作り、同じ文学フリマに出店することになったので、会場でご挨拶した。
手ぬぐい系のイベントなどの主催も担っているし、制作もやっておられるので、一から染色の工場を探したり、ネット印刷のような場所で頼むより、ずっと信頼感があるなと思ったのだった。

『職場に猫放そう委員会』会員手ぬぐいの制作のご相談をしたところ、「この柄だと線が潰れるかもしれない」とのお話を頂いた。染めの工程で、輪郭がにじむのは想像できる。だが、どのくらいが許容かの判断は、いまいち感覚がつかめずに描いてしまっていた。そのあと何度か描き直したりもしたが、顔の表情が崩れないように描くと、どうしても線の太さには限界があった。

ここで、少し考え直して、『職場に猫放そう委員会』会員手ぬぐいは、より細かな表現ができる捺染で作ったほうがいいのではと考えた。まずは注染で作りたかったのだが、いろんな手ぬぐいを蒐集しているうちに、絵柄にあわせて染めの技法を選ぶのもアリだと思っていた。

かわって、『鬼のパンツ 良いパンツ 手ぬぐい』のほうが絵柄が大きいので、こちらを注染で制作すれば最適だろうと思った。あらためてこちらの絵柄で、制作の依頼をさせていただいた。
いきなり2種類同時に作るのは、ちょっと気が引けたが(主に財布の部分で💧)、いずれ作る予定でいたものだったので、今つくるか、あとで作るかの違いしかない……と踏み切った。もしかすると、5月の文学フリマに一緒に並べて出品できるかもしれない、というプランも浮かんだ。

虎の皮の色(パンツは虎の皮でできているらしい)にしたいので、あらかじめ生地に色がついた黄色のクレア生地に、黒で染めてもらうことにした。
『鬼のパンツ 良いパンツ 手ぬぐい』の絵は大きめなので、大丈夫かと思っていたが、小さめの文字の部分などは、やはり潰れる可能性があるとご指摘をいただいた。なので、文字は何度か調整をしている(あ、鬼の厶の部分が飛んじゃってるかも……でも、あえてOKです💧)。


文字の一部をカットしたり、調整した


『職場に猫放そう委員会』会員手ぬぐいは、香川にあるポスター堂さんにお願いすることにした。ここは捺染でオリジナルの制作を手掛けられている。所有している手ぬぐいなかにも、制作に携わっているものがあり、作家さんなどもよく利用している様子。
サンプルを取り寄せたところ、線の印字見本もあり、どのくらいの太さまで耐えられるか、また、裏側への染めの入り具合もわかりやすかったので、こちらでお願いすることにした。
『職場に猫放そう委員会』会員手ぬぐいは、最終的にはOL5人と、それを囲んで猫の絵なども描き足して、賑やかなレイアウトにした。色は2色作ることにした。


2色展開。鮮やかな赤も目立つが、個人的には青もオススメ
これは、手ぬぐいの初回特典として作った、職場に猫放そう委員会会報

こんな経緯をたどったので、出来上がりが前後して『鬼のパンツ 良いパンツ 手ぬぐい』が第②段になったのだが、ほぼ同時に制作を進めていた。
赤・青・黄色と、並べてリリースできたら良かったが、昨今、染色の現場は忙しいようで、予定よりひと月くらい時差ができた。こればかりは仕方ないし、これから注染での制作はもっとスケジュールも考慮しないといけないだろう。


パッケージ。帯をつけるとサマになるよね。ちなみに鬼のパンツにはパンツ型の帯
手ぬぐいの特典として作った『鬼印良品カタログ』

PVについて

数年前から動画の編集も覚えたいと思っていて、ちょくちょくadobe Premiereを触っていた。よく見ると、静止画をつなぎ合わせているだけの動画だけどね💧(やっぱり私の頭は2Dのほうがわかりやすいみたい)。

いまは大企業に成長した、株式会社鬼印良品生活のCEO鬼頭(手ぬぐいではパンツを持っている)が、昔(平安時代?)は草の根で、手売りで奔走していた……という出世物語を、鬼印良品生活、創業1200周年の記念品として制作した……みたいなことを(作りながら)思いついた。


鬼頭CEO全身図


『職場に猫放そう委員会』会員手ぬぐいのPVも、けっこう気に入っているので見ていただきたい。ちなみに、ナレーションはVoicePeakという読み上げソフトを使用している。いまは、自分の声を録音しなくても綺麗に音声が入れられるので、ひとりでも色々作れちゃいますね。
こういった、しょうもない感じのものを作っているときが、ホントに楽しい。



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