見出し画像

地図の著作権はどうなるのか?

「著作権法の一部を改正する法律」が,第204回通常国会において,令和3年5月26日に成立し,同年6月2日に令和3年法律第52号として公布されました。

この改正において図書館関係の権利制限規定の見直しのうち、
①国立国会図書館による絶版等資料のインターネット送信に関する措置につ
 いては,公布から1年以内で政令で定める日から
②各図書館等による図書館資料の公衆送信に関する措置については,公布か
 ら2年以内で政令で定める日から施行されることとなりました。

これにより絶版とみなされた書籍等に関しては権利者の許可を必要とせず国会図書館の裁量でインターネット送信を行う事が可能となりました。
しかしながら地図関連図書に関しては絶版という言葉が実質的に当てはまらず、かえって年月を経ることで価値が増すことがあります。さらには古地図にみられるように差別表現が残っていることや住宅地図などでは個人情報の取り扱いもあり、そのままデジタル化して配信することは大きな問題を生じる可能性があります。

このような状況があるにもかかわらず事前に出版社への連絡もなく法律に則って公開が進められているという情報が会員社のゼンリン様よりあり、国会図書館へ問い合わせを行いました。まずは地調協としての見解を取りまとめるという事になり、総務委員会経営部会で協会の見解を取りまとめ国会図書館へ提出しました。国会図書館とのやり取りを行ったところ、この件について有識者を集めて協議しているので是非その協議会へ参加してはどうかとの打診をいただき、地調協より委員を選出して対応することとなりました。

委員としては雑誌・書籍両方を出版されている昭文社ホールディングス様の竹内様に委嘱し地調協の特別委員として協議会へ参加していただくこととなりました。

当協会として実現したいことは「国会図書館の作成する公開リストから地調協会員社の出版物を除外してもらう事」になります。
7月25日に令和4年度第1回「資料デジタル化及び利用に係る関係者協議会」が開催され5/19からの国立国会図書館一般へのインターネット公開開始に関する実績報告および、デジタル化の進捗、およびデジタル化資料のOCRテキスト化事業についての報告がなされました。協議会の席上で住宅地図などの除外申請について意見具申を行っております。

地図は情報が高密度に集積されたメディアであり使い方によっては有益でもあり害悪にもなりえるものです。安易な公開により起こりうる混乱を防ぐために、協会としても国会図書館に対して主張していきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?