小学校


「こういち君はコノハね」

小学校5年生の時、友達から交換ノートを渡されてこんな事を言われた。頭の中は「?」で溢れていた。どういうつもりなのか尋ねてみると、”カゲロウプロジェクト”という小説があるらしい。俺はその小説に登場するキャラの名前を割り当てられたようだった。

渡された交換ノートを開くと、最初のページに同じクラスのよく知る友達の名前がずらりと並んでいた。それぞれ横には番号が振られていて、さらにその横に書かれた【⠀】の中には見慣れない人名がカタカナで書き込まれていた。シンタローだとか、モモだとか、キドだとか。これらは全て ”メカクシ団” というカゲロウプロジェクト内に存在する架空の団員の名前らしい。

その日はとりあえず交換ノートを持ち帰り、家でじっくりと読み直した。既に5、6人の書き込みがあり俺はなんとなく流れに合わせて近況報告のようなことを書いて次の人に回した気がする。

こんなことを何回か繰り返していくうち、週末に公園で遊ぶことになった。集まるのは交換ノートを回しているメンバー。集合時間は「13時頃」と伝えられた(気がする)

少し遅れて到着すると、公園の隅にある屋根付きのベンチに皆が集まっていた。一応メカクシ団という設定があるため「フード付きのパーカーを着て来い」と命令され、素直に着て行った記憶がある。妙に気構えて行った気がするが実際は人狼ゲームをやったり、テンプレのような心理テストを皆で楽しんでみたり、缶蹴りをしてみたり、至って普通の小学生がする遊びを楽しんでいた。

それ以降、週末の13時はメカクシ団の活動日となり、毎週のように集まって遊んだ記憶がある。メンバーは7.8人ほど居ただろうか。全員が揃うことは稀で、その都度暇な人が来るという具合。当時は学校での口約束だけで何人も集まっていたが、今思うとかなり新鮮に感じる。3DSくらいしか持っていない時代だったので家の固定電話に呼び出しが来たりすることもあった。スマホが普及していない時代に小学生らしい遊びを経験できてよかったとしみじみ思う。

結局、2年間そんなことをするためだけによく集まっていた。ただ、それをあんなに楽しくさせていたのはカゲロウプロジェクトに登場する”メカクシ団”として集まっているという厨二心をくすぐる設定のおかげだった。後にこの集まりの中の1人が初めての彼女になり、それが原因で初めて人に嫌われる経験をしたのも思い出の1つだ。惰性でnote開いて下書きにこれがあったから投稿してみました。

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