実況パワフル俺 〜BCトライアウト編〜
BCリーグのトライアウトを受けることになった川村。
こんなことを言ったら当時お世話になった方々に怒られそうだが、半分くらい遊び感覚の気持ちで受けに行った為、全く緊張はしなかった。
一次テストの種目は50m走、60m送球、シートノック、フリー打撃
まずは50m走から。
知る人ぞ知る俊足ぶりを見せつけるにはうってつけの場だ。
よーいドンの合図でスタートをする。
すると、隣の受験者を置き去りにして悠々と駆け抜ける。
タイムは............
5.91
人生初5秒台。
そして2月の極寒の中で受験者唯一の5秒台。一気に注目度が高まる。
60m送球では1.98。まあそこそこといったところだ。
シートノックを無難にこなしていると、とある球団から「サードを守ってくれ」とのリクエストが来る。
快諾しサードへ。慣れないながらも無難にこなす。
割とヘラヘラやってた気がする。印象良くは無かっただろうな。
バッティングも無難にこなし無事一次テストを通過。
ちなみにこのフリーバッティング、この日お手伝いしてくれたバッティングピッチャーのコンディションが軒並み悪く(寒かったからなあ)、他の受験者では全然バッティングができなかった人もいた。
しかしそれも運命。実力のうちである。
2次試験は実戦形式。
お昼を挟んですぐ実戦となる。
3打席ほど立った気がするが結果は全て凡退。
ここにきて初めて
「あぁ、やっちまったな」
と悲観する。
そしてそのままドラフト指名となる。
結果は............
指名なし。
言い訳をする訳では無いが、2月のトライアウトに外野手が指名されるのは至難の業である。
なぜならどこも枠が埋まっていて、ピッチャーか内野手の足りないピースを探しに来ているので相当なインパクトを残さないと指名は厳しい。
それは事前に心得てはいたので、2次テストの結果も踏まえて「仕方がないな」と思っていた。
しかし、、、、、、
三球団から練習生契約の打診が来たのである。
言っていいのかな?
言っちゃおう。
福島、栃木、滋賀。
昔憧れてリストバンドまで買った元ヤクルトの岩村さんの福島、新球団の栃木、監督が上園さん、コーチが桜井さんと阪神ファンとしては夢のような滋賀。
どれも魅力的だったが、ここで一球団のみ違うお話が来たのである。
「選手として取るから、5月に来てくれ」
そう、のちに入団する信濃グランセローズである。
そして監督が本西さん。
世代ではないが田口、本西、イチローというオリックスブルーウェーブの鉄壁外野陣はもちろん知っていた。
で、あれば
名手として名を馳せた本西監督の元で選手として契約してもらえるのなら、どう考えてもそこが1番ベストだろうと。
しかし別に契約を交わした訳ではない。冗談半分の口約束程度に聞いていた。
ただ練習生打診をいただいた三球団にはお断りの連絡を入れた。
そして川村本人としてはまた次の年に実力を伸ばして逆に球団を選べるくらいになろう、と決めていた。
METSにも
「あと一年やらせてください」
と伝える。
そして副キャプテンとなった。
今思えば野球人生唯一のキャプテン職であった。
どっちかというと好き勝手やってる方だったから無縁だった。
が、この経験がこの半年の更なる急成長に繋がるのである。
次回、TOKYO METS編 最終話
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?