実況パワフル俺 〜普天間高校編5 夏の大会1回戦 vs沖縄工業〜
2013年6月22日。
第95回高校野球選手権大会沖縄予選。
沖縄セルラースタジアム那覇での開会式。
久々に中学の同級生や元チームメイトと再開する。
後に全く離れた北陸の地でチームメイトになった選手も同じ開会式の場にいたと考えると人生は面白い。
が、、、、
正直、恥ずかしい。
当時はそこまでSNSも盛んではなかったので、俺がレギュラーである事を知ってるやつはほぼ0。
むしろレギュラーかどうかなんて背番号見りゃわかる。
"18"
この数字が意味するのは紛れも無い控え。
なんならギリギリ滑り込みの。
とはいえ「レギュラーなのに〜」っていちいち言い訳するのもダサい。
まあいい。活躍して有名になれば。
そして1回戦の相手は沖縄工業。
あまりこれといったイメージはなかったが、レベル的には中堅くらいのイメージだ。
地区的にも南部地区にある高校なので全く情報は無い。
ある意味不気味な1回戦。
実は直前に調子を落としてた為、監督も恐らく悩んでたらしいが、1週間前に「夏大会は4番はお前で行く」と直々に言われた。
やっぱりなんだかんだで信頼されてたんだな。
と後々気付く。
2013年6月29日
ついに俺らの夏が開幕する。
天気は快晴。
猛暑並の暑さだったのを覚えてる。
球場は宜野湾公園野球場。第1試合目。
知る人ぞ知る、横浜DeNAベイスターズのキャンプ地である。
沖縄の球場はNPBの球団がキャンプで使うことが多いのもあってか基本的にどこも球場が広い。
この球場に関しては両翼100mある上にフェンスも高い。
ホームランを打つには難関な球場である。
第1試合なので球場に入りアップをする。
いつもとは違う高揚感。
2年間、応援する事しか出来なかった舞台にやっと立つことが出来た。
実はジンクス的なものもあったりして、キャッチボール相手が背番号16の控えショートだったのですが、そいつとキャッチボールをしだしてから打撃の調子が良かったんです。
そいつは最近子供が産まれました。
めでたい。。。。
という訳でいつも通りキャッチボールをし、シートノックが始まる。
特に普天間高校はこの年、沖縄県の高校野球雑誌が選ぶ応援ランキングの1位になる程、応援が凄まじくて有名でした。
シートノックから応援で威圧。
めちゃくちゃ鳥肌が立ったのを覚えてます。
そしてシートノックが終わり、次々にスタメンがアナウンスされます。
"4番 センター 川村くん 背番号18"
あぁ........やっとだ........
絶望の秋大会から9ヶ月。一人だけメンバー候補からも除外されたあの秋大会から9ヶ月、序列最下位から這い上がり、宣言通り四番バッターにまで登り詰める。
「打てなかったらスタメン落ちするのではないか」
と恐怖に駆られる事ももう無い。
与えられた地位と与えられた役割がある。
背番号18だけど。
こうなれば暴れるしか無い。
全てを出し切る。
交代することも無い。スタメン落ちもしない。
これだけでかなり心が楽なのである。
全く緊張しない。気持ちが昂るだけ。
そして試合直前、
後輩から貰った海外産のレッドブルの500ml缶を一気に飲み干す。
※実は海外産にはタウリンが入ってます。ポケモンに与えるとこうげきりょくの基礎値が上がりますね。
時刻は9:00。
さあ勤務開始だ。
プレイボール!!!!
スポーツ万能、身体能力抜群、ペンを持てば特進クラスの先頭バッターが出塁。
イケメン投票1位ミスター普天間高校の2番がすかさず送りバント。(小学校時代のキャプテン)
しかし鬼の強肩。
打力も唯一ライバルだと思ってた3番が倒れ2アウト2塁。
そして次のバッターは!!!
今まで言われた言葉ランキング5位
「黙ってればモテる」
しかし一切黙れない!!!
"4番 センター 川村くん"
ああ、何度聞いても心地良い。
まあ、とりあえず何でもいいからランナーを還す。
よく分からない相手なので尚更、勢い付けが大事だ。
インコース甘めの球をフルスイング!
グシャッ
さすがに気分も高まって力も入りすぎたか、詰まる。
しかし振り抜いた分、打球はライト前への先制タイムリーとなる。
充分すぎる先制パンチを喰らわせた。
が、そこでは終わらない。
"暴れると決めた"俺。
すかさず初球スチール。余裕で成功。
またもチャンスとなる。
しかしここで凡退。
そのまま試合は均衡し、4回表。
先頭は高校1年生の時にふざけて消化器のパイプを思いっきり吸ったら思いっきり粉吸っちゃって死にかけた
"4番 センター 川村くん"
あぁ.......
もう100回は聞きたいなぁ。
と言いながらも冷静に1打席目の反省に入る。
「力みと言うよりもなんとなくバットが少し身体から離れてる気がする」
という直感の元、元々グリップに小指を掛けてたのをやめ、指一本分短く持って打席に立つ。
そして初球、インコース低めややボール気味の球が来る。
ここまで来ると身体は勝手に反応する。
キンッ!!!!!
甲高い打球音と共に声援が止まる。
息を呑む観客。
上手く振り抜いた打球は
弾丸ライナーでスタンドへと一直線。
(これは行ったっしょ)
一塁ベースを回る際、高々と腕を突き上げようとした瞬間!
ドンッッッッ!!!!
(ぬえ?!打球どこ?!!)
入ったと思い込んでた川村。
フェンスに直撃する音を聞いて焦ります。
(とりあえず2塁で止まっとこう。。)
その判断は正解。すぐにボールが戻ってきます。
※その直後の写真
ここは特別広い球場。
他の球場では入ってたに違いない。
そのツキの無さが影響したか、そこからチャンスを広げ1アウト1.3塁になるもスクイズ失敗からの凡退でチェンジ。リードしてはいるものの、悪い流れに繋がりかねないプレーである。
しかしその裏はきっちりと抑える。
となれば、もうこっちのモノ。
与えてしまった流れをモノに出来なきゃ相手に流れが行ってしまうのが野球。
メンタルスポーツだからね。
次々とランナーをためて返す。2-0の追加点。
なおも、1アウトランナー満塁。
バッターは高1の時、芸術鑑賞会の後のアンケートで担任に正直な感想を書けと言われたから「話しが現実的では無く全く面白くない上に、ソファーと空調の具合がめちゃくちゃ気持ちよくて爆睡出来ました。」と書いて生徒指導(TOP2が監督と部長)行きの
"4番 センター 川村くん"
強靭☆無敵☆最強
今日の俺はもはや擬人化した青眼の白龍である。
ここまで真っ直ぐを打たれてるバッテリー。
スライダーを続けてきます。
超打ち気な川村、全部振りに行きます。
しかしボール球。空振りで簡単に追い込まれる。
もちろん勝負球もスライダーを選択します。
が、、、、
後に独立リーグにまで行った男に3度同じ球は通用しない。
脳内の経験則から
「ここ ふれば あたる( ᐛ)」
と自然に記憶されてるのだ。
これもボール球だが、バッテリー無念。
打球はレフト前への2点タイムリー。
ランナーは1.3塁。4-0
しかしこれでも満足しない。
「あばれる( ᐛ)」
と決めた川村。またもやスチール。
そしてキャッチャーは送球を諦める。成功。
ここまで3打数3安打3打点2盗塁。大暴れ。
それだけじゃ満足出来なかったのか、7回の第4打席目、ランナー2塁で回ってくるも三遊間を抜けるレフト前ヒットで1.3塁。
「おかわり( ᐛ)」
またも初球スチール。セーフ。猛盗塁。
4打数4安打3打点3盗塁の猛打賞、猛盗塁。
の背番号18
目立たないわけがない。
(出歩く時はサングラスかけなきゃなぁ.....)
そして6番バッターがサードの頭を越すヒット。
(これは還れる!)
そう、三塁を思いっきり回ったら辺りから、
(ピクッピクッ)
右脚に怪しい反応が、、、
しかし気にせずホームイン。
多少の不安があったが気にせず守備へ着く。
それにしても絶好調のエース。
7回裏もピシャッと締め1安打ピッチング。
(贔屓目抜きでもこの代の沖縄県でTOP5に入るピッチャーだったとは思う。あ、ちなみにNo.1は現・DeNAの平良。)
守備から帰る途中、なんだが先程の反応が強まってる。
(ピクッピクピクッピクッ)
これはやべえ、早くベンチへ戻ろう。。。
と少し足を早めたその瞬間。
(ピクピクッピーーーーーーーーーーーーーーーーーーン)
あああああああああああああああああああああ。
ぶっ倒れます。激痛。
右脚全体が一気につります。
つった時のあのどうしようもない感じ分かりますよね?
あれの5倍。
すぐさまチームメイトが駆け付けてくれて、足を伸ばしたまま運んでくれた。
その時のぉ写真がぁこれだぁぁ。
1
2
3
激ダサである。(ちびまる子ちゃんのナレーション風)
この物語。
特に高校編始まってからの無類のカッコ良さ。
どう見てもどう考えてもカッコ良い王道系主人公のストーリー。
2年半にも及ぶスーパーイケメンストーリーを一撃でぶち壊す悲劇。
数千人の観客の前での大失態。
応援団大爆笑。
一周回ってどうでも良くなった俺は観客に向かってダブルピースをするのであった。。。。
激ダサである。(ちびまる子ちゃんのナレーション風)
高校編。最終回終わらず。まだ続く。
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