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かぞかぞ地上波第3話〜お父さんと呼んでいいですか

七実は本当に瀬尾さんをお父さんと重ねていたのだろうか。
交通整理の現場で戸惑っているとき、テキパキと動いて助けてくれる。頼もしさに惚れたのは事実だろう。


頼れる瀬尾さん

七実が野球場でコーヒーを売っていたとき、引っ越しバイトの現場で働いていたとき、交通整理の現場に居るときにも、自然と瀬尾さんが目に入ってくる。

てめえはてめえの仕事をしな

七実は、瀬尾さんが黙々と働き続けたり、野球に集中したりする後ろ姿が好きなのだろう。宅配をしている陶山さんも気に入っていたようだし、年上の男性に惹かれる傾向があるのは間違いなさそうだ。本当の父代わりとは思っていないだろうが、どこか信頼の置ける相手なのだろう。

父耕助の急変

一方、父が倒れて手術、入院する姿も描かれる。このとき七実は中学生で母が健在だった。このあと母が倒れたときには、全責任が七実に降りかかったことを考えれば多少は救われている気がする。

もちろん、七実にとって父耕助の死は、想像を絶するほどショックだった。

パパなんか死んでしまえ!

と言ったきり二度と会話できないなんて、辛すぎる。直接会って仲直りする機会がないことは、ずっと胸に引っかかっていただろう。

父は身体は死んでしまっても、ゴーストになって岸本家を見守っているというドラマの描写は、父の未練を表している。自分が家族を守らなくてはいけないと気になって仕方ないのだろう。その姿は草太にしか見えていないのが少し悲しい。

七実は毎日の苦しさや寂しさを、陶山さんや瀬尾さんの存在感で慰めていたのか。もちろん、父親代わりに思っていたわけではない。しかし、七実を取り巻く信頼できるキャラとして存在していたのだ。

男前な旅行会社の篠宮さん

頼りになるといえば、沖縄旅行の素晴らしいプランをコーディネートしたベリーツアーの篠宮さん。鬼の交渉術で目標を達成していく姿は印象に残る。七実が大人になって働くとき、仕事ができるひとの姿として影響を与えるのかもしれない。とにかく、かっこいい。仕事ができるだけではなく、七実のお金の心配までしてくれる気の配りよう。隅々まで行き届いている。

家族は沖縄へ

岸本家はかつて父と旅行したことのある沖縄へ旅発つ。祖母が行かなかったことに大きな意味はないようだ。なにかの伏線かと思わせるが何もない。視聴者の心を惑わす隠し味だ。制作者は遊び心で視聴者を手のひらに載せているよう。

また、沖縄に行ったらハッピーエンドではなく、どこか悲しいトーンで終わる。帰ったら現実が待っている。取れなかった単位が不安となって七実を襲う。明日からまた頑張ろう、という言葉もどこかさみしい。一時は浮かれても現実は変わらないのだ。

変わらんでええ

変わらなくていいという祖母の言葉によって、私は急に現実に引き戻された。単に場面転換の意味なのだろうと思う。「単に」というのは、戻ってから七実は大学生活で日々の生活も変わっていくからだ。祖母の言葉が重要な役割を果たしそうで、そうでもないところがこのドラマの遊び心なのか。それともまだ気付かない制作者の意図があるのか。次の放送も楽しみだ。

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