幾田りらはライブの人だった〜SKETCHツアーin Yokohama
幾田りらのライブがよかった。CDやサブスクでは分からない空気感が伝わってくる。本人による楽曲の解説はもちろん、ただよう空気感が曲に新たな意味を加えてくれた。
幾田りらさんの歌は、音程とリズムが正確無比なピアノ演奏のようだと言われることがある。私も家で正座して鑑賞するにふさわしいと思っていた。彼女が下積み時代に毎週路上ライブをくり返し、オーディションも受けまくって場数を踏んでいたことを知っていてもだ。
しかし、ライブはそんな神棚主義の思いを軽く凌駕していった。
例えば、私の大好きな「レンズ」。
片思いを歌っているのにどうしてこんなに壮大に迫ってくるのか。恋愛ものが悪くないのは分かる。オペラ「蝶々夫人」やシェイクスピアの「ハムレット」が芸術的に劣ると言う人がいないことからも自明だ。最初に聞いたときに、この広大な世界観が小さな恋愛を歌っているとは思えなかった。しかし、誇大化された世界感はなくピュアな心の内を描いているのは、いつでも確認できる。
私は歌を聴くとき表現に違和感が無いかを気にする。フレージングは流れているか、子音はうまく処理されているか、どうしても気になってしまう。
(ここから書くことで誤解を招いたら申し訳ない。すぐ解決するのでどうか怒らずに読んでほしい)
CDを聴いていた時は、このフレーズの処理が気になっていた。意図は分かるが、処理し切れていないのでは無いか。音が大きすぎないか。(素人に言われて本人は迷惑だろうけどご容赦ください)
ライブで聴いたら一瞬で氷解した。大きすぎないように、付け足しではないように、残像が残るようにそっと添えられていたのである。おお、これだよ私の求めていたのは(どこから目線?)。うれしくてたまらなかった。
それから、音源を聴き直してみると、やはり同じように処理されている。私の思い込みだったのだろうか、なぜ気付かなかった?理由は分からない。ただ、ライブで感情の流れが伝わってきたことで、聴き手の私がうまく消化できるようになったのかも。突然降りてきたとでも言うべきか。
ほかの曲も、配信で聴くのとは違う発見があった。最後にAnswerを持ってくる配曲も私のつぼだった。この曲への思いは前に書いた。
7月10日、神奈川県のKT Zepp Yokohamaで行われた、幾田りら 1stワンマンツアー『SKETCH』のセットリストはこちら
スパークル
サークル
おもかげ
吉祥寺
Midnight Talk
レンズ
蒲公英
線香花火 feat. 幾田りら(ゲスト共演)
宝石
ロマンスの神様
ヒカリ
Free Free Free feat. 幾田りら(ゲスト共演)
JUMP
Answer
P.S.(アンコール)
彼女は、これからもたくさん曲を作り続けるので、ずっと聴いてほしいという。ド・バラードも好きだし、意外性とテンポのある曲も好きだ。もちろん、これからも聴き続けていく。
追記
「サークル 」でのハンドクラップ(手拍子)は難しかったよ。
サポートをしていただけると泣いて喜びます。