見出し画像

【葬送のフリーレンvol.2】鈍い師匠が贈る思いは実は双方向

師匠が弟子に誕生日プレゼント贈ることはあるか?
師弟関係というからには、弟子に技術やノウハウを伝承することこそがプレゼントかもしれない。よほど仲がよくなければ、弟子に物質的なプレゼントを贈ることはないような気がする(個人の感想です)。

今回取り上げるのは、フリーレンがフェルンに贈った髪飾り。贈ろうとした師匠は、感情の起伏のないフリーレンである。もともと人間は教えてもすぐに亡くなってしまうから、と興味すらもっていなかったのに態度が豹変といってもいい。

理由を想像してみる。
前回のパーティーメンバー、勇者ヒンメルの死をきっかけに、フリーレンはできるだけ人間と関わろうと決意した。また、フェルンは僧侶ハイターが大事に育てていた孤児で、フリーレンがはじめて弟子として認めたことも影響しているだろう。

テラスで会話する師弟

しかし、師匠の不器用さは周知の事実。弟子のフェルンに言われてしまう。

フリーレン様はどうしようもないほどにぶい方のようなので、はっきりと伝えます。あなたが私を知ろうとしてくれたことが、堪らなく嬉しいのです。

第1話より引用

フリーレンの性格を熟知しているフェルンにとって、長い時間をかけてプレゼントを探し、贈ろうとしたことが特別なことと感じたのだろう。「私はフェルンのこと何もわからない」と時間をかけて模索する師匠に感謝するシーン。この暖かい雰囲気が気に入っているファンも多い。

冒険が続く道

しかし、師弟関係はギブ・アンド・テイクだとしたら。フリーレンが与えようとした気持ちは、逆にフェルンによって気付かされたプレゼントとはいえないか。弟子を取らないと決めていたフリーレンが翻意して受け入れた特別な存在である。大事な存在であることを、ヒンメルのように死後に気付いて後悔しないように、フリーレンなりに考えているのだ。

そういえば、大魔法使いである人間のフランメは、フリーレンの師匠。命の短い人間だからといって、人の価値は変わらない。彼女の死後、千年も維持する魔法もあるそうだ。

人間と関わりを持たないようにしてきたフリーレンが、結果として関わった人間によって、人の気持ちを理解する大切さを知る。誰のためでもない自分のために。どんなに不器用で鈍くても、精一杯伝えようとする強い思いが確実に相手に伝わるエピソードだ。

サポートをしていただけると泣いて喜びます。