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小説『瑞樹』1

 「瑞樹」と書いて「ミズキ」と読む名前。男の子だったのか、女の子だったのかはわからない。

 その子は、親の言う事を守る”とても良い子”だと、母親は説明してくれた。そして決まって”あなたとは違って”と、必ず一言付け加えられた。

 瑞樹の命は3ヶ月に満たなかったという。母親にとっては我が身に宿ったことを知って間も無くして瑞樹は旅立って行ったような感覚だったのだろう。

 それでは、瑞樹が良い子だったかどうかの判断はできないのでは?と、私は言いたい気持ちを、いつも決まって抑える。

つづく

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