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小説『瑞樹』2

「瑞樹が産まれてきてくれていたらどんなに良かったことだろう。」そう言う母親の言葉には同感だ。

「瑞樹は、言う事をよく聞き守るから、親を一度も困らせたことがない。」そして、決まって「それに比べて、あんたときたら」と、続く。

そうなのだ、母親の頭の中には、瑞樹が産まれてきてくれていたら苦労もせずに楽しい人生だっただろう。そのような瑞樹の子育て物語が、宿った日からもう何年も理想が綴られ続けてきているのだろう。

でも現実の子育てでは、理想通りにはならず「瑞樹が産まれてきてくれていたら…」となるのだろう。

私にとっては、そう「瑞樹が産まれてきてくれていたら、こんな言われ方をされずに済んだかもしれないのに!」と、考えるから、「瑞樹が産まれてきてくれていたら…」と言う母親の言葉には同感なのだ。


つづく

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