ひとの波

             (約300字) 


オフィスの休憩室は高層だから
窓は開いていない

飽きるほど 見ている景色も
すっかり目に馴染んで
眼下に佇むバス停も
何度となく 利用したことがある

見える景色は同じでも
行き交う人は いつも違う

こんなに小さい街なのに
歩く姿に知り合いなどなく

きっと どの街でも同じことを試みたら、
別の知らない人の群れがあるだけ

気のせいに決まってるのに
秋風に吹かれた感覚

どこに居ても同じ

いつか実現したい何かも
ささやかな願いも
吹けば飛びそうで 

膝小僧に力を入れる

頑ななまでに変わらず

変わるとすれば
変わったものは


生きてきた過去の日数だけ





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