短編:『喋ったらだめ』 #毎週ショートショートnote
(本文410字)
ん〜
昼飯は「なんちゃって炒飯」でいいか
気怠い昼下がり
カニカマ、玉子焼きが冷凍庫にあった
この暑さではコンビニまで歩くのもヤダ
「おっと、チクワもあったわ」
摂氏20°ではカチカチの食品が出番を待つ
「ちょっと、あんた!あたいに向かって、チクワもあったなんて、ついでみたいに言わないで頂戴!」
ん? どこから?
なんと、声の主は右手の中だ
チクワが喋った?
「ねえ、あたいは2ヶ月も寒ーいトコに閉じ込められてたのよ。ずっとあんたがこっち側に出してくれるのを待ってたの」
やだ、気持ち悪い。何で喋るの?
冷凍庫にチクワを戻そうとした時、
「ヤダヤダ、食べていいから、寒いとこに戻さないで。後生だから、もう喋らないから、あたいを鉛筆みたいに先の方を尖らせてみて」
包丁で恐る恐る円錐状に尖らせた
「あんた、小説書いてるだろ。
あたいを捨てにくくなったかい」
玄関先に隣りのキンタが通りかかった
これ、あげる
小学生は先の尖ったチクワをパクッと齧った
お題【鋭利なチクワ】に参加します
裏お題【バールのようなチワワ】
※本日、夜までの〆切です
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