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なにを話せばいいだろう

       (約1,200字)

昨日、
故人が形見にくれた本を読んでいました。

亡くなったのは数年前。
私は、その人に似ていた。
「あんたは◯◯さんに性格がそっくりだから、
一生、一人(独身)かもしれないよ」

よく言われました。
役所に勤めていた叔父さん。
私は本を貸してもらったり、プレゼントしてもらいました。
優しくて、頑固者。阪神タイガースファンで、旅行好き、写真が趣味の人でした。

私は特別、野球ファンではありませんが。

亡くなる数ヶ月前に、一冊の文庫本をもらった。
正直、趣味が合わない本を渡されることもあって、借りても読まずに返すこともあった。
時代小説や自己啓発本は、好きではなくて。

申し訳ないから、栞を少しだけずらして、
3回目くらい後、会う機会に返却した。

今、手元にある本は、直接、渡されたのではなくて、父が預かっていた。
それは初めてのことだった。
LINEや電話で連絡を取れたので、聞くと、
返さなくていいと言われた。

叔父さんには珍しく、古本屋で買ったものではなかった。
直木賞作家の本だが、私は知らない作家さんだった。

読まなかったのは、叔父さんが若くして急死されて、本のタイトルが状況とドンピシャだったからだ。

叔父さんとは、恋愛の話をした。

私の内緒にしていた彼の話をしたら、すごく驚かれた。
「◯◯っちゃん(父)には内緒な」
という交換条件で、叔父さんの恋愛話も聞いた。

なんだ、ちゃんと恋愛をしていたんだ。

結婚はしないでいたけど、すごく楽しそうに
話してくれた。
この内容は、多分、身内は誰も知らない。
これからも、私が棺桶に入るまで
誰にも言わない。

文庫本には、
小説家を目指す男と、東京のある場所で起きた不思議な話、私が好きな文豪たちの名前、叔父さんが最後にやっていた仕事の名前が入り混じった内容だった。

私の恋愛が東京に縁があること、その経緯にある文豪の本の内容とリンクしていたこと、色々な要素を持って、叔父さんが亡くなった頃は読めなかったのだ。

昨日、片付けをしていたらカバーが無いその本が出てきた。
一度、うっかりコーヒーをぶち撒けてしまって、カバーは捨ててしまった。
だから、フリマや古本屋へは出せない状況だった。

人間は、いつ死ぬか分からない。

これは一人言ですが。

人間は、何度も同じこと(過ち)を犯すと
信用を失ってしまう。

だから、自分が得たチャンスは大切に使わなければいけないんです。
私には大切な存在がたくさん居て、今の生活を守る義務があります。

一時の感情に流されて、大切な人を傷つけたくありません。

若いときは、許されることが多い。

感情は、ときにコントロールが効かないこともあるけれど、自分が負った傷も抱える日は必要です。
寂しくてもね。

よく自分を知る人、許してくれる人は相当数いるけれど、大抵の場合、事情を知らない人は外方(そっぽ)を向いてしまう。

だからね、自分を大切にした方がいいです。

同情は、愛情より優しくないんです。


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