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半日の野暮用とか

          (約800字)

お休みの半日は、すごい早さで終わる。

洗濯機の具合が悪くなって、昨日の時点では
何回やり直しても一番必要な洗浄が出来なくなってしまった。
その前には、すすぎと脱水だけは洗濯機が
受けもってくれた。
いよいよ妹に洗濯機を貸してもらおうと話すと、すぐに偵察にきた。

妹は、隣の部屋を借りている。
というより、妹の方が先に借りて住んでいたところに隣の部屋が空いたため、私がふたつ隣りの町内から越して来たのだが。

私の洗濯機は国内メーカーのもので、本来なら7年品質保証だったのに、4年で壊れた。
ベランダに置いてあり、夏は強い日差しが降り注ぐにも関わらず、簾やカバーする工夫をせずに直射日光が蓋の部分を劣化させたのだった。

完全に私が悪かった。

電気屋に連れて行かれる。
商談は、妹が仕切ってくれた。 

何故か私の電気屋のアプリには買ってもいないのに300ポイントが自動的にチャージされ、
座っていたテーブルには冷えたペットボトルが目の前に用意された。
すべて妹の機嫌を取るために、店員さんが上司に掛け合いながら事が進んでいった。

私はぼんやり座って、一人で、キンキンに冷えたミネラルウォーターを時々飲み、その間も
腕組みをしながら妹が担当店員さんに見積もりを出させたり、悩んだりしていた。 

一通り、話し合いが終わり、帰り際には

「あの、お姉さまも、お水を持って帰ってください」

と、妹は店員さんから声を掛けられた。
妹はバツが悪そうに肩をすくめたので、
「私がお姉さんなんです」
と申し訳なさげに私が答えた。

私の洗濯機は、妹が購入する段取りをした。
私は冷えた水を飲んでいただけだった。

5歳の年の差なんて、年を重ねた人間には
あまり意味がない。

世間では、しっかりした人間を年上に。
主義主張ができる人間をキーパーソンと認識するように出来ている。

「ありがとうね。洗濯機の取り付けの日も、
よろしくね、お姉さん」

と私がおかしそうに話すと、妹は思いきり
肩をぶつけてきて笑っていた。



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